不破哲三さんは、共産党の元委員長、議長で、現在は社会科学研究所所長です。
赤旗まつりでは、毎回「科学の目」シリーズで、世界の流れを科学の目で解明して
います。この十一月ではあの戦争に参加した兵士の死亡の半数が餓死だった、
そして国民もまた耐乏生活の中で戦争協力を強いられていた事実を明らかにしま
した。私の母の兄も餓死の1人であり、母の悲しみと怒りはものすごいもので、今
度の選挙でもその母の思いもこめ、戦争まっしぐらの危険な安倍暴走を止めよう
と訴えました。
3-4年前に、不破さんのテキストで「資本論」の概略を学びました。「マルクスの恐
慌論を追跡する」で雑誌前衛の12月号と1月号に連載されています。資本論は、
資本主義社会の「肯定的理解」(人類社会の歴史の中で、生まれるべき生まれ、
発展にどんな前進的意義をもつ)と「必然的没落」(資本主義社会が経過的一段
階で、次の社会形態と交代する)を科学的に解明した特徴をもつ。「資本論」にも
歴史がある。1840年代に経済学に目覚めるが、最初から科学的立場に到達した
わけではない、ロンドンに亡命し、経済学の著作を全面的に研究し、20年近くた
って、資本論の執筆完成に至ったそうです。だから、経済研究の当初に遭遇した
恐慌に、資本主義の終わりの始まりと実感し、恐慌が革命を引き起こし、また次
の恐慌と革命の中で、資本主義が必然的に没落する、そう解明しました。
しかし、そう単純ではない。2号に渡る不破さんの論文はそのなぞを追求します。
前衛に連載されている「スターリン秘史」の1月号は「対日戦の終結」です。ロシア
との友好運動で最大の課題である領土問題、そのきっかけとなったヤルタ会談
(秘密協定)の英国、米国、ソ連首脳部のやり取りが実に面白い。ルーズベルトは
戦争終結と国際(連合)組織問題、そしてソ連の対日参戦の問題意識を保有。
スターリンは、対ドイツ戦勝利後、参戦の意志あるが、ソビエトの存在の脅威とな
ったドイツと違い、大した紛争もない(日本)国との戦争参加の政治的条件が必要
として、カイロ宣言の主旨に反して、日本が略奪したのでなく平和的に交換した
千島列島を要求する、更に中国東北部への権益を要求するなど、スターリンの
野望。その要望をかなり入れた結果、ヤルタ協定では1904年(日露戦争)の日本
の行為でのロシアの旧権利を回復するとして、樺太の返還、そして別項目で、
千島列島のソ連への引き渡しを記載しました。
この中で、スターリン自身が千島を別項目に提案したように、日本の暴力的略奪では
ないことを気づいていたからではないか、の指摘はそうだと思いました。
論文は更に続きます。