2012.12.10 : 平成24年総務教育常任委員会
さとう正雄県議の教育委員会関係の質疑を紹介します。
■坂井地区の高校再編
◯高校教育課長 工業科は、機械・自動車科と電気・情報科ということで4クラスある。それから農業科学科が2クラス、それから、三国高校にある家政科と金津高校の商業科を商業と家庭科をミックスさせたような形で、ビジネス科と生活デザイン科を合わせた、ビジネス・生活デザイン科の2クラスを考えている。
◯佐藤委員 今の関連で、結局、開校時には設備はそろっていないということであれば、以前からも議論があるように、生徒の利便性、学校の統一性、教員の仕事の割り振りなど、いろいろなことを考えた場合、開校を遅らせる選択肢を考えたほうがいいのではないか。
◯高校教育課長 開校を1年遅らせたらどうかという御指摘である。
総合産業高校をつくるために、今、教育内容を充実させるよう、できるだけ急いでやりたい。ただ、例えば工業の実習棟が開校のときには未完成であるということはあるが、工期を早める努力をしたい。実際、教育長が申し上げたように、1年生での実習は本当に少なくて、週1回程度であるので、現在の春江工業高校の施設を活用するために、週1回、春江工業へ移動し、実習ができれば十分であると考えている。そういった意味で、実習には大きな影響はないと考えているので、できるだけ支障のない形で進めていきたい。
◯佐藤委員 そういう答弁だけでは、なかなか納得できない。要するに、高校が2カ所に分かれて教員も見なければいけない。現在の春江工業の実習棟をそのまま使うという点では、移動や教員配置の割り振り等を考えて、教員をふやすわけにもいかないだろうから、合理的に考えれば、実習棟ができて、設備が整った時点でスタートを考えるという選択肢がなぜとれないのか、よくわからない。
◯高校教育課長 平成26年度、坂井総合産業高校が開校した時点で春江工業がなくなるわけではない。春江工業高校の2年、3年生は残るので、そういう点でも、坂井総合産業高校に入った工業科の1年生が春江工業へ週に1回出向いていくことによって、先輩の実習を見ながら、学ぶこともできることもあるかと思う。
◯佐藤委員 実習棟の建設が予算の関係で、幾らぐらいかかるがために、スケジュール的に幅ができてしまうのか。実習棟の建設にどの程度で見込んでいるのか。
◯教育振興課長 先ども申し上げたとおり、校外への実習や工業棟の中でする校内実習をどう組み合わせていくかは、今検討を進めているところであるが、具体的に金額等が固まっているわけではない。そういった実習をどうするかによって、工業棟の規模、あるいは必要な設備が変わってくるので、今検討を進めているところである。
◯佐藤委員 非常にあいまいである。どういう設備をつくるかわからない、イメージも固まっていないが、こうやって進めるのだという言い方だけでは、なかなか理解も得にくいのではないか。
地元の坂井市には、どういう説明をして、どういう意見があって、どういう調整をされているのかを伺いたい。若狭地区の高校再編のときには、たしか地元の市議会にも説明されたと聞いているが、今回の場合も地元の市議会にもきちんと説明して、いろいろな意見を聞くということをやっているのか。
◯企画幹 坂井市からは、この12月に坂井市議会へ説明に来ていただきたいという要請が出ているので、そういう機会を利用して、できる範囲で詳しく説明している。
◯佐藤委員 坂井市との調整の中で、坂井市から出されている意見はどういう内容か。坂井市と調整する案件ではないかもしれないが、地元の高校ということで、坂井市にとっても、要望がいろいろとあると思うが、何も出ていないのか。
◯企画幹 坂井市の教育委員会等から要望は聞いている。
◯佐藤委員 教員の配置等いろいろなことで課題も出てくると思うが、例えば若狭地区の高校再編の話を聞くと、2つの学校に兼任辞令も出されるという話も聞いているが、今度の学校でも行われるのか。
◯企画幹(学校教育) カリキュラムの編成上、この場で何人ぐらいに兼任辞令をかけるかははっきり言えないが、基本的には兼任辞令が出るような形になるかと思う。
◯佐藤委員 そうすると当然、2校兼任辞令が出るわけだから、教員の負担がふえることになるので、いろいろな人事配置で当然ばたつくから、若狭地区や坂井地区の学校再編で新たに高校をつくる場合、教員配置上で少しは加配をするのか。
◯企画幹(学校教育) 先生方の定数には、持ち時間数や移動の時間なども計算に入れて考慮していくので、現場の負担がかからないようにしたい。
■新任者研修問題
◯佐藤委員 一般質問でも取り上げた新任者研修の問題で、教育長から答弁いただいたが、再度お尋ねしたい。教育長の答弁では、採用内定決定を受けて全員が参加したというのは、過剰な研修ではないかと指摘したが、教育委員会は過剰でないと説明された。大体、試算すると、自宅研修も含めると約何十時間ぐらい使うのか。NHKの英語講座や15冊の本を読みなさい等、多くの課題があると聞いている。
◯学校教育政策課長 研修に来ていただくのは、11月と3月に各1回の計2日間である。自宅で研修するということで、英語の時間についてはテレビで20分程度の番組を見ていただきたいと、本については10冊と読んでほしい図書リストを渡して読んでいただくようにしている。ぜひ先生として、教材の活用の上では必要な本だということで、現役の先生だと当然学生時代、それから卒業後に読んでいただく本であるが、こうした課題に費やす時間は、はっきりわからない。ただ、多くの先生方は既に読んでいらっしゃる本もあろうかと思う。例えば、福沢諭吉著『学問のすゝめ』の本を当然、課題図書10冊の中に含めてもいいので、それ以上の負担はないかと思っているが、時間数については、どれだけ家庭で要するか、わからない。ただ、11月に課題を出したが、今後年度末の5カ月の間に10冊の本を読めないようなことはないと思う。それほど分厚い本を読むことではないので、できるだけ負担がかからないようにしている。
◯佐藤委員 今の答弁だと、どの程度まで負担になるか余り考えずにやったようである。NHKの英語講座は1回15分かもしれないが、10回、20回、30回によって、それぞれ10倍、20倍、30倍の時間がかかってくるので、なぜこういう研修を急に考えたのか、意味がよくわからない。
県庁採用職員内定者に対しても、同様な研修を実施しているのか。
◯学校教育政策課長 私が入庁した時代にはなかったが、県職員についても、現在では、TOEIC等の英語試験を受けるように、勉強していただいている。
◯佐藤委員 しかしながら、量は全然違うが、15冊もの課題図書を読んでいただくことはないと思う。だから、その意図がよくわからない。まだ採用もされていない教員に対して、なぜこれほど過剰な自宅研修を義務づけるのか。
◯学校教育政策課長 教育長から答弁させていただいたが、4月からはベテラン、新人と変わらずに、一人前の先生として教壇に立たれるわけである。そういう意味では、しっかりした授業ができるように、教育公務員として、しっかりとした研修をしていただきたいという意味で、その研修の機会を県から提供している。
184名の中には、結婚式あるいは現在、妊娠中、産休中の理由等で御出席いただけない方もいたが、その方々からアンケートで声を聞くと、4月からの不安が研修で払拭できるということで、出席してよかったという意見をお聞きしている。
◯佐藤委員 教育委員会が主催し、受講し、アンケートをとって、役に立たなかったなどと書く先生はいない。役に立ったと書くに決まっているではないか。だから、実際にどの程度、こういう研修をやって、もちろん再質問でも言ったが、英語の講座を受講するなり、本を読めば、その人にプラスになるから反対しているわけではない。疑問を出しているわけではない。なぜ、急にこういう過剰で、しごきのような研修を急にやり始めるのかという意図がわからない。だから、そういう研修をやればいい教員になるかというと、必ずしもそうではないと思う。むしろ学校現場では、ストレス、いら立ちから教員間でのいじめ、パワーハラスメント、嫌がらせが最近ふえ始めている。教育委員会から多くの課題が来ると、教員でもいらいらが募りストレスがたまる。
だから、そういう問題を解決せずに、とにかく英語を聞け、課題図書を10冊読めと言うことだけでは、問題の解決に全然ならないと思う。
教育長、なぜ、この問題を少しでも改善しようというのか、よくわからない。
◯教育長 今の教員を取り巻くような、病気でお休みになるとか、学校環境の問題については、学校組織を含めて対応していかなければならないが、もう一つの問題は、子供たちのためには、教員自身が学び続けて、どんどん変わっていく時代を吸収していかないといけない。そのためには、今申し上げているような本を半年間に、逆に言うと読まない先生がいるとすると、逆に批判を受けるようなものではないかと思う。しかも、専門書などの非常に過重なものを何十冊も研究論文を書けという形ではなく、一般的に、子供たちに伝えていく、例えば福井の岡倉天心についての三部作については勉強しようと、中央教育審議会の議論の中で、教員についても大学院修士課程卒業に上げていこうという議論があるが、それは決して、指導技術だけを学ぶことだけではなく、当然、素養や人格をどう高めるかが求められていると思う。
そういった意味で、県として最低限の語学を勉強するほうが、春から子供たちのために教壇に立っていただく方にはふさわしいと判断して研修している。結果的に、1冊の本を読むのも、人によって何日もかけてじっくり読む方もいるだろうし、5時間か6時間で読み上げる方もいると思う。
だから、決して全部記憶しなさいという意味ではないので、これまでの先生方も実施されているような形でお願いするということであって、特別なことをするのではなく、これから教員として学び続けるものを新規採用者へもメッセージとしてお伝えして、取り組みを始めていただいているので、またこの中で実際にされている先生方の意見もこれから聞きながら、新しく考えるべき点は、今後研究していきたい。
◯佐藤委員 石川県などでお聞きすると、任意の研修であるとはっきり明記してあって、受講する受講しないは、その人の判断に任せると明記されている。福井県の場合も任意になるのかもしれないが、事実上は全員受けるのが当たり前という表現を見直すことが必要だろうと思う。
それと、職業系の内定者に対する英語研修の概要を教えていただきたい。
◯英語教育推進室長 職業系の高等学校の主に12校に対して、就職が内定した生徒たちを中心に、この秋から来年1月にかけて、週に1回程度、ALTが講師となり、その生徒たちに英語を使って、約50分のセミナーを計画している。就職内定が決まった生徒、あるいは英語に興味がある生徒がそのセミナーに参加して、英語を通してコミュニケーション活動する。その中で、学校によっては、電子メールの作成上のマナー、会話の仕方、あいさつの仕方なども身につけてもらうようにお願いしている。
◯佐藤委員 例えば、同じクラスに、もう内定が決まったからビジネス英語研修を受けられる、まだ決まっていないから研修を受けられないというルールなのか。
◯英語教育推進室長 あくまでも希望する生徒たちが対象であるので、内定している子でも行ってない子もいるし、内定していない子でも希望があれば参加可能である。
◯佐藤委員 それならいいのだけれども、要するに、これまで未内定者がふえている中で、内定が決まった生徒だけ特別に英語の授業が受けられるということではなくて、機会は均等にしていただきたいと思う。
あわせて、英語だけでなくて、これ一般質問でも言ったが、教育委員会は西川知事の方向を向いて、とにかく知事が英語だと言ったら、もう一斉に英語だとなるのではなくて、社会に出る前に、会社に勤めたときに役立つような、例えばマナーとか基本的な労働者の権利だとか、いろいろなことを教えてあげるということなども含めて、社会に出て必要な知識をトータルに事前に教育するように考えてもらうことが必要であって、英語だけ特化すればいいということではないと思う。
◯高校教育課長 当然、内定者は4月から企業で働くわけである。そのための社会人としてのマナーを勉強させるということは、もう何年も前から各学校でビジネススキルアップセミナーを開いて実施している。
■「福井ふるさと文学館(仮称)」の整備
◯佐藤委員 「福井ふるさと文学館(仮称)」の整備について2つ質問する。
1つは、津村先生からの何百点もの寄贈という説明を受けたが、津村さんというネームバリューだけに頼るとうまくない点があると思うので、図書館にしても文学館にしても、県民のいろいろな文学運動や文学に対する意欲を、どううまくリンクさせていくかをどう考えているのか、1点目である。
もう一つは、残念ながら、県立図書館の中につくると、今の県立図書館内の郷土文学コーナーが全部なくなる、あるいはパソコンコーナー等、いろいろな影響があると思う。だから、これまでの利便性がなくなっていく問題をどうクリアしていくのか。
◯生涯学習・文化財課長 1点目、津村先生の作品は一番多いが、それ以外の福井県関係の多くの文学資料をもとに、その後、県民が文学に対して興味を、関心を持つように、教育普及活動について今後、展開していきたいと考えている。特に、講演会や文学散歩等により、子供たちも楽しめるようなワークショップを取り入れて、文学普及啓発について、このふるさと文学館がいいきっかけになるような、特に図書館に来られた方々にも、理解されるようなものを展開していきたい。
2点目の場所について、確かに、そのゾーンがふるさと文学館になるために、そこに並んだ図書等が問題になるわけだが、図書館内のいろいろな場所へ移動することによって、解決できると考えている。
それから、ふるさと文学館の中にも、そうした閲覧コーナーのようなものをつくっていきたいと思う。そこで文学館に興味を持った人が本を借りられるという利便性も図書館の中につくることができると思う。
さとう正雄県議の教育委員会関係の質疑を紹介します。
■坂井地区の高校再編
◯高校教育課長 工業科は、機械・自動車科と電気・情報科ということで4クラスある。それから農業科学科が2クラス、それから、三国高校にある家政科と金津高校の商業科を商業と家庭科をミックスさせたような形で、ビジネス科と生活デザイン科を合わせた、ビジネス・生活デザイン科の2クラスを考えている。
◯佐藤委員 今の関連で、結局、開校時には設備はそろっていないということであれば、以前からも議論があるように、生徒の利便性、学校の統一性、教員の仕事の割り振りなど、いろいろなことを考えた場合、開校を遅らせる選択肢を考えたほうがいいのではないか。
◯高校教育課長 開校を1年遅らせたらどうかという御指摘である。
総合産業高校をつくるために、今、教育内容を充実させるよう、できるだけ急いでやりたい。ただ、例えば工業の実習棟が開校のときには未完成であるということはあるが、工期を早める努力をしたい。実際、教育長が申し上げたように、1年生での実習は本当に少なくて、週1回程度であるので、現在の春江工業高校の施設を活用するために、週1回、春江工業へ移動し、実習ができれば十分であると考えている。そういった意味で、実習には大きな影響はないと考えているので、できるだけ支障のない形で進めていきたい。
◯佐藤委員 そういう答弁だけでは、なかなか納得できない。要するに、高校が2カ所に分かれて教員も見なければいけない。現在の春江工業の実習棟をそのまま使うという点では、移動や教員配置の割り振り等を考えて、教員をふやすわけにもいかないだろうから、合理的に考えれば、実習棟ができて、設備が整った時点でスタートを考えるという選択肢がなぜとれないのか、よくわからない。
◯高校教育課長 平成26年度、坂井総合産業高校が開校した時点で春江工業がなくなるわけではない。春江工業高校の2年、3年生は残るので、そういう点でも、坂井総合産業高校に入った工業科の1年生が春江工業へ週に1回出向いていくことによって、先輩の実習を見ながら、学ぶこともできることもあるかと思う。
◯佐藤委員 実習棟の建設が予算の関係で、幾らぐらいかかるがために、スケジュール的に幅ができてしまうのか。実習棟の建設にどの程度で見込んでいるのか。
◯教育振興課長 先ども申し上げたとおり、校外への実習や工業棟の中でする校内実習をどう組み合わせていくかは、今検討を進めているところであるが、具体的に金額等が固まっているわけではない。そういった実習をどうするかによって、工業棟の規模、あるいは必要な設備が変わってくるので、今検討を進めているところである。
◯佐藤委員 非常にあいまいである。どういう設備をつくるかわからない、イメージも固まっていないが、こうやって進めるのだという言い方だけでは、なかなか理解も得にくいのではないか。
地元の坂井市には、どういう説明をして、どういう意見があって、どういう調整をされているのかを伺いたい。若狭地区の高校再編のときには、たしか地元の市議会にも説明されたと聞いているが、今回の場合も地元の市議会にもきちんと説明して、いろいろな意見を聞くということをやっているのか。
◯企画幹 坂井市からは、この12月に坂井市議会へ説明に来ていただきたいという要請が出ているので、そういう機会を利用して、できる範囲で詳しく説明している。
◯佐藤委員 坂井市との調整の中で、坂井市から出されている意見はどういう内容か。坂井市と調整する案件ではないかもしれないが、地元の高校ということで、坂井市にとっても、要望がいろいろとあると思うが、何も出ていないのか。
◯企画幹 坂井市の教育委員会等から要望は聞いている。
◯佐藤委員 教員の配置等いろいろなことで課題も出てくると思うが、例えば若狭地区の高校再編の話を聞くと、2つの学校に兼任辞令も出されるという話も聞いているが、今度の学校でも行われるのか。
◯企画幹(学校教育) カリキュラムの編成上、この場で何人ぐらいに兼任辞令をかけるかははっきり言えないが、基本的には兼任辞令が出るような形になるかと思う。
◯佐藤委員 そうすると当然、2校兼任辞令が出るわけだから、教員の負担がふえることになるので、いろいろな人事配置で当然ばたつくから、若狭地区や坂井地区の学校再編で新たに高校をつくる場合、教員配置上で少しは加配をするのか。
◯企画幹(学校教育) 先生方の定数には、持ち時間数や移動の時間なども計算に入れて考慮していくので、現場の負担がかからないようにしたい。
■新任者研修問題
◯佐藤委員 一般質問でも取り上げた新任者研修の問題で、教育長から答弁いただいたが、再度お尋ねしたい。教育長の答弁では、採用内定決定を受けて全員が参加したというのは、過剰な研修ではないかと指摘したが、教育委員会は過剰でないと説明された。大体、試算すると、自宅研修も含めると約何十時間ぐらい使うのか。NHKの英語講座や15冊の本を読みなさい等、多くの課題があると聞いている。
◯学校教育政策課長 研修に来ていただくのは、11月と3月に各1回の計2日間である。自宅で研修するということで、英語の時間についてはテレビで20分程度の番組を見ていただきたいと、本については10冊と読んでほしい図書リストを渡して読んでいただくようにしている。ぜひ先生として、教材の活用の上では必要な本だということで、現役の先生だと当然学生時代、それから卒業後に読んでいただく本であるが、こうした課題に費やす時間は、はっきりわからない。ただ、多くの先生方は既に読んでいらっしゃる本もあろうかと思う。例えば、福沢諭吉著『学問のすゝめ』の本を当然、課題図書10冊の中に含めてもいいので、それ以上の負担はないかと思っているが、時間数については、どれだけ家庭で要するか、わからない。ただ、11月に課題を出したが、今後年度末の5カ月の間に10冊の本を読めないようなことはないと思う。それほど分厚い本を読むことではないので、できるだけ負担がかからないようにしている。
◯佐藤委員 今の答弁だと、どの程度まで負担になるか余り考えずにやったようである。NHKの英語講座は1回15分かもしれないが、10回、20回、30回によって、それぞれ10倍、20倍、30倍の時間がかかってくるので、なぜこういう研修を急に考えたのか、意味がよくわからない。
県庁採用職員内定者に対しても、同様な研修を実施しているのか。
◯学校教育政策課長 私が入庁した時代にはなかったが、県職員についても、現在では、TOEIC等の英語試験を受けるように、勉強していただいている。
◯佐藤委員 しかしながら、量は全然違うが、15冊もの課題図書を読んでいただくことはないと思う。だから、その意図がよくわからない。まだ採用もされていない教員に対して、なぜこれほど過剰な自宅研修を義務づけるのか。
◯学校教育政策課長 教育長から答弁させていただいたが、4月からはベテラン、新人と変わらずに、一人前の先生として教壇に立たれるわけである。そういう意味では、しっかりした授業ができるように、教育公務員として、しっかりとした研修をしていただきたいという意味で、その研修の機会を県から提供している。
184名の中には、結婚式あるいは現在、妊娠中、産休中の理由等で御出席いただけない方もいたが、その方々からアンケートで声を聞くと、4月からの不安が研修で払拭できるということで、出席してよかったという意見をお聞きしている。
◯佐藤委員 教育委員会が主催し、受講し、アンケートをとって、役に立たなかったなどと書く先生はいない。役に立ったと書くに決まっているではないか。だから、実際にどの程度、こういう研修をやって、もちろん再質問でも言ったが、英語の講座を受講するなり、本を読めば、その人にプラスになるから反対しているわけではない。疑問を出しているわけではない。なぜ、急にこういう過剰で、しごきのような研修を急にやり始めるのかという意図がわからない。だから、そういう研修をやればいい教員になるかというと、必ずしもそうではないと思う。むしろ学校現場では、ストレス、いら立ちから教員間でのいじめ、パワーハラスメント、嫌がらせが最近ふえ始めている。教育委員会から多くの課題が来ると、教員でもいらいらが募りストレスがたまる。
だから、そういう問題を解決せずに、とにかく英語を聞け、課題図書を10冊読めと言うことだけでは、問題の解決に全然ならないと思う。
教育長、なぜ、この問題を少しでも改善しようというのか、よくわからない。
◯教育長 今の教員を取り巻くような、病気でお休みになるとか、学校環境の問題については、学校組織を含めて対応していかなければならないが、もう一つの問題は、子供たちのためには、教員自身が学び続けて、どんどん変わっていく時代を吸収していかないといけない。そのためには、今申し上げているような本を半年間に、逆に言うと読まない先生がいるとすると、逆に批判を受けるようなものではないかと思う。しかも、専門書などの非常に過重なものを何十冊も研究論文を書けという形ではなく、一般的に、子供たちに伝えていく、例えば福井の岡倉天心についての三部作については勉強しようと、中央教育審議会の議論の中で、教員についても大学院修士課程卒業に上げていこうという議論があるが、それは決して、指導技術だけを学ぶことだけではなく、当然、素養や人格をどう高めるかが求められていると思う。
そういった意味で、県として最低限の語学を勉強するほうが、春から子供たちのために教壇に立っていただく方にはふさわしいと判断して研修している。結果的に、1冊の本を読むのも、人によって何日もかけてじっくり読む方もいるだろうし、5時間か6時間で読み上げる方もいると思う。
だから、決して全部記憶しなさいという意味ではないので、これまでの先生方も実施されているような形でお願いするということであって、特別なことをするのではなく、これから教員として学び続けるものを新規採用者へもメッセージとしてお伝えして、取り組みを始めていただいているので、またこの中で実際にされている先生方の意見もこれから聞きながら、新しく考えるべき点は、今後研究していきたい。
◯佐藤委員 石川県などでお聞きすると、任意の研修であるとはっきり明記してあって、受講する受講しないは、その人の判断に任せると明記されている。福井県の場合も任意になるのかもしれないが、事実上は全員受けるのが当たり前という表現を見直すことが必要だろうと思う。
それと、職業系の内定者に対する英語研修の概要を教えていただきたい。
◯英語教育推進室長 職業系の高等学校の主に12校に対して、就職が内定した生徒たちを中心に、この秋から来年1月にかけて、週に1回程度、ALTが講師となり、その生徒たちに英語を使って、約50分のセミナーを計画している。就職内定が決まった生徒、あるいは英語に興味がある生徒がそのセミナーに参加して、英語を通してコミュニケーション活動する。その中で、学校によっては、電子メールの作成上のマナー、会話の仕方、あいさつの仕方なども身につけてもらうようにお願いしている。
◯佐藤委員 例えば、同じクラスに、もう内定が決まったからビジネス英語研修を受けられる、まだ決まっていないから研修を受けられないというルールなのか。
◯英語教育推進室長 あくまでも希望する生徒たちが対象であるので、内定している子でも行ってない子もいるし、内定していない子でも希望があれば参加可能である。
◯佐藤委員 それならいいのだけれども、要するに、これまで未内定者がふえている中で、内定が決まった生徒だけ特別に英語の授業が受けられるということではなくて、機会は均等にしていただきたいと思う。
あわせて、英語だけでなくて、これ一般質問でも言ったが、教育委員会は西川知事の方向を向いて、とにかく知事が英語だと言ったら、もう一斉に英語だとなるのではなくて、社会に出る前に、会社に勤めたときに役立つような、例えばマナーとか基本的な労働者の権利だとか、いろいろなことを教えてあげるということなども含めて、社会に出て必要な知識をトータルに事前に教育するように考えてもらうことが必要であって、英語だけ特化すればいいということではないと思う。
◯高校教育課長 当然、内定者は4月から企業で働くわけである。そのための社会人としてのマナーを勉強させるということは、もう何年も前から各学校でビジネススキルアップセミナーを開いて実施している。
■「福井ふるさと文学館(仮称)」の整備
◯佐藤委員 「福井ふるさと文学館(仮称)」の整備について2つ質問する。
1つは、津村先生からの何百点もの寄贈という説明を受けたが、津村さんというネームバリューだけに頼るとうまくない点があると思うので、図書館にしても文学館にしても、県民のいろいろな文学運動や文学に対する意欲を、どううまくリンクさせていくかをどう考えているのか、1点目である。
もう一つは、残念ながら、県立図書館の中につくると、今の県立図書館内の郷土文学コーナーが全部なくなる、あるいはパソコンコーナー等、いろいろな影響があると思う。だから、これまでの利便性がなくなっていく問題をどうクリアしていくのか。
◯生涯学習・文化財課長 1点目、津村先生の作品は一番多いが、それ以外の福井県関係の多くの文学資料をもとに、その後、県民が文学に対して興味を、関心を持つように、教育普及活動について今後、展開していきたいと考えている。特に、講演会や文学散歩等により、子供たちも楽しめるようなワークショップを取り入れて、文学普及啓発について、このふるさと文学館がいいきっかけになるような、特に図書館に来られた方々にも、理解されるようなものを展開していきたい。
2点目の場所について、確かに、そのゾーンがふるさと文学館になるために、そこに並んだ図書等が問題になるわけだが、図書館内のいろいろな場所へ移動することによって、解決できると考えている。
それから、ふるさと文学館の中にも、そうした閲覧コーナーのようなものをつくっていきたいと思う。そこで文学館に興味を持った人が本を借りられるという利便性も図書館の中につくることができると思う。