2019年12月6日におこなわれた佐藤正雄議員の一般質問です。
◯28番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
日本中を驚愕させた原発立地自治体である高浜町の元助役から関西電力幹部への3億2,000万もの金品の還流。原資は電気料金や原発関連工事、地方自治体の公共事業の受注業者から森山元助役を通じて還流したと見られております。「関電の問題は福井県の恥です」と、福井市内の自営業の女性は憤っております。これは原発に賛成、反対の立場を問わず、多くの県民の気持ちかと思います。
この事態に、原発の再稼働などに反対する原発問題住民運動福井県連絡会や原発反対福井県民会議などを初め、広範な住民団体が、関西電力が来年にも計画している高浜、美浜原発での40年超老朽原発を動かす老朽原発再稼働に反対する「老朽原発動かすな!福井県実行委員会」を結成しました。そして、「危険すぎる老朽原発、高浜1・2号機、美浜3号機の再稼働を許さない!原発マネーの還流、関西電力に原発動かす資格なし!」と自治体要請行動、リレーデモを県内各地で繰り広げ、現在大阪の関電本社に向かっております。
振り返りますと、関西電力の原発闇マネー問題では元副社長の内藤氏がその内情を数年前に暴露したことがあります。1972年から1990年に、年間数億円の闇献金を原発推進のために政界に対して行っていたという衝撃的なものでした。政界というのは、言うまでもなく総理を頂点とした中央政界と、関西電力の原発を国内で受け入れているただ一つの福井県であります。まさに県内に関西電力の原発が相次いで建設されていった、そういう時期と重なるわけであります。
今回、明らかになった高浜町の森山元助役を仲介役とした3億2,000万の金品還流は全体のごく一部でしょう。しかし、関電の原発は福井県にしかないことから、関電によって原発の電気と原発を通じた裏金の生産地として福井県が利用されてきたことは明らかではありませんか。
元副社長の内藤氏の証言と、今回明らかとなった原発事業を通じた巨額の関電原子力事業本部を中心とした還流マネー、裏金の構造を見れば、関西電力と森山氏や政界の間には相互支配、相互利用ともいうべき関係性が見られます。事実、稲田衆議院議員や西川前知事の活動に対して関西電力などが政治資金パーティーなどを通じた支援を行っていたことは明らかになっているとおりであります。このような流れを見れば、今回の森山高浜町元助役の問題を彼個人の特別な人間性から派生しているという見方では全容解明はできません。脈々と続く黒い原発マネーの流れが本流であります。
そこで、関西電力に関して、知事に2点お尋ねをいたします。
第1は、今回のように原子力事業本部を中心として重大な社会的問題を起こした関西電力と福井県の付き合い方であります。これまでどおり安全第一にと言っているだけでは不十分であり、当然ペナルティーが必要ではありませんか。
そこで提案いたします。嶺南エネルギー・コースト計画に関して、委員やワーキンググループに関電社長を初め幹部が入っていますが、一定期間メンバーから外すべきと考えますが、知事の見解をお尋ねいたします。あわせて、ほかに知事が考えておられるペナルティーがあればお答えください。
第2は、原発事故にしても今回のような還流マネー問題にしても、マスコミのトップニュースとなり、そのたびに福井県のイメージダウンであります。こんなことがこの数十年間、福井県では繰り返されています。現在策定中の長期ビジョンも、仮に原発重大事故が起これば重大な障害となります。
1億円余りを受け取っていたという豊松前原子力事業本部長。マスコミの報道では、年内に美浜原発4号機の新設計画を発表する予定だったというではありませんか。驚きました。また、原発を80年間運転する計画も講演会で語っていたようです。県の安全専門委員会の中川前委員長の発言のとおりであります。これで10年ちょっとしか運転できない60年間の運転に、5,000億円とも言われる再稼働費用をつぎ込む魂胆が見えてきました。80年、ぼろぼろになるまで原発を酷使し、がっぽり原発マネーをつくり出すプランが関西電力の内部にはあったわけであります。
このような関西電力の原発とのお付き合いはもうやめようではありませんか。原発を稼働する限り、重大事故の危険の心配は続き、行き場のない使用済核燃料がふえ続けます。巨額の原発マネーの徘徊が続き、政治と社会をゆがめます。
知事、原発ゼロ、原発マネーからの脱却のプログラムを策定すべきではありませんか、お尋ねをいたします。
次に、福井県庁幹部への森山マネーの問題について質問します。
私は、今回の県の報告書の内容を聞いたときに、数千円程度のお中元、お歳暮をやりとりした人数が100人を超えていた、そういう多さが本質ではないと思いました。では、何が問題なのか。
その一つは、甘い倫理観の問題として県民の憤激を買った県庁組織ぐるみのカラ出張事件の教訓が生かされていない、風化しているということです。出張していないのに出張したことにして数年間にわかっただけでも21億円を超える裏金をつくって使っていた大事件でありました。規模からいえば今回の問題の比ではなく、県職員が組織的に公金をいわば横領して、一部は備品購入など公務に充てたというのもありますけれども、私物の購入や飲み食い、国内外旅行などで使われていた、まさに犯罪行為でした。ある幹部は、ハワイまで部下に遊ぶ金を運ばせたこともあったとお聞きしました。公金管理の厳格化とともに公務員としての自覚と規律が問われ、再出発して20年余りが過ぎて今回の問題。なぜカラ出張問題の教訓が生かされず、県職員としての倫理観の緩みが起こったのでしょうか。 二つ目は、闇勢力の前に県職員が公権力の行使を諦め、敦賀民間最終処分場に許可量を13倍も超える廃棄物の持ち込みを許した事件です。このあと処理の代執行のために100億円を超える税金が投入され、今も維持管理のために毎年数億円が投じられるなど、環境問題とともに県民に巨額の損失を与え続けている大事件です。
関西電力の報告書には、森山氏が「家にダンプをつっこませるぞ」、「娘がかわいくないのか」など、まさに闇勢力並みの脅しを行ったことが書かれておりました。県の報告書では、そのような具体的な森山氏の発言記述はありませんが、同一人物ですから本質は同じであります。このような人物を先生扱いし森山詣でを行い、長期間にわたり10万、20万と現金や商品券などを受け取った職員を出したことは、敦賀民間最終処分場事件の教訓、法令遵守に照らしても極めて重大であります。
このように、カラ出張事件、敦賀民間最終処分場事件という重大事件を経験し、問題点を共有してきたはずの県幹部職員に森山マネー問題が起こったことは、私自身多くの県職員の皆さんの真摯な仕事ぶりに日ごろ接しているだけに、とても残念であります。
過去の重大事件の反省と教訓がなぜ生かされなかったのか、今後過ちを繰り返さないためにはどうするのか、総務部長、副知事を歴任された杉本知事にお尋ねをいたします。
次に、森山元助役と県庁の関係についてお尋ねをいたします。
県は今回の調査について、重点は人権行政とのかかわりであり、その範囲で私が指摘した元総務部幹部も調査をしたとしております。そして、調査委員会は、「全ての調査対象者において、森山氏から請託を受けた事案や森山氏に便宜を図った事案は確認されなかった。県の発注工事など県行政に影響を与えた事案は確認されなかった」とまとめております。
ある県庁元幹部は就任後、挨拶に行かなかったら森山氏本人から電話があり、「挨拶に来い」と呼びつけられた。そして、「そんなことでは幹部は務まらん」と叱責されたとお聞きをいたしました。関西電力幹部同様、関係する福井県幹部についてもリストがつくられ、挨拶に来たかどうかの有無、金品提供の内容などが記録されているのでしょう。県の調査報告書のように、何らの県政に対する要望について森山氏は県幹部に伝えなかったというのは、関西電力幹部に対するのと同様の手法で県幹部をコントロールしようとした森山氏の言動を考えれば信じがたい面があります。
では、何のために森山氏は繰り返し県幹部と面会し、県職員もわざわざ京都まで出向いていたのかということになります。ただの雑談と食事に県職員が繰り返し京都まで出向いたのなら、職務専念義務に違反します。しかも多くの場合、面会場所は森山マネーを生み出したといわれる企業の一つ、原発メンテナンスの仕事などを請け負っている柳田産業京都支店であります。そこには双方に面談する理由があったはずです。そこで県職員に森山氏から何らかの職務行為の要請があり、その職員に10万円、20万円と金品提供が行われていれば、まさに賄賂ではありませんか。
事実、この数年の森山氏と県幹部との打ち合わせの復命書には具体的な打ち合わせ内容があり、2時間以上に及ぶこともあります。そしてこの打ち合わせと前後して、県幹部が解放同盟から要請を受ける懇談会の場には人権行政や土木行政などの幹部が参加しているわけです。配付資料のAを見ていただければ、頻繁に森山氏と県職員が面談していたことがわかります。
また、関西電力、日本原電という原発推進企業体と関連会社が一体となって、いわゆる人権の取り組みを推進し、そこに福井県の福祉部門とともに原発推進部門もかかわっていたことがうかがえるわけであります。
そこでお尋ねいたします。
県幹部は、繰り返し森山氏と職務内容の相談、打ち合わせを重ねてきたわけですが、それを通じて人権行政や土木行政などにおいて反映された点はあったのかなかったのか、お答えください。
次に、大きな2点目です。
福井市のまち壊しになりかねない福井駅前での大規模再開発事業について質問いたします。
さきの決算認定反対討論でも述べましたが、以前は総事業費250億円ぐらいと言われていたのが、ふえにふえて380億円近くに膨れ上がってきました。マンションも100戸程度の計画だったのが220戸となり、県外の準大手4社が管理する予定とお聞きしました。
しかし80億円もかけるとなると採算がとれるのでしょうか。行政や議会がチェックしなくてはならないのは、果たして事業採算性があるのかということです。入るテナントがないから市役所や県庁が入るというような繰り返しでは話になりません。つまり、それだけ民間活力がないところへ税金のカンフル剤を打って急場をしのぐだけだからであります。
本来、あの場所は稼ぐ場所であり、インフラなどでの行政支援も重要なところです。しかし、現実は西武新館の撤退です。しかも社内で新幹線の開業効果を計算してもそういう結論だと報道されました。
今、広大なエリアで再開発事業の工事を新幹線開業に間に合わせるために行ったらどうなりますか。当然、駅前へのお客さんは激減します。かつての周辺の陸橋撤去などの工事期間でも来客は40%減ったといいます。新幹線開業に間に合わせるためと称して、福井駅前を幽霊都市にしかねないまち壊しの無謀な計画です。ますますマイナススパイラルに落ち込む懸念があります。採算度外視、新幹線日程優先のやり方の見直しを強く求めます。
これからは人口が急激に減り高齢化が進むと県庁幹部も県会議員も認識しています。言うまでもなく、再開発ビルなど今後の維持管理は自己責任となるのです。今回も建設当初は百五十数億円もの税金支援が行われますが、あとはありません。長期間の維持管理にはイニシャルコストの数倍かかると言われます。
そこでお尋ねをいたします。
まず、県が、県議会で議論中にもかかわらず2月議会直後の3月29日に、新しい知事や県議会での議論をかわすかのごとく都市計画決定した性急さが問題だと指摘をしておきます。このことについては関係者からも驚きの声をお聞きをいたしました。一体県は、この事業の採算性をどうチェックしたのですか。
また、地権者との権利交換についての協議状況を御説明ください。
最後に、成年後見制度について質問いたします。
昨年も質問しましたが、まだ県内では中核機関づくりの取り組みが弱いように思います。超高齢化社会の急速な進展の中で、生活や財産管理などを円滑に進める上では重視しなくてはならない政策なのにです。
配付した資料のBは、福井家庭裁判所から提供を受けたものであります。福井家庭裁判所における後見等管理継続中の本人数は、平成25年末が1,233人、平成30年末が1,542人であり、5年間で25%ふえております。しかし、具体的な調整や担い手の育成、後見人支援体制についても、中核市となった福井市でも決まっていない状況があります。県としても中核機関の設立を初め体制整備について強力にサポートすることが必要ではありませんか。市町の調査では県内の中核機関整備はゼロ、権利擁護センター整備は4、未整備が13という状況です。
国が示した中核機関の設置期限まであと2年余り。県として市町任せではなく具体的に市町への制度創設と運用への支援をどのようにするつもりなのか、お尋ねをいたします。
さらに、成年後見制度適用が必要となる方々の中には今でもいらっしゃるわけですが、低所得者の方、生活保護費を受給されている方も今後当然ふえてまいります。その際、本人の財産から成年後見人である弁護士とか司法書士あるいは親族の方などに報酬を支払うという現行のスキームでは、事実上報酬がもらえないボランティアになってしまうわけです。国はかかる高齢者や障がい者の成年後見制度の利用支援促進事業を設け、経費助成を交付金措置しています。
そこで、県内市町における成年後見人報酬へのこの経費助成活用状況、人数と交付金額をお尋ねいたします。あわせて、市長、町長の申し立てに限るのではなく、全てについてこの制度活用を図り、急速な高齢化社会とともに進むであろう成年後見ニーズに備えるべきではありませんか。
見解をお尋ねして、質問を終わります。
◯副議長(小寺惣吉君) 知事杉本君。
〔知事杉本達治君登壇〕
◯知事(杉本達治君) 佐藤議員の一般質問にお答え申し上げます。
まず、嶺南エネルギー・コースト計画に関連して、委員やワーキンググループに関電の幹部が入っているということで、一定期間メンバーから外すべきではないか、また、さらなるペナルティーの考えがあるかといった点についてお答えを申し上げます。
嶺南エネルギー・コースト計画の策定につきましては、原子力、それから再生エネルギーなどのエネルギーの切り口を中心としまして、地元嶺南地域に人や企業や技術や、それから投資、こういったものを呼び込んでいくということで、今順次計画を策定しているところでございます。
計画の策定委員会におきましては、例えば原子力人材の育成のこと、それから廃炉、こういったことを新しい産業に結びつけていくべきだというようなこと、それからまた、試験研究炉を活用していこうというようなお話、また、電力を地域で賢く省エネなどを使いながら使っていく、そういったスマートエリアをつくっていく、こういった議論がなされているところでございます。
また、この計画の策定は単に計画をつくるということではなくて、現実にそういう社会を実現していこうということに主眼を置いている関係で、策定委員にはもともと地元の自治体を含めて関係者の皆さん、それから国、それから研究者の皆さん、さらには電力事業者、そのほかの関係を持っていらっしゃる方々にお入りをいただいているところでございます。こうした議論を、これからプロジェクトとして具体的に推進をしていくということになるわけですけれども、そういう中でやはり電力事業者も地域を支える、そういう一つのプレーヤーとして大きな役割を果たしていただく必要があるということでございまして、事案のことは事案のこととして、関西電力は嶺南地域の社会の発展のために大きな役割を果たす責任があるというふうに考えておりまして、これにつきましてはもちろん県民の皆さんに疑念を持たれることがないように、オープンな形でしっかりと議論を行った上で、今後とも進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
また、さらなるペナルティーにつきましては、関西電力については今回の事実関係の徹底究明と、それからこうしたことが二度と起きないように抜本的な再発の防止措置についてしっかりと実施をしていただいて、県民、国民の信頼を回復していただく、こういったことを国に対しても含めて、さらに今後とも強く求めてまいりたいと考えているところでございます。
続きまして、原発ゼロ、原発マネーからの脱却のプログラムを策定するべきではないかということについての御質問にお答えを申し上げます。
原子力発電につきましては、国民の生活の安定、それから産業の振興、さらにはエネルギーの安全保障ということで、国にとって非常に大きな問題であるというふうに考えているところでございます。そういったことで、福井県においては50年以上にわたってこの国の政策に志を持って協力をしてきているという状況にあるわけでございます。
国におきましては、エネルギー基本計画の中で原子力依存度をできる限り下げていくという考え方のもとに、2030年を目標として原子力比率を20~22%を目指していくというふうに述べているところでございます。ですので、これからもその道筋を早く明確にするようにということを強く求めてまいりたいと考えているところでございます。
そのほかにも、例えば廃炉の問題、40年超の運転の問題、さらには使用済核燃料の中間貯蔵の問題、こういった課題が幾つもあるわけでございまして、こうしたことを国としても方向性を明らかにする、方法論を明らかにするという中で、我々としてはこれをさらに強く求めることで今後の原子力の方向性というのを明確にしてまいりたいと考えているところでございます。
続きまして旅費問題、さらには最終処分場の問題などの重大事件の反省と教訓がなされていないのではないか、また、今後過ちを繰り返さないためにどうするのかといった御質問についてお答えを申し上げます。
旅費の問題につきましては、これは予算の確保の方法についても、また、予算の執行の仕方にも課題があったということが明らかになったところでございまして、そういう意味では必要な予算についてはしっかりと当初予算、それからいろんな形で措置をしていくということもさせていただきました。また、そういった形でお金が引き出されるということもありましたので、予算執行の方法についても見直しを行っているところでございまして、不適切な事務処理が行われないような体制を築いたところでございます。
また、最終処分場の問題につきましては、これは事務処理を行う体制が脆弱であったという問題が明らかになったところでございまして、そういう意味で産業廃棄物の担当部局の組織の強化を行いましたし、また、パトロールなどの強化も行っでございまして、そういう意味で産業廃棄物の担当部局の組織の強化を行いましたし、また、パトロールなどの強化も行ってきているところでございまして、再発防止に努めているところでございます。
今回の事案につきましては、もともとは個人的な関係から端を発しているというところが一つの別の観点だろうというふうに思っているところでございまして、そうした個人的なところから始まったということで個人任せにしてしまった、組織的な対応ができなかったというところを強く反省をしているところでございます。そういうことと、もう一つは国家公務員の倫理規程にあるような明確な基準が示されていなかったということがまた個人のほうの処理をわかりにくくさせた、そういうこともあったんだろうというふうに考えているところでございます。
そういったことから、今後につきましては綱紀粛正をしっかりと図っていく、徹底していくということとともに、儀礼の範囲というものを明確にする、また、一定額以上の贈答品のやりとりについては報告を求めるというような職員の倫理規程というものを年内に制定をしていくということもございます。
また、そういった内容について職員の倫理の研修をしっかりと行っていく、さらには個人として逃げ場がなくなることがないように相談窓口も置いていく。こういったことを図りながら、県民の皆さんに信頼していただける県政を行ってまいりたいと考えているところでございます。
そのほかにつきましては、担当より御答弁を申し上げます。
◯副議長(小寺惣吉君) 総務部長近松君。
◯総務部長(近松茂弘君) 私からは、高浜町元助役関係で1問、お答えをさせていただきます。
議員御質問の中の、県幹部は繰り返し森山氏と職務内容の相談、打ち合わせを重ねてきたけれども、人権行政、土木行政などにおいて反映された点はあったのかどうかという問いについてでございます。
森山氏につきましては高浜町元助役でございまして、県の客員人権研究員を務めるなど地域の人権問題を熟知して、行政の内容にも通じた第一人者として認識をされておったところでございます。その上で県としては、県の客員人権研究員ということでございますので、そうした地域の人権問題に係ります事業の推進でありますとか、また、研修の講師というところの選定などのためにさまざま助言を受けていたというところでございます。
そうしたことでございますので、人権のほうを担当しております健康福祉部でございますとか、人権の教育のほうを担当してございます教育庁の職員が人権研修の企画でございますとか、また人権の関係の啓発を行いますのでその啓発資料でございますとか、そういったものの内容をどうするというところでございますとか、また、地域からの要望を受けます人権問題についての懇談会への対応などにつきまして、協議でございますとか助言を得るということで打ち合わせを行う、そのために森山氏のところを訪れていたというところでございます。こうした協議でございますとか、また、この人権問題についての懇談会におけます意見交換会などを通じまして、県として必要な人権の施策というものを進めてきたというところでございます。
◯副議長(小寺惣吉君) 健康福祉部長窪田君。
◯健康福祉部長(窪田裕行君) 私から、成年後見制度についていただきました2点についてお答えをいたします。
まず、国が示した中核機関の設置期限まであと2年であるが、具体的に市町への制度創設と運用への支援をどういうふうにしていくのかというお尋ねでございます。
認知症でございますとか知的障がい、精神障がいなどの理由で判断能力が不十分な方を保護する、それからそういう支援をするという目的で、成年後見制度の利用を促進する成年後見制度利用促進基本計画というのが国において平成29年度に策定をされました。その中で、市町村に対して制度のコーディネートを担う中核機関を令和3年度の末までに設置するように促しているわけでございます。
御指摘をいただきましたとおり、現在県内で中核機関設置済みの市町はございません。ただ、全国でもまだ8%ほどの設置率にとどまっておりまして、成年後見制度の利用促進に向けた体制整備というのは、これから2年半ほど期限までございますけれども、全国的な課題となっているというふうに理解をしております。
この背景といたしましては、市町において成年後見制度を必要とする人のニーズ、全体像の把握というのが余り進んでいないとか、予算とか人員の確保というのもそれほどしっかりしたものではないとか、それから裁判所などの関係機関との調整がなかなか進まないというようなことが背景にあるというふうに私どもとして把握しておりまして、こういう状況を踏まえまして、県では市町の取り組みの促進を後押ししていこうということで、ことしの6月に福井弁護士会等との連絡会を初めて開かせていただきました。
さらに、今年度中には市町、それから関係機関を集めた検討会を開催する予定でございまして、設置に向けた課題や対策についての協議を通じまして、中核機関の設置が進むように県としても支援をしていきたいと、2年半の中では各市町とも設置を念頭に置きながらこれからの協議を進めていく考えであろうというふうに理解しておりますので、この期限までには設置が行われるものと考えております。
二つ目に、成年後見人報酬への国の経費助成の活用状況、それから人数、交付金額のお尋ねでございます。さらに、これを市長、それから町長、首長様の申し立てに限るのではなく、あらゆる申し立てに制度活用を図るべきではないかというようなことでございます。
成年後見制度の利用が、費用負担を理由にできなくなる事態を防がなければいけないということで、低所得の高齢者とか障がい者が成年後見制度を利用する際の後見人の報酬等に対して、介護保険制度、それから障がい者福祉制度の中で助成制度が設けられております。
この助成制度の活用状況ですが、まず高齢者の地域生活支援事業、この中では福井県では50件、930万円の利用がございます。この負担割合はまず保険料から23%、介護保険料から23%を出しまして、残りを国2分の1、県、市町4分の1で折半しているという形でございます。それから障がい者につきましては県内で8件、140万円の利用がございます。これは保険料がございませんので、原則、国2分の1、県と市町で4分の1ずつという負担割合になっております。これを二つ合わせますと、平成30年度の実績は58件、1,070万円ということでございます。
また、この助成制度の対象につきましては市長、それから町長が申し立てる場合にのみ限定されているわけではございませんので、県内の状況を見ましても、この58件のうち14件は市長、町長以外からの申し立てに係るものでございます。ただ、市町によって取り扱いの異なる事例もあるように伺っておりますので、この点につきましては、今後もこの助成制度の適切な活用につきまして、市町とともに協議も進めまして適切に運用されるようにしていきたい、このように考えております。
◯副議長(小寺惣吉君) 土木部長大槻君。
◯土木部長(大槻英治君) 私からは、駅前の大規模再開発事業についてのお尋ねについてお答えいたします。
再開発事業の採算性をどうチェックしたのか、それから地権者との権利変換についての協議状況についてのお尋ねでございます。
まず、この採算性について、ことし3月29日の県が決定した都市計画決定、性急ではないかという御指摘がございましたけれども、県が行いました都市計画決定は、都市計画法に基づいて3月8日に開催しました福井県の都市計画審議会において、再開発に当たっての高さ、それから容積率の上限を緩和する、いわゆる区域設定に関するものでありまして、採算性についての議論というのがこの審議の中には入っていないという状況でございます。
事業採算性につきましては、県が都市再開発法に基づきまして、再開発組合の設立を認可するときに審査するというものでございまして、先月11月に準備組合から提出をされました設立認可の申請書、これにつきまして、事業資金が十分確保されているかなどにつきまして現在審査を進めているという段階でございます。
また、地権者との権利変換についてですけれども、準備組合が権利変換計画の認可申請に向けて、現在地権者と調整を進めているという段階でございますので、民民の取引も調整事も含まれるということでございますので、こちらにつきましては県のほうでお答えできる協議現状については、今この認可申請に向けて調整が進んでいるという状況まででございます。
◯副議長(小寺惣吉君) 佐藤君。
◯28番(佐藤正雄君) 御答弁いただきましたので、何点か再質問いたします。
まず知事ですけれども、知事の答弁の中で嶺南エネルギー・コースト計画に関して、今回の関西電力の事案のことは事案のことで、関西電力には地域発展の責任を果たしてもらう必要がある云々という答弁だったと思うんですが、これでは全然ペナルティーにはならないですよね。ですから、既視感というかデジャブといいますか、前もお話ししたかもしれませんが、美浜発電所の3号機の配管が破裂して11名が死傷された事故のときに、ちょうど西川前知事がエネルギー研究開発拠点化計画というのをつくろうというところで、今回と同じように関西電力とかの社長さんとか幹部の方を委員に入れて計画委員会をやっていたんですね。そのときにも私は、こういう大事故を起こした関西電力をそのまま県の委員にしておいていいのかということを質問したら、西川前知事も今の杉本知事と同じように、それはそれ、これはこれだということなんですね。
これでは結局、今回また同じではないにしても、こういうことになってきているわけですから、全く県としてこういう点の反省がないんですよ。西川前知事のときは重大な事故を起こした、今回は重大な社会的なそういう問題を起こしたということについて、「いいですよ、県の委員そのまま続けてください」というのでは、全くこれはペナルティーにはもちろんならないし、関西電力に対して福井県として厳しい姿勢を示すということには全くならないわけですね。
ですから、杉本知事が幾ら声を荒げて全くひどい行為だということで怒ってみても、声だけ怒っても実際は仲良くやろうじゃないかということでは、全然話にならないと思うんですね。だから、はっきりとこれは何らかのペナルティーを示さないと。
普通の土木業者だったらえらいことですよ。事故を起こしたりいろんなことをしたらすぐ指名停止とかそういうことになったりするわけですから。やっぱり今回の関西電力のこの重大な事件、しかも舞台は原子力事業本部ですよ。原子力事業本部を舞台にしてこういう社会的な大事件が起こったときに、これまでどおりのお付き合いでいいのかというのはね、これ県民みんな思いますよ。だから、先ほど福井市の自営業者の女性の方の声を紹介したように、ニュースが出たときに本当に福井県民として恥ずかしいという声が出たように、それが県民みんなの声なんです。
だからこれは知事として、やはりきちんと関西電力に対して厳しいペナルティーをするべきだということで、再度お尋ねをいたします。
それからもう1点は、カラ出張、敦賀の民間最終処分場問題ということで、なぜ福井県でそういう倫理観の甘さ、あるいは闇勢力と言うとあれですけれども、いろんな脅しとかに屈するということが今回もまた起こったのかということなんです。もちろんカラ出張と敦賀の民間処分場問題と、今回の問題は背景は違いますよ。だけど、森山氏の個人的な問題だということだけで済ましては、やっぱりいけないと思うんですよ。
個人的ではないですよ。やっぱり組織的に──お手元にも配らせてもらいましたけれども、この1年ちょっとの間でこれだけお会いしているわけでしょ。10年、20年さかのぼればもっとたくさんお会いして、いろんな御指導を受けているわけですよ。皆さんの報告書によれば、いろいろ指導を受けているわけですよ。協議しているだけではないんですよ、指導を受けていると書いてあるんですよ。ですから、指導を受けて県が行政してきたではありませんか。
そのことについて、やはりそこはきちんと、問題があったということで、そういう指導を受けたこと自身が問題なんだと。そういう人物から指導を受けて、それが県の行政にどう反映したのかということはもっと明らかにしないと、これはわからないと思うんですね。
ですから、今回の県の報告書でも、吉田開発とか、あるいは警備会社のオーイングとか出されました。確かに契約とかは適正だったかもしれない。そこに、いわゆる契約上の問題というんですかね、入札の問題とか、そういうのはなかったかもしれない。しかしそれは、県のいわゆる土木工事の発注上問題がなかったというだけであって、全体の中でその業者を果たして優遇しなかったのかどうか、あるいはその警備会社を優遇しなかったのかどうか。あるいは全体の人権行政、先ほど言いましたように懇談会が持たれているわけですよ。毎年毎年、懇談会が持たれて、そこでいろんな要求が出される。それに対して県が動いているわけですから、事実上県の行政への働きかけと一体で森山氏との面会というのが行われてきたことは事実からいっても明らかではないですか。
だから、そういうことをきちんと誠実に杉本知事には御答弁をいただきたいというように思います。もう一度お願いします。
◯副議長(小寺惣吉君) 知事杉本君。
◯知事(杉本達治君) まず、嶺南エネルギー・コーストの件についてお答えを申し上げます。
先ほども御答弁申し上げましたけれども、関西電力の今回の件については当然さまざまな形で、経産省に対してもしっかりと原因の究明とその後の対策についても指摘もしているところでございます。
その上で、先ほども申し上げましたけれども、これは決して県の事業を関西電力にお願いするということではなくて、関西電力が嶺南地域で発電を行っているという事実、なおかつそうした地域にそれらを何らかの形で貢献していかなければいけないという状況の中で、委員として選ばれている、もしくは先ほど申し上げたように責任を果たす立場にあるということでございまして、当然、陰でこそこそ何をやるとかそういうことではなくて、表の場所でしっかりと議論をして必要なことについて役割を担っていただくことは大切なことだと、私は考えているところでございます。
また、これまでのさまざまな問題、旅費の問題、最終処分場の問題、こういったこととの関連の件で、闇勢力との関係とかそういうようなこともおっしゃられましたけれども、本質的には先ほど申し上げたとおり、そういったことではなくて、今回は客員人権研究員をされていた森山氏から個人的な関係でいろいろと贈答が送られてきたことからものが始まっているというのは、今回の調査の中で明らかになっている部分でございます。
確かに長年にわたって行われていた、そういったことを個人任せになっていたというところに大きな反省点があるというふうには考えておりますけれども、森山氏のところにいろいろ相談に行っている、そういう問題と、今回こうして我々が指摘を受けている、その不透明な関係と言われている部分というのは別のことであるというふうに私は考えておりまして、そういったところについては、先ほども申し上げましたけれどもしっかりと綱紀粛正、それから職員倫理規程の制定、さらには職員に対する研修等での徹底、こういったものも行いながら今回の事案については正してまいりたいというふうに考えているところでございます。