球形ダイスの目

90%の空想と10%の事実

モーラとシラブル

2008-12-09 | マジメな話
ある英国の子供と日本人の子供がじゃんけんをしながら
階段を上っていく遊びをした。

じゃんけん、ポン。
日本人の子供はチョキで勝ち、
"ち・よ・こ・れ・い・と"と一気に6段上った。
それに英国人の子供は猛反発した。
彼いわく、
"choc・o・late"だから、3段じゃないとおかしい、という。
当然日本人の子供は彼の主張をさっぱり理解できず、
何かの間違いだと思ってゲームを続行した。

そして日本人の子供がパーで勝つ。
あとは同じだ、"ぱ・い・な・つ・ぷ・る"と6段上る彼に
英国の子が文句をつける。
"pine・ap・ple"だから3段じゃないとおかしいと。
日本人の子供はあまりに何を言っているのかわからず癪なので、
"ぱ・い・ん・あ・つ・ぷ・る"と言って1段余計に上ることにした。

双方の主張は双方において正しく、結局そのままのルールで
英国人の子供は10回中2回しか勝てなかった。
いや、2回勝てたことを喜ぶべきと言ってもいいのかもしれない。
英国の子は母国語の誇りにかけて、
不利な条件でも勝てることを照明したかったのかもしれなかった。
(階段の段数を書くと確率の計算が面倒なのでここでは考えない。)



このすれ違いが何で起こるのかというと
日本語は"モーラ言語"という、発音の長さを一定にした言語であり、
英語は"シラブル言語"という、アクセントと音節から
語を組み立てる言語であることに端を発する。

例えばそれは、日本語の歌にはアクセントが非常に少ない、
というより殆どないと言ってよい聞こえ方をするような形で影響を与える。

時にはその辺のアクセントのつけ方がわからないチェリストを生んだりもする。
20歳を何年も過ぎてから、
センター試験時に出てきた
"アクセントの入る位置を1~4の中から選べ"
というクソみたいな問題が
案外シラブル言語の本質といえる問題であることに気付く。
"日本語でイントネーションおかしいと言われているのに、
 外国語のアクセントなんて知ったことか。
 しかし、面白い問題だったかもしれなかったな。"と。

例えば…
問."こいのぼり"のアクセントはどこにくるか1文字書け。
といわれたらどう回答すべきだろうか。

敢えてその問がでたなら多分"こ"を選ぶだろうが、
あくまで音節は"こ・い・の・ぼ・り"であり、"koi・no・vori"ではない。
問題として成り立っているかが微妙である。



ということで日本語はフォントが等角フォントであるに留まらず、
時間も等角な言葉であることがいえる。
それが外国の言葉や音楽に触れたときに、
"自国語は英語のようなアクセントを持たない言語なんだなー"
と気がつくかというと、あまり気がつかないのが恐ろしい。

"歌謡曲"という言葉中の"謡"のつくり部分の部首は
そもそも歌のニュアンスを持っているが、
同時に急な踏み込みをせずにゆらゆらゆれるイメージを喚起させるものと
僕は考えている。大体において筋が通っているような気がする。



(あとがき)
書いてから気がついたけど、そっくりな内容を書いていらっしゃる方が
既にいました。
http://www.geocities.jp/shinchan883/eigogakusyu26.htm
この方の説明によれば、チョコもパインも2歩であり、
英国人の子の勝率はまた下がってしまうようです。
しかし、2歩が正しいのか3歩が正しいのかはわかりません。
辞書的な説明を見た限りでは3歩っぽいのですが、
いざ発音してみると2歩っぽい気もするなぁ。

あと、モーラ言語は日本語以外に何があって
ヨーロッパの言語(インド・ヨーロッパ語族?)は全てシラブル言語なのか
調べようと思ったのですが、一口にヨーロッパの言語といっても相当な数があり
ちょっと調べ切れなかった経緯があります。
本当はこの記事を書くにはもうすこし勉強が要ります。

コメント
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