前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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日本学術会議の任命拒否を撤回し105名全員の任命を求める意見書を求める請願、高齢者医療費負担増中止求める請願不採択に反対討論

2021年02月21日 | 福井県政
2020年12月22日、福井県議会本会議での討論です。
日本学術会議の任命拒否を撤回し105名全員の任命を求める意見書を求める請願不採択には、細川県議も反対討論をおこないましたので、あわせて紹介します。

◯28番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
 第99号議案令和2年度福井県一般会計補正予算をはじめ第101号議案、102号議案、103号議案、104号議案、105号議案の6議案は、いずれも県職員の期末手当引下げを含む議案であり、反対であります。既に先般、内容はここで討論しているとおりでありますが、コロナ禍で奮闘されている県職員、教職員、警察職員の頑張りを激励すべきであり、期末手当削減はそれに逆行するものであります。

 次に、請願の委員長報告に反対の理由を述べます。請願第20号は、日本学術会議の任命拒否を撤回し105名全員の任命を求める意見書を求めるものであり、採択すべきであります。私は一般質問でも、全国900を超える学協会などから抗議の声明、見解などが出されていることを紹介し、これは学者・研究者だけの問題ではなく、政府の意向に背く研究は認めないことにつながり、憲法で保障された思想信条の自由、学問の自由への重大な侵犯にほかなりませんと指摘をいたしました。総理が全ての公務員の任免権を持つかのように菅総理は答弁しますが、それなら大学の学長や裁判官の任命も拒否できる理屈になり、独裁政治になります。主権者国民から公務員の選定、罷免権を奪い取るものです。
 そもそも科学は政治のしもべではありません。政治は少数意見も尊重しながら議論を尽くし、最後は多数決の原理が働きます。しかし科学は多数決ではなく、真理かどうかで値打ちが決まります。学問の自由や科学者コミュニティの自立性は、科学の本質が求めているのであります。加えて、任命拒否された中に福井県庁も大変お世話になった東京大学社会科学研究所副所長の宇野重規先生が含まれていることも、福井県庁と福井県議会としては看過できないのではないでしょうか。宇野先生は福井県行政の分析や計画にも深く関わられ、「ローカルからの再出発 日本と福井のガバナンス」などの著書も公刊されておられます。このような先生ですら排除していくのが菅政権の恐ろしいところであります。知事や議員が我関せずではなく、おかしいと声を上げるべきではありませんか。

 最後に、請願第21号は、75歳以上の医療費窓口負担2割化の検討中止を求める意見書を国に提出することを求めるものであり、採択を求めます。そもそも高齢者の医療費に占める国の負担分は、1983年の45%から35%に減っています。公費負担を減らすために75歳以上の年齢差別の後期高齢者医療制度をつくった害悪はますます明白です。若い世代の負担を云々言う前に少なくとも国の負担を元に戻し、国の公的役割を発揮すべきであります。消費税は安倍政権で2倍の10%に増税しながら、年金は削減、医療費負担は倍増では、国民、県民生活に与える影響は計り知れません。
 窓口負担が増えれば、具合が悪くても医療機関にかかれない方々が増えてきます。福井県民では2万5,000人もの県民が負担倍増の対象となります。もともと高齢者は加齢により受診回数などが増え、年収に対する負担割合は、40代から50代に比べると2倍から6倍の負担割合になるというのが実態です。だから、日本医師会も高齢者に追い討ちをかけるべきではないなどと反対しております。県内でも越前市議会や永平寺町議会では、住民の命と健康を守る立場からこの請願を採択しているではありませんか。国の言いなりに負担増賛成なら地方議会の値打ちはありません。コロナ禍の中で医療負担を増やすのではなく、安心してかかることができる医療政策こそ必要だと国に意見を出すことこそ地方議会の役割ではないでしょうか。
 以上、議員の皆様の良心に賛同を呼びかけて反対討論といたします。

◯議長(畑 孝幸君) 細川君。
    〔細川かをり君登壇〕


◯5番(細川かをり君) 細川かをりです。
 請願第20号の否決に反対します。
 日本学術会議の会員任命は、優れた研究、業績により日本学術会議が推薦し、その推薦に基づいて内閣総理大臣が任命するとされています。
 今回、任命拒否された6名の中に、私が直接存じ上げている東京大学教授の宇野重規先生がおられます。宇野先生は19世紀フランスの思想家トクヴィルの研究で知られ、日本を代表する政治思想史の学者のお一人で、「保守主義とは何か」、「民主主義のつくり方」などの御著書も多数、サントリー学術賞などを受賞しておられます。お父様は、国際政治学者で元成蹊大学学長並びに島根県立大学の創立に尽力され初代学長に就任された宇野重昭氏、お母様は教育学者でフェリス女学院大学名誉教授の宇野美恵子氏です。
 私が宇野先生にお会いしたのは、新宿にある「市川房枝記念会女性と政治センター」で宇野先生の講演を拝聴したのがきっかけです。民主主義についてきちんとしたお話、とても腑に落ちるお話をされる方で、その後何度かお話をさせていただきましたが、お人柄は温厚で思慮深く、でもユーモアもある方とお見受けしています。福井では日刊県民福井の「視座」というコラムの執筆者の一人ですから、それで先生の考えに触れられる方も多いと思いますし、何より福井の長期ビジョンを策定するに当たり、希望学の学びなどで県がお世話になった方です。
 例えば今年の1月23日、国際交流会館で行われた長期ビジョンの特別公開討論会で「地域の秘密が未来をつくる~鍵を握るKNT(小ネタ)理論とは~」と題して、東京大学社会学研究所の玄田教授、中村教授と共に、高志中学校の生徒たちと福井のこれからを考える上での地域の見方、考え方を討論されていました。私も参加しましたが、大変すばらしかったです。県はこうしたセミナーを、2040年までの大きな環境変化を見通し各分野の知見を深めるための第一人者による講演会としています。つまり、先生を第一人者として評価し、締めのセミナーをお願いしたということです。そんな方が任命拒否されたというのは驚きであり、大きな疑問です。
 宇野先生のような見識の高い方を拒否するならば、どういった業績の方が任命されるというのでしょうか。市川房枝記念会の方に伺うと、「すばらしいから外されたのよ」と笑い飛ばすように述べられていますし、宇野先生もさらっと受け流されているような印象です。でも、今回の請願を受け賛否を問われるならば、理由も言わないような任命拒否はよくない、ちゃんと任命すべきと私は考えます。
 以上が私の反対の弁です。


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