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古典の季節表現  夏 四月 時鳥(ほととぎす)の初音・しのびね

2013年04月19日 | 日本古典文学-夏

月立ちし日より招きつつうち偲ひ待てど来鳴かぬ霍公鳥かも
(万葉集~バージニア大学HPより)

詠霍公鳥歌一首[并短歌]
谷近く 家は居れども 木高くて 里はあれども 霍公鳥 いまだ来鳴かず 鳴く声を 聞かまく欲りと 朝には 門に出で立ち 夕には 谷を見渡し 恋ふれども 一声だにも いまだ聞こえず
藤波の茂りは過ぎぬあしひきの山霍公鳥などか来鳴かぬ
 右廿三日久米朝臣廣縄和
(万葉集~バージニア大学HPより)

宝治二年百首歌に、待郭公といふことを 太上天皇
身にしらは初音きかせよ時鳥さ月をまつもくるしかるらん
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

題しらす 伊勢
五月こはなきもふりなん郭公またしきほとの声をきかはや
(古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

まきのとをあけてこそきてほとゝきすまたさとなれぬけさのはつこゑ
(「針切」重之子僧集~古筆手鑑大成⑧「谷水帖(逸翁美術館蔵)」)

題しらす 小弁
あやにくにきかまほしきは時鳥しのふる程の初音成けり
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

忍ひねのころとしきけは郭公心ひとつに待そわひぬる
(続後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

待郭公といふことをよませ給うける 院御製
みしか夜をいくよあかしつ時鳥たゝ一こゑのはつね待とて
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

題しらす よみ人しらす
はつ声のきかまほしさに時鳥よふかくめをもさましつる哉
(拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

百首歌の中に 前右大臣〈忠〉
待わひぬいかなる里のねさめにか山郭公はつねなくらん
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

不飽感霍公鳥之情述懐作歌一首[并短歌]
春過ぎて 夏来向へば あしひきの 山呼び響め さ夜中に 鳴く霍公鳥 初声を 聞けばなつかし あやめぐさ 花橘を 貫き交へ かづ らくまでに 里響め 鳴き渡れども なほし偲はゆ
さ夜更けて暁月に影見えて鳴く霍公鳥聞けばなつかし
(万葉集~バージニア大学HPより)

また弘安五年四月十七日、嵯峨殿の御留守なりしに、雨もを止まず、空さへ閉ぢて、日數(ひかず)つもる比、おほやけわたくし初音を待つ慰(なぐさめ)ばかりに、雨夜の空を御覽ぜらるゝ御供に三位殿御局、大納言殿、別當殿、男には、綾小路三位、土御門少將、そゞろ事ども申して、をかしく興ある事どもなり。心づくしに待ちあかしつゝ、「郭公はそれか。」とおぼめくほどの一聲に、花橘の薫(かをり)なつかしきも、よそふる人もあり顔の心地して、光なき夜の闇のうつゝも、思ひなす方は、いづれも淺からねば、なかなかなる忘形見に、いまも盡きせざりけり。
ほととぎすおぼめくほどの一聲になごりの空もむつまじきかな
(中務内侍日記~有朋堂文庫「平安朝日記集」)

世をのかれける人の卯月の比まうてきて申事侍ける後、つかはしける 平泰時朝臣
こひこひて初音はきゝつ郭公ありしむかしの宿な忘れそ
(続拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

天暦御時歌合に 坂上望城
髣髴(ほのか)にそ鳴わたるなる郭公み山をいつる今朝の初声
(拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

題不知 山辺赤人
足引のやへ山こえてほとゝきす卯花かくれなきわたるなり
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

千五百番歌合に 二条院讃岐
神まつる卯月の花も咲にけり山時鳥ゆふかけてなけ
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

文保三年百首歌奉りける時 前参議雅孝
ほとゝきす待夜そつもる卯花のかきねの月はさかりなれとも
(続後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

ほとときすしのひしのひにきなくなりうのはなつきよほのみゆるころ
(秋篠月清集~日文研HPより)

時鳥の歌とてよめる 賀茂重保
ほとゝきすしのふる程は山ひこのこたふる声もほのかにそする
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

コメント (2)
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