2012年9月 福井県議会原子力発電・防災対策特別委員会での、日本共産党・さとう正雄議員の質疑を中心に紹介します。
LNG計画、知事の原発推進のコスト論の問題
◯佐藤委員 今、話があったように、以前大阪ガスが敦賀市にガス基地を計画していたが、住民の反対等があって立ち消えとなった。今回、国が提案している内容であるが、要するにLNGガス基地をつくってパイプラインで大阪などに提供する、そういうことを想定しているのか、それとも福井県内の敦賀市、美浜町またはその近隣にLNG火力発電所の建設を含めて考えているのか。
◯総合政策部長 その両方について研究しているところである。
◯佐藤委員 そうすると、現在、火力発電のコストが非常に高いという問題があるわけである。その背景の1つに天然ガスを高い値段で買い続けているということがある。東京電力の子会社はアメリカの販売価格の9倍で買っている。日本の火力発電所の分はわざと高くしているという問題があると思う。だから本当に普及させ、取り組んでいくということであれば、天然ガス価格を原油平均価格にリンクする方式で契約するのではなく、諸外国と対等に妥当な価格で契約を求めていかないと、事業展開としてはうまくいかないとに思う。
西川知事は、原発の価格は安く、やめればコストがものすごく高くなるということを政府も電力事業者も宣伝して原発を進めなければだめだと叱咤激励しているけれども、そこには日本の火力発電の価格が非常に高いというからくりがあるわけである。
では、原発が本当に安いのかというと、地球環境産業技術研究機構の数字だと現在月額1万円の家庭電気料金が原発ゼロになれば2万円になるとある。一方、原発による発電が20%から25%だと1万8,000円になり、だいたい倍近くに値上がりするとのことである。しかし、実際には原発ゼロでも、全原発を稼働させても、電気料金は実際には余り変わらないということである。国立環境研究所の試算では原発ゼロでも20%から25%にしても、2030年の料金は月額1万4,000円と変わらないということで、いろんな試算のとり方、統計のとり方でいろいろなばらつきがあるわけである。
西川知事が原発を推進したいという気持ちがあるのは重々承知しているわけだが、原発をやめると電気料金が高くなるということをもっと宣伝して、国民をおどすようなことを知事、県が先頭に立つというのは、いかがなものかと思う。それは今言った原発のコスト論の問題、もう一つは日本の火力発電所のコストが高いからくりの問題、こういうものをやっぱりきちんと考えて情報提供しないとまずいのではないかと思うがどうか。
◯安全環境部長 まず、前提として申し上げるが、県は別に原発を積極的につくりたいということではなくて、あくまで国のエネルギー政策に協力してきたということである。ただ、それについては安全を第一にしていきたいということで、その姿勢でずっといるということは申し上げておきたい。それから今話にあったおどしにつかうというのではないとは思うが、知事も本会議でも答弁したが、エネルギー戦略というのは、これは国家の最重要課題であって、どう国家の姿にもっていくかについて真剣な議論をしなければいけない。その際には電気料金であるとか、エネルギーの調達の安全保障であるとか、そういうことも全てちゃんと説明をして判断をしていくべきであるという趣旨で申し上げているので、ぜひ理解をお願いしたい。
◯佐藤委員 大飯原発の再稼働にあたって、関西の住民に対しては計画停電になるかもしれないと言われたわけである。結果論と言われるかもしれないが、一般質問でも述べたように、実際には余裕があった。電気が足りない、計画停電になるかもしれないということはクリアされた。東京でも、九州でも乗り切ったということだし、関西圏内でも大飯が再稼働しなくても乗り切ったというデータがある。それが出てくると今度は電気料金が高くなるとデータを出す。部長はおどしではないって言ったけれども、そういうアナウンスがされれば、国民は、停電になるのは大変だ、電気料金が倍にもなるのも大変だ、という感情になる。情報の一部だけを取り出して、関西電力や民間企業がやるのとは違って、知事や県がそういうアナウンスをするのは問題点があるのではないかと言っている。
◯安全環境部長 データ、客観の情勢については国民の前へ明らかにして、そのうえで真剣な議論をすべきであるというのは、当然のことである。
また、電気についても、佐藤委員の指摘のように結果論というのはそのとおりであって、当初見込んだ供給を超えたのは、この夏でも19日あるということが既に発表されているけれども、それについては供給の責任を持つ電力供給業者がさまざまな供給の努力をし、また節電も昨年に比べ、国民がさらに協力したことが重なって、結果として停電が避けられたのではないかと考えている。これについても分析はいろいろあろうかと思うし、安定的な電気の供給は、国民の生活、産業を守るうえで絶対必要である。実際の供給の責任を持つ国、事業者等が実際にこの辺はしっかりと議論して結論を出していくべきと考えている。
大飯原発再稼働の問題点
◯佐藤委員 福島のような事故が起こればものすごく大変なコストがかかる。このような事故が起こらないにしても使用済み燃料の処理、処分を百年単位あるいは何万年単位で管理していかなければならないことを考えれば、これは大変なコストが実際にかかるわけだから、やはりそういうことも含めてきちんと情報を公開して議論することが大事だと思っている。
それで大飯の原発の再稼働の動きであるが、新聞記事を探したのだけれども出てこなかったのであるが、たしか官房長官だったと思うが、暫定的に再稼働したとき、これを法律のような形でほかの原発にも適用していくと記者会見で述べられたと記憶している。ところが、マスコミによれば、原子力規制委員会では大飯の基準はもう適用しない、あのときは暫定基準だと議論されていると報道されている。あくまでもそのときの話で、新しい基準については来年の一定の時期までにつくり、その基準に基づいて安全面からそれぞれの原発について判断していくと、原子力規制委員会は述べていると報道されていると思う。政府の当時の見解と今の原子力規制委員会の見解が180度変わったと思うが、そういう認識でよいか。
◯原子力安全対策課長 新しい原子力規制委員会は9月19日に発足した。だから今後の発電所の安全規制、再稼働の判断、これは新しい原子力規制委員会でやることになると思う。今、指摘の再稼働にあたっての安全性の判断を、原子力規制委員会では新しく国の安全の基準をつくったうえで判断するというのは、記者会見等での発言を見ていると読み取れる。まだ、明確に示されたものではないが、その安全基準というのは原子力規制委員会の発足後、法律で10カ月以内というめども決まっているので、その中でどういう基準をつくってどう判断するのかは原子力規制委員会が進められることと理解しており、最初に言われた取り扱いはあくまでも原子力規制委員会ができるまでのことだと理解している。
◯佐藤委員 それは原子力安全対策課長の答弁のとおりだと思うが、当時も大飯原発再稼働反対という声が強かった中、政府の国民に対する説明では、再稼働の基準は、ほかの原発にも適用していく、この基準で大丈夫であるということで、ある意味では国民を説得しようとした。そのときの政府の国民に対する説明と今の原子力規制委員会の説明とは180度変わったということを確認したい。
◯原子力安全対策課長 大飯原発を再稼働した判断は、原子力安全・保安院と原子力安全委員会、さらに事故後、政府が決めた4大臣によるストレステストの実施、そういう枠組みの中でやっている。それらに対して今後は新しい原子力規制委員会が安全性を判断するにあたってのいろいろな基準を新しく策定すると言っており、どういう形で示されるのかは、今見えていないので、違っている、違ってないというのは今の時点では言えない。
◯佐藤委員 県庁を批判してもしようがないかもしれないが、いいかげんな政府だと思う。大飯原発の再稼働のときに、あれほど国民に対して説明して納得させようとしたのに、政府のもとでの新しい機関ができればころっと変わってしまうが、大飯原発はそのまま動かしている。国民に対してきちんと政府としての説明をしていないというのは、非常に無責任だと思う。
課長が言われたように、原子力規制委員会の田中委員長は記者会見でこう言っている。「ストレステストを含む暫定基準というのがあったが、これについてはそれにとらわれないで新たな基準で見直していく。暫定基準については幾つか抜け道がある。40年を超えて20年延長するなどということは相当困難なことである。UPZを含めて大きく変わる。免震棟の問題、オフサイトセンターの問題、総合的に判断していく。今後、稼働の条件に入るようなバックフィットの場合にはそれができるまでは稼働できない。委員会としては稼働を許可しない、できない」とある意味では明確に述べている。これは記者会見だから、何か正式な文書で出されているわけではないが、委員長の発言としては重いものだと思う。
我々は、田中委員長が国会の承認を得ず任命されたことを批判しているが、その委員長ですら大飯原発を再稼働した基準については抜け道があるのだという批判している。その基準で再稼働しているというのは、やはり国民、県民にとっては大きな不安だと思う。だから一旦、政府、原子力規制委員会がこのようなことを言い出した以上、県としてそのようないいかげんな原発行政は許されない。一旦、大飯原発は止めていただきたいと言って当然ではないか。
◯原子力安全対策課長 原子力規制委員会の田中委員長の記者会見のことなので、我々としてコメントすることはできない。今後、原子力規制委員会としてやるべきことをいろいろ委員長として考えて言われていると思う。暫定基準と今後の新しい基準の関係、例えばシビアアクシデントにおいてどういうものを基準として考えるべきか、1つには津波と地震、それらに対して今後どうするのか。これは法規制の中で検討されるが、多分そのようなことをいろいろ言っているのではないかと、類推している。そういうことで、今の安全性そのものに対して特段、委員長は言われているのではないと理解している。
◯佐藤委員 国民に対しては説得力がない。やはり安全上、極めて高度なことが求められている原発を動かしたり動かさなかったりということ自体が大きな問題だと思うのである。だから原子力規制委員会が不十分ながらできた以上、原子力規制委員会の基準に照らして大飯原発はどうなのか、少なくとも審査を受けて妥当と結論が出るまで、夏も乗り越えたことだから、稼働の中止、停止を求めるというのが、県民、国民に対して筋だということは要求しておきたい。部長、何か発言があれば。
◯安全環境部長 原子力安全対策課長から説明したように、原子力規制委員会の田中委員長の発言はどれだけの議論を行ってなされたものか、全くわからない。発足後すぐに記者会見で述べており、佐藤委員が引用されたところもあるが、一方で原子力規制委員会の田中委員長は大飯原発について今は止める必要はないとも言っていた。どのような中身なのかということについては、原子力安全対策課長が申したように、よくわからないというところが実態である。
大飯原発の再稼働については、まず原発の必要性を国としてしっかり総理大臣に位置づけていただいて、丁寧にその時点でわかる範囲の福島原発の知見を生かした安全基準を決めて、それにより再開した。これから原子力規制委員会がどういう基準をつくるかについては、しっかりと早く議論をして、福島の知見を生かした基準をつくっていただきたいというのが現在の我々のスタンスである。
◯佐藤委員 革新的エネルギー・環境戦略が出たときに知事も怒って、改めてあの約束は何だったのかと、きちんと総理の記者会見を求めるというふうに言われた。それで記者会見は実現していないではないか。だからやはり無責任な原発の運転計画はだめだということを言っている。
◯安全環境部長 今回の革新的エネルギー・環境戦略であるけれども、これが一体どういうふうに決まったか、これ自体よく理解できない。私どもとしては総理大臣が6月に会見した必要性に基づいて答弁しているところであって、これについては政府として今現在どういうふうな位置づけにあるのかについて、しっかりと県民に説明していただく必要があるということで知事も答弁を申し上げた。これからさまざまな検討がなされることは原子力規制委員会等で理解しているけれども、原発の必要性を確認した上で、安全性を確認し、再稼働に同意した、このスタンスは変わっていないということである。
日本海側の地震・津波調査
◯佐藤委員 文部科学省の方で日本海側の地震、津波の調査を来年度予算要求するとのことだが、どういう内容で幾らぐらい予算づけがされる見込みなのか。
◯危機対策・防災課長 概算要求の中で文部科学省が要求しているということは聞いているが、その内容について、詰まったものは聞いていない。
◯佐藤委員 きのうの新幹線地域鉄道調査特別委員会では、大体の予算のことは理事者答弁ができている。なぜ、肝心の防災対策の予算のことは答弁できないのか。
◯危機対策監 日本海側における日本海地震の津波調査プロジェクトということで、文部科学省では7億900万円という数字で概算要求していると聞いている。
◯佐藤委員 その調査の範囲はどの辺なのか。
◯危機対策監 日本海側のこういう範囲ということで示されていて、そこでの日本海地震の津波調査という形での範囲設定というくらいの情報である。
◯佐藤委員 大体何年間ぐらいの計画で調査するとされているのか。
◯危機対策監 どういうスケジュールでどう進められるかについては、まだ決められていない。まずは、来年度の概算要求として、7億900万円を文部科学省としては概算要求しているということである。
防災対策範囲の拡大で福井県が政府に異議?
◯佐藤委員 徹底して要求してほしい。私どもは文部科学省へ要求したけれども、新潟県は5億円の5年間、25億円かけて調査したと聞いている。もちろん太平洋側はしっかりと調査している。福井は関西圏だから、原発でもしもの事故が起これば、日本経済にとって大変な事態になるわけだから、しっかりとシロかクロか、グレーか、いろいろなことを含めて、調査されてないということ自体が問題だから、強く求めていただきたいと思う。
防災の関係で、「9月13日、東京電力の事故を踏まえて、防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲の見直し作業を進めていた原子力安全委員会に対して、全国最多14基の原発を抱える福井県が昨年10月、拡大された範囲内の地域が危惧視されてしまうなどと懸念を伝えていたことが安全委員会の開示した文書でわかった。範囲拡大に伴って電力事業者と新たに安全協定を結ぶ自治体が増えることにも言及。政府や事業者に対する発言力の総体的な低下を警戒したと見られる。」という報道があった。事実確認であるが、県の誰が行って、誰に会ったのかまず確認させていただきたい。
◯安全環境部長 行ったのは私である。原子力安全委員会の事務局の課長クラスの何人かの方と会った。報道については、かなり推測も入っており、特に資料を出すことはなしに、さまざまな意見交換をしたが、原子力安全委員会側でメモされたものが公開された。趣旨はかなり受け取り方が違っていて、その当時申し上げたのは、防災対策を実施すべき区域には根拠が必要である。そうしないと、とても住民に説明できないし、ちゃんと科学的根拠をもってやってほしい。そうしないと、我々は非常に心配であると申し上げた。その「根拠をもって」という部分が全く無くなって、懸念のところだけが報道された。
◯佐藤委員 公開された文書は見ていないが、やはり、福井県庁の幹部が防災対策の範囲の拡大と積極的な取り組みに消極的なあらわれだと思う。以前、予算特別委員会でも調査があるが、そういう議論になっていくとまずいというようなことが、県庁内部で議論されたのではないかと尋ねたら、そんなことはないというような答弁だったけれども、やはり大飯原発3号機、4号機が稼働している県にしては、取り組み方がスローではないか。そういうことだから京都府の幹部から福井県は大飯原発の再稼働に際して、関西圏の圧力があったので、広域の協力を求めることにちゅうちょされているのではないかと要らぬ憶測まで呼んでいるわけである。
関西地域も含め、事故になれば大変なことになることはシミュレーションでわかっているわけだから、福井県は積極的にきちんと取り組もうという意思表示をまずはする。具体的計画は、今、議論があったように、原子力規制委員会での具体的な手続とか基準とかマニュアルとか指針とか出てこないと定められないということはあるだろうけれども、合同で取り組んでいこうという意思表示すらもされてないから、こういう要らぬ誤解を生むということではないか。
県庁にそういう防災計画の範囲の拡大に非常に消極的な考え方があるのが大きな問題と思うのである。だから福島原発事故を受けて、ああいう事故は起こさないのだけれども、もしああいう事故が起こったときにはどうするかということはやっぱり考えないといけない。その辺はどうか。
◯安全環境部長 全く心外な発言であって、私どもは当初から防災対策についてはどういう根拠を持って、どういうふうな想定、またどういうふうに実際動くのか、実効性のある計画を持たないと住民にはとても説明できないということはずっと申しているし、今も変わっていない。そういう意味では5キロメートル、30キロメートル等々についても、科学的根拠をもって国で手順をもって説明してほしいというのはずっと申しているところである。これをもって消極的であるなどと言われるのはかなり心外であって、原子力防災について住民に責任を持って説明する場合には、実効性、実際にどういうことがあって、どういうふうに避難するのか、またこれらをどう伝えるのか等々していかないと、行政として責任がない態度だと思うので、今後とも国にしっかりと科学的根拠を求め、具体的な実効性ある計画をつくっていくということである。
◯佐藤委員 先ほどの議論があったように石川県は富山県と協議を始めている。関西広域連合でも協議を始めている。九州でも原発のある佐賀県と近県が協議を始めているという状況がある。京都府、滋賀県など向こうは心配してつくろうということで動き始めているのに、福井県はそういう議論のテーブルもつくらない、呼びかけない。やはり原発のある福井県がそういう問題をリードする考えはないか。
◯安全環境部長 それについてはもう何度も答えているが、まず、県民については、原発に近いほうが危ないというのは間違いないので、近いところから実効性あるものをできることからやっていくという方針でいる。また、広域については、そもそも、滋賀県のどこまで避難するのか、どうするのか、遠くについては、これは国が原子力上の防災であるので、国が責任を持って調整すべきものであると求めるということである。
福井市のヨウ素剤配備計画に県が横やり?
◯佐藤委員 先ほどの安定ヨウ素剤の配布の議論では、予算はついているが具体的な指針が決まってないので、配布できていないという話であった。では、福井県内の17の自治体のうち、国、県が想定しているエリアを超えて自治体独自で安定ヨウ素剤の配備を拡大しようとしているところはあるか。
◯地域医療課長 県内の安定ヨウ素剤の市町での配備であるけれども、従来持っておられる市町としては、越前町、南越前町が配備している。
◯佐藤委員 では、独自に配備範囲を全エリアに対象に広げようとか、そういうことをやっている自治体は生まれているか。
◯地域医療課長 福井市が検討されたという新聞報道等がされたことは承知をしている。
◯佐藤委員 新聞報道等でという言い方だったが、その後、すぐ福井県庁から福井市に問い合わせが入ったと聞いている。本当にそんなことをやるのかという問い合わせだったということである。どの課からはわからないが、問い合わせをしたのか。
◯地域医療課長 そういうような報道がなされたので、事実の確認はさせていただいている。
◯佐藤委員 ちゃんと福井市と連絡をとっているではないか。それで、そんなことを考えているところはほかにはないと県庁はつけ加えたと聞いているが、防災対策、防災計画をそれぞれの市町が一生懸命考えてやろうとしているのに対して、県庁が横やりを入れるのは大きな間違いだと思うがどうか。
◯地域医療課長 事実を確認した上で、安定ヨウ素剤の取り扱い方等について、配布、医師の立ち会い、そういう条件面について情報を提供したという事実はある。
◯佐藤委員 やはり福井市が一生懸命取り組もうとしていることに対して、県庁がブレーキをかけるようなやり方が実際に行われているわけである。なぜそういうことになるかといえば、県庁が全県民対象にもっと積極的に、いざというときには考える、県庁が責任を持つ、そういうスタンスが自治体や県民に映っていないというのが大きな問題だと思うので、ぜひ改善を求めて終わる。
◯地域医療課長 ブレーキをかけたといったことは全くなくて、福井市に対して事実を確認するとともに、そのヨウ素剤の取り扱いについて情報提供したということである。
大飯原発調査
◯佐藤委員 大飯原発の再開の調査は10月に中間報告、12月にまとめということを聞いているが、これは関西電力の調査スケジュールとして12月中にまとめるということでよいのかということと、その間、政府はどういう形で点検をするのか。福井県と福井県の原子力安全専門委員会はどういう形で点検するのか。
◯原子力安全対策課長 目標とする完了時期は、委員言われたとおり、10月の下旬ごろに中間的な形が見られるのではないか。原子力規制委員会による現地調査が受け入れられるということで進めているが、その中でも、例えば海上音波探査の増加であるとか、ボーリング調査の追加であるとか、新たな調査の追加も指示を受けており、どの程度の中でそのものが見えるかというのは、10月下旬になってみないとわからない。
現在やられている破砕帯の調査については、原子力規制委員会の検査官が、必要であれば立ち会いし確認すると理解している。
◯佐藤委員 原子力規制委員会の専門家のチェックのやり方はどうか。各界のメンバーを集めてやるとか、これまで関係していた学者か、それともこれまでそういう活断層の安全審査に関係してなかった専門家を呼んできて、チェックしてもらうのかとかいうことが具体的にはどうなっているのか。
また、原子力安全専門委員会の人がそこにどう関わってくるのか。
◯原子力安全対策課長 規制委員会の方針では、地質関係とかいろいろな学界の方から推薦してもらい、複数名で現地の調査を行いたいというのが、担当委員の発言かと思う。そういう意味で、複数名のそれぞれの分野の専門家による現地調査が行われると理解している。県としては、トレンチ調査の明確な形などのデータが見られる状況になった場合に、現地へ行って事業者から説明を受けるという形を考えている。時期がどのぐらいになるかというのは、状況によるかと思う。
◯佐藤委員 前にも要望したのであるが、原子力安全専門委員会の委員に加えて、これまで原子力の審査に携わっていない専門の臨時委員に任命し、福井県としても調査に責任を持つ、県民に責任を持つというスタンス、関電の調査、国の調査、福井県の調査に取り組み、万全を期していただきたいと思うがいかがだろうか。
◯原子力安全対策課長 県では、京都大学の地質学の専門家を既にお願いしている。その専門家はこれまで耐震安全性、原発の安全審査に直接かかわっている人ではないので、ある意味、非常に中立的なアドバイスをもらっている。その専門家を中心に、現在の耐震関係の専門家、一般耐震関係の専門家に審査いただくのがいいのではと考えている。
◯佐藤委員 やはり国民、県民から見て、これまでの原子力村と関係のない専門家によって、白だとか、黒だということが、情報公開、情報提供されることが非常に大事だと思うので、再度求めておく。
きょう開かれた原子力規制委員会のニュースでは、議論になった原子力防災の関係で、地方の意見を聞く場を設けるというようなことが流れていた。これは具体的にどうなるのか、また福井県には具体的に話があるのか。
◯安全環境部長 私も先ほど昼のニュースでそういうような話があったということは聞いたけれども、具体的な話はまだない。
◯佐藤委員 福井県もそういう場に入って、こういう議会や県等の意見を含めて、きちんと原子力規制委員会の委員に伝えていくことが非常に大事だと思うので、国からの声がかかるのを待っているのではなくて、積極的に原子力規制委員会に出かけて行って、きちんとした防災計画をつくるということで、福井県も共同責任を果たしていただきたいと思うがどうか。
◯安全環境部長 今度の原子力規制委員会は、そういう意見を聞く場やメンバーはあちらで選ばれるようであって、むしろ原子力に関係のあるところは排除するような方針も持っておられる。私どもが行けるかどうか話を聞く。
オフサイトセンター見直し問題
◯佐藤委員 オフサイトセンターの機能の見直しというのは、具体的にはどういった点を見直ししたのか。
◯危機対策監 3・11を踏まえて、今、国でオフサイトセンターの機能をどういうふうに見直すかという議論がある。大きく言うと、一つは距離。今までは20km以内ということであったが、5kmより外で30kmより中という基準がある。
次は、放射線防御について、今までは放射線を遮断するといった基準はなかったが、フィルターをつけて遮断するといった機能が必要ということ。
もう1点は、大きな地震があった場合に、複合的な災害も想定して、オフサイトセンターで一定期間、自家発電によって、外からの供給がとまっても電力が確保できる、外から水が供給されなくても、一定期間はオフサイトセンターの中で確保できる、そういった点がオフサイトセンターの条件として必要だというような見直しとのことである。
◯佐藤委員 ソフトというか、オフサイトセンターの活動そのものの見直しは全然ないのか。
◯危機対策監 今の見直しというのは、福島原発の事故で、オフサイトセンターが十分機能しなかったということを踏まえて、こういう要件を備えていくべきだというものの見直しである。
◯佐藤委員 オフサイトセンターのあり方の検討会で、福井県の元原子力安全対策課長も委員をされていたけれども、心配されていたのは、これからは事故収束のためのオンサイト業務はしないということで、実際の事故情報がきちんとオフサイトセンターに伝わらなくなるというのはいかがなものかということだった。そういうソフト機能というか、事故情報の提供とか、そこに国の責任者も来る、事業者も集まってくるという、ソフト体制は全然変更ないということか。
◯危機対策監 今は要件の話だったが、今、オフサイトセンターのあり方の中では、オフサイトセンターの位置づけも議論になっている。今、防災基本計画が見直され、これから災害対策指針も出てくるという状況になってくるが、その中で、オフサイトセンターについては、オンサイトとオフサイトで分けて、オフサイトのことをやると位置づけられていくというような議論があった。それに基づき、国は考えていくということは事実である。
◯佐藤委員 事実であると言ったけれども、福井県についてはどういう評価するのであるか。
◯危機対策監 やはりオフサイトの対策とオンサイトの対策が十分連携、連絡をして、本当に安全な体制というのはつくられるし、防災上も動きができると思う。正直言って、オンサイトとオフサイトを分けるというのは、本当に両方の連絡体制がうまくいくのかと心配しており、国に対しても、分けることは問題がある。オンサイトの対策とオフサイトの対策が互いに連携、連絡して、一体として動ける体制にすべきだと言っている。
◯佐藤委員 そのとおりだと思う。だから、オフサイトセンターを通じて住民に避難などの情報提供がされるわけであるから、情報が入らないということになると、住民への避難などの情報が県民に対してどう提供されるのかが非常に不安になるから、県の立場をしっかりとしていただきたいと思う。
LNG計画、知事の原発推進のコスト論の問題
◯佐藤委員 今、話があったように、以前大阪ガスが敦賀市にガス基地を計画していたが、住民の反対等があって立ち消えとなった。今回、国が提案している内容であるが、要するにLNGガス基地をつくってパイプラインで大阪などに提供する、そういうことを想定しているのか、それとも福井県内の敦賀市、美浜町またはその近隣にLNG火力発電所の建設を含めて考えているのか。
◯総合政策部長 その両方について研究しているところである。
◯佐藤委員 そうすると、現在、火力発電のコストが非常に高いという問題があるわけである。その背景の1つに天然ガスを高い値段で買い続けているということがある。東京電力の子会社はアメリカの販売価格の9倍で買っている。日本の火力発電所の分はわざと高くしているという問題があると思う。だから本当に普及させ、取り組んでいくということであれば、天然ガス価格を原油平均価格にリンクする方式で契約するのではなく、諸外国と対等に妥当な価格で契約を求めていかないと、事業展開としてはうまくいかないとに思う。
西川知事は、原発の価格は安く、やめればコストがものすごく高くなるということを政府も電力事業者も宣伝して原発を進めなければだめだと叱咤激励しているけれども、そこには日本の火力発電の価格が非常に高いというからくりがあるわけである。
では、原発が本当に安いのかというと、地球環境産業技術研究機構の数字だと現在月額1万円の家庭電気料金が原発ゼロになれば2万円になるとある。一方、原発による発電が20%から25%だと1万8,000円になり、だいたい倍近くに値上がりするとのことである。しかし、実際には原発ゼロでも、全原発を稼働させても、電気料金は実際には余り変わらないということである。国立環境研究所の試算では原発ゼロでも20%から25%にしても、2030年の料金は月額1万4,000円と変わらないということで、いろんな試算のとり方、統計のとり方でいろいろなばらつきがあるわけである。
西川知事が原発を推進したいという気持ちがあるのは重々承知しているわけだが、原発をやめると電気料金が高くなるということをもっと宣伝して、国民をおどすようなことを知事、県が先頭に立つというのは、いかがなものかと思う。それは今言った原発のコスト論の問題、もう一つは日本の火力発電所のコストが高いからくりの問題、こういうものをやっぱりきちんと考えて情報提供しないとまずいのではないかと思うがどうか。
◯安全環境部長 まず、前提として申し上げるが、県は別に原発を積極的につくりたいということではなくて、あくまで国のエネルギー政策に協力してきたということである。ただ、それについては安全を第一にしていきたいということで、その姿勢でずっといるということは申し上げておきたい。それから今話にあったおどしにつかうというのではないとは思うが、知事も本会議でも答弁したが、エネルギー戦略というのは、これは国家の最重要課題であって、どう国家の姿にもっていくかについて真剣な議論をしなければいけない。その際には電気料金であるとか、エネルギーの調達の安全保障であるとか、そういうことも全てちゃんと説明をして判断をしていくべきであるという趣旨で申し上げているので、ぜひ理解をお願いしたい。
◯佐藤委員 大飯原発の再稼働にあたって、関西の住民に対しては計画停電になるかもしれないと言われたわけである。結果論と言われるかもしれないが、一般質問でも述べたように、実際には余裕があった。電気が足りない、計画停電になるかもしれないということはクリアされた。東京でも、九州でも乗り切ったということだし、関西圏内でも大飯が再稼働しなくても乗り切ったというデータがある。それが出てくると今度は電気料金が高くなるとデータを出す。部長はおどしではないって言ったけれども、そういうアナウンスがされれば、国民は、停電になるのは大変だ、電気料金が倍にもなるのも大変だ、という感情になる。情報の一部だけを取り出して、関西電力や民間企業がやるのとは違って、知事や県がそういうアナウンスをするのは問題点があるのではないかと言っている。
◯安全環境部長 データ、客観の情勢については国民の前へ明らかにして、そのうえで真剣な議論をすべきであるというのは、当然のことである。
また、電気についても、佐藤委員の指摘のように結果論というのはそのとおりであって、当初見込んだ供給を超えたのは、この夏でも19日あるということが既に発表されているけれども、それについては供給の責任を持つ電力供給業者がさまざまな供給の努力をし、また節電も昨年に比べ、国民がさらに協力したことが重なって、結果として停電が避けられたのではないかと考えている。これについても分析はいろいろあろうかと思うし、安定的な電気の供給は、国民の生活、産業を守るうえで絶対必要である。実際の供給の責任を持つ国、事業者等が実際にこの辺はしっかりと議論して結論を出していくべきと考えている。
大飯原発再稼働の問題点
◯佐藤委員 福島のような事故が起こればものすごく大変なコストがかかる。このような事故が起こらないにしても使用済み燃料の処理、処分を百年単位あるいは何万年単位で管理していかなければならないことを考えれば、これは大変なコストが実際にかかるわけだから、やはりそういうことも含めてきちんと情報を公開して議論することが大事だと思っている。
それで大飯の原発の再稼働の動きであるが、新聞記事を探したのだけれども出てこなかったのであるが、たしか官房長官だったと思うが、暫定的に再稼働したとき、これを法律のような形でほかの原発にも適用していくと記者会見で述べられたと記憶している。ところが、マスコミによれば、原子力規制委員会では大飯の基準はもう適用しない、あのときは暫定基準だと議論されていると報道されている。あくまでもそのときの話で、新しい基準については来年の一定の時期までにつくり、その基準に基づいて安全面からそれぞれの原発について判断していくと、原子力規制委員会は述べていると報道されていると思う。政府の当時の見解と今の原子力規制委員会の見解が180度変わったと思うが、そういう認識でよいか。
◯原子力安全対策課長 新しい原子力規制委員会は9月19日に発足した。だから今後の発電所の安全規制、再稼働の判断、これは新しい原子力規制委員会でやることになると思う。今、指摘の再稼働にあたっての安全性の判断を、原子力規制委員会では新しく国の安全の基準をつくったうえで判断するというのは、記者会見等での発言を見ていると読み取れる。まだ、明確に示されたものではないが、その安全基準というのは原子力規制委員会の発足後、法律で10カ月以内というめども決まっているので、その中でどういう基準をつくってどう判断するのかは原子力規制委員会が進められることと理解しており、最初に言われた取り扱いはあくまでも原子力規制委員会ができるまでのことだと理解している。
◯佐藤委員 それは原子力安全対策課長の答弁のとおりだと思うが、当時も大飯原発再稼働反対という声が強かった中、政府の国民に対する説明では、再稼働の基準は、ほかの原発にも適用していく、この基準で大丈夫であるということで、ある意味では国民を説得しようとした。そのときの政府の国民に対する説明と今の原子力規制委員会の説明とは180度変わったということを確認したい。
◯原子力安全対策課長 大飯原発を再稼働した判断は、原子力安全・保安院と原子力安全委員会、さらに事故後、政府が決めた4大臣によるストレステストの実施、そういう枠組みの中でやっている。それらに対して今後は新しい原子力規制委員会が安全性を判断するにあたってのいろいろな基準を新しく策定すると言っており、どういう形で示されるのかは、今見えていないので、違っている、違ってないというのは今の時点では言えない。
◯佐藤委員 県庁を批判してもしようがないかもしれないが、いいかげんな政府だと思う。大飯原発の再稼働のときに、あれほど国民に対して説明して納得させようとしたのに、政府のもとでの新しい機関ができればころっと変わってしまうが、大飯原発はそのまま動かしている。国民に対してきちんと政府としての説明をしていないというのは、非常に無責任だと思う。
課長が言われたように、原子力規制委員会の田中委員長は記者会見でこう言っている。「ストレステストを含む暫定基準というのがあったが、これについてはそれにとらわれないで新たな基準で見直していく。暫定基準については幾つか抜け道がある。40年を超えて20年延長するなどということは相当困難なことである。UPZを含めて大きく変わる。免震棟の問題、オフサイトセンターの問題、総合的に判断していく。今後、稼働の条件に入るようなバックフィットの場合にはそれができるまでは稼働できない。委員会としては稼働を許可しない、できない」とある意味では明確に述べている。これは記者会見だから、何か正式な文書で出されているわけではないが、委員長の発言としては重いものだと思う。
我々は、田中委員長が国会の承認を得ず任命されたことを批判しているが、その委員長ですら大飯原発を再稼働した基準については抜け道があるのだという批判している。その基準で再稼働しているというのは、やはり国民、県民にとっては大きな不安だと思う。だから一旦、政府、原子力規制委員会がこのようなことを言い出した以上、県としてそのようないいかげんな原発行政は許されない。一旦、大飯原発は止めていただきたいと言って当然ではないか。
◯原子力安全対策課長 原子力規制委員会の田中委員長の記者会見のことなので、我々としてコメントすることはできない。今後、原子力規制委員会としてやるべきことをいろいろ委員長として考えて言われていると思う。暫定基準と今後の新しい基準の関係、例えばシビアアクシデントにおいてどういうものを基準として考えるべきか、1つには津波と地震、それらに対して今後どうするのか。これは法規制の中で検討されるが、多分そのようなことをいろいろ言っているのではないかと、類推している。そういうことで、今の安全性そのものに対して特段、委員長は言われているのではないと理解している。
◯佐藤委員 国民に対しては説得力がない。やはり安全上、極めて高度なことが求められている原発を動かしたり動かさなかったりということ自体が大きな問題だと思うのである。だから原子力規制委員会が不十分ながらできた以上、原子力規制委員会の基準に照らして大飯原発はどうなのか、少なくとも審査を受けて妥当と結論が出るまで、夏も乗り越えたことだから、稼働の中止、停止を求めるというのが、県民、国民に対して筋だということは要求しておきたい。部長、何か発言があれば。
◯安全環境部長 原子力安全対策課長から説明したように、原子力規制委員会の田中委員長の発言はどれだけの議論を行ってなされたものか、全くわからない。発足後すぐに記者会見で述べており、佐藤委員が引用されたところもあるが、一方で原子力規制委員会の田中委員長は大飯原発について今は止める必要はないとも言っていた。どのような中身なのかということについては、原子力安全対策課長が申したように、よくわからないというところが実態である。
大飯原発の再稼働については、まず原発の必要性を国としてしっかり総理大臣に位置づけていただいて、丁寧にその時点でわかる範囲の福島原発の知見を生かした安全基準を決めて、それにより再開した。これから原子力規制委員会がどういう基準をつくるかについては、しっかりと早く議論をして、福島の知見を生かした基準をつくっていただきたいというのが現在の我々のスタンスである。
◯佐藤委員 革新的エネルギー・環境戦略が出たときに知事も怒って、改めてあの約束は何だったのかと、きちんと総理の記者会見を求めるというふうに言われた。それで記者会見は実現していないではないか。だからやはり無責任な原発の運転計画はだめだということを言っている。
◯安全環境部長 今回の革新的エネルギー・環境戦略であるけれども、これが一体どういうふうに決まったか、これ自体よく理解できない。私どもとしては総理大臣が6月に会見した必要性に基づいて答弁しているところであって、これについては政府として今現在どういうふうな位置づけにあるのかについて、しっかりと県民に説明していただく必要があるということで知事も答弁を申し上げた。これからさまざまな検討がなされることは原子力規制委員会等で理解しているけれども、原発の必要性を確認した上で、安全性を確認し、再稼働に同意した、このスタンスは変わっていないということである。
日本海側の地震・津波調査
◯佐藤委員 文部科学省の方で日本海側の地震、津波の調査を来年度予算要求するとのことだが、どういう内容で幾らぐらい予算づけがされる見込みなのか。
◯危機対策・防災課長 概算要求の中で文部科学省が要求しているということは聞いているが、その内容について、詰まったものは聞いていない。
◯佐藤委員 きのうの新幹線地域鉄道調査特別委員会では、大体の予算のことは理事者答弁ができている。なぜ、肝心の防災対策の予算のことは答弁できないのか。
◯危機対策監 日本海側における日本海地震の津波調査プロジェクトということで、文部科学省では7億900万円という数字で概算要求していると聞いている。
◯佐藤委員 その調査の範囲はどの辺なのか。
◯危機対策監 日本海側のこういう範囲ということで示されていて、そこでの日本海地震の津波調査という形での範囲設定というくらいの情報である。
◯佐藤委員 大体何年間ぐらいの計画で調査するとされているのか。
◯危機対策監 どういうスケジュールでどう進められるかについては、まだ決められていない。まずは、来年度の概算要求として、7億900万円を文部科学省としては概算要求しているということである。
防災対策範囲の拡大で福井県が政府に異議?
◯佐藤委員 徹底して要求してほしい。私どもは文部科学省へ要求したけれども、新潟県は5億円の5年間、25億円かけて調査したと聞いている。もちろん太平洋側はしっかりと調査している。福井は関西圏だから、原発でもしもの事故が起これば、日本経済にとって大変な事態になるわけだから、しっかりとシロかクロか、グレーか、いろいろなことを含めて、調査されてないということ自体が問題だから、強く求めていただきたいと思う。
防災の関係で、「9月13日、東京電力の事故を踏まえて、防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲の見直し作業を進めていた原子力安全委員会に対して、全国最多14基の原発を抱える福井県が昨年10月、拡大された範囲内の地域が危惧視されてしまうなどと懸念を伝えていたことが安全委員会の開示した文書でわかった。範囲拡大に伴って電力事業者と新たに安全協定を結ぶ自治体が増えることにも言及。政府や事業者に対する発言力の総体的な低下を警戒したと見られる。」という報道があった。事実確認であるが、県の誰が行って、誰に会ったのかまず確認させていただきたい。
◯安全環境部長 行ったのは私である。原子力安全委員会の事務局の課長クラスの何人かの方と会った。報道については、かなり推測も入っており、特に資料を出すことはなしに、さまざまな意見交換をしたが、原子力安全委員会側でメモされたものが公開された。趣旨はかなり受け取り方が違っていて、その当時申し上げたのは、防災対策を実施すべき区域には根拠が必要である。そうしないと、とても住民に説明できないし、ちゃんと科学的根拠をもってやってほしい。そうしないと、我々は非常に心配であると申し上げた。その「根拠をもって」という部分が全く無くなって、懸念のところだけが報道された。
◯佐藤委員 公開された文書は見ていないが、やはり、福井県庁の幹部が防災対策の範囲の拡大と積極的な取り組みに消極的なあらわれだと思う。以前、予算特別委員会でも調査があるが、そういう議論になっていくとまずいというようなことが、県庁内部で議論されたのではないかと尋ねたら、そんなことはないというような答弁だったけれども、やはり大飯原発3号機、4号機が稼働している県にしては、取り組み方がスローではないか。そういうことだから京都府の幹部から福井県は大飯原発の再稼働に際して、関西圏の圧力があったので、広域の協力を求めることにちゅうちょされているのではないかと要らぬ憶測まで呼んでいるわけである。
関西地域も含め、事故になれば大変なことになることはシミュレーションでわかっているわけだから、福井県は積極的にきちんと取り組もうという意思表示をまずはする。具体的計画は、今、議論があったように、原子力規制委員会での具体的な手続とか基準とかマニュアルとか指針とか出てこないと定められないということはあるだろうけれども、合同で取り組んでいこうという意思表示すらもされてないから、こういう要らぬ誤解を生むということではないか。
県庁にそういう防災計画の範囲の拡大に非常に消極的な考え方があるのが大きな問題と思うのである。だから福島原発事故を受けて、ああいう事故は起こさないのだけれども、もしああいう事故が起こったときにはどうするかということはやっぱり考えないといけない。その辺はどうか。
◯安全環境部長 全く心外な発言であって、私どもは当初から防災対策についてはどういう根拠を持って、どういうふうな想定、またどういうふうに実際動くのか、実効性のある計画を持たないと住民にはとても説明できないということはずっと申しているし、今も変わっていない。そういう意味では5キロメートル、30キロメートル等々についても、科学的根拠をもって国で手順をもって説明してほしいというのはずっと申しているところである。これをもって消極的であるなどと言われるのはかなり心外であって、原子力防災について住民に責任を持って説明する場合には、実効性、実際にどういうことがあって、どういうふうに避難するのか、またこれらをどう伝えるのか等々していかないと、行政として責任がない態度だと思うので、今後とも国にしっかりと科学的根拠を求め、具体的な実効性ある計画をつくっていくということである。
◯佐藤委員 先ほどの議論があったように石川県は富山県と協議を始めている。関西広域連合でも協議を始めている。九州でも原発のある佐賀県と近県が協議を始めているという状況がある。京都府、滋賀県など向こうは心配してつくろうということで動き始めているのに、福井県はそういう議論のテーブルもつくらない、呼びかけない。やはり原発のある福井県がそういう問題をリードする考えはないか。
◯安全環境部長 それについてはもう何度も答えているが、まず、県民については、原発に近いほうが危ないというのは間違いないので、近いところから実効性あるものをできることからやっていくという方針でいる。また、広域については、そもそも、滋賀県のどこまで避難するのか、どうするのか、遠くについては、これは国が原子力上の防災であるので、国が責任を持って調整すべきものであると求めるということである。
福井市のヨウ素剤配備計画に県が横やり?
◯佐藤委員 先ほどの安定ヨウ素剤の配布の議論では、予算はついているが具体的な指針が決まってないので、配布できていないという話であった。では、福井県内の17の自治体のうち、国、県が想定しているエリアを超えて自治体独自で安定ヨウ素剤の配備を拡大しようとしているところはあるか。
◯地域医療課長 県内の安定ヨウ素剤の市町での配備であるけれども、従来持っておられる市町としては、越前町、南越前町が配備している。
◯佐藤委員 では、独自に配備範囲を全エリアに対象に広げようとか、そういうことをやっている自治体は生まれているか。
◯地域医療課長 福井市が検討されたという新聞報道等がされたことは承知をしている。
◯佐藤委員 新聞報道等でという言い方だったが、その後、すぐ福井県庁から福井市に問い合わせが入ったと聞いている。本当にそんなことをやるのかという問い合わせだったということである。どの課からはわからないが、問い合わせをしたのか。
◯地域医療課長 そういうような報道がなされたので、事実の確認はさせていただいている。
◯佐藤委員 ちゃんと福井市と連絡をとっているではないか。それで、そんなことを考えているところはほかにはないと県庁はつけ加えたと聞いているが、防災対策、防災計画をそれぞれの市町が一生懸命考えてやろうとしているのに対して、県庁が横やりを入れるのは大きな間違いだと思うがどうか。
◯地域医療課長 事実を確認した上で、安定ヨウ素剤の取り扱い方等について、配布、医師の立ち会い、そういう条件面について情報を提供したという事実はある。
◯佐藤委員 やはり福井市が一生懸命取り組もうとしていることに対して、県庁がブレーキをかけるようなやり方が実際に行われているわけである。なぜそういうことになるかといえば、県庁が全県民対象にもっと積極的に、いざというときには考える、県庁が責任を持つ、そういうスタンスが自治体や県民に映っていないというのが大きな問題だと思うので、ぜひ改善を求めて終わる。
◯地域医療課長 ブレーキをかけたといったことは全くなくて、福井市に対して事実を確認するとともに、そのヨウ素剤の取り扱いについて情報提供したということである。
大飯原発調査
◯佐藤委員 大飯原発の再開の調査は10月に中間報告、12月にまとめということを聞いているが、これは関西電力の調査スケジュールとして12月中にまとめるということでよいのかということと、その間、政府はどういう形で点検をするのか。福井県と福井県の原子力安全専門委員会はどういう形で点検するのか。
◯原子力安全対策課長 目標とする完了時期は、委員言われたとおり、10月の下旬ごろに中間的な形が見られるのではないか。原子力規制委員会による現地調査が受け入れられるということで進めているが、その中でも、例えば海上音波探査の増加であるとか、ボーリング調査の追加であるとか、新たな調査の追加も指示を受けており、どの程度の中でそのものが見えるかというのは、10月下旬になってみないとわからない。
現在やられている破砕帯の調査については、原子力規制委員会の検査官が、必要であれば立ち会いし確認すると理解している。
◯佐藤委員 原子力規制委員会の専門家のチェックのやり方はどうか。各界のメンバーを集めてやるとか、これまで関係していた学者か、それともこれまでそういう活断層の安全審査に関係してなかった専門家を呼んできて、チェックしてもらうのかとかいうことが具体的にはどうなっているのか。
また、原子力安全専門委員会の人がそこにどう関わってくるのか。
◯原子力安全対策課長 規制委員会の方針では、地質関係とかいろいろな学界の方から推薦してもらい、複数名で現地の調査を行いたいというのが、担当委員の発言かと思う。そういう意味で、複数名のそれぞれの分野の専門家による現地調査が行われると理解している。県としては、トレンチ調査の明確な形などのデータが見られる状況になった場合に、現地へ行って事業者から説明を受けるという形を考えている。時期がどのぐらいになるかというのは、状況によるかと思う。
◯佐藤委員 前にも要望したのであるが、原子力安全専門委員会の委員に加えて、これまで原子力の審査に携わっていない専門の臨時委員に任命し、福井県としても調査に責任を持つ、県民に責任を持つというスタンス、関電の調査、国の調査、福井県の調査に取り組み、万全を期していただきたいと思うがいかがだろうか。
◯原子力安全対策課長 県では、京都大学の地質学の専門家を既にお願いしている。その専門家はこれまで耐震安全性、原発の安全審査に直接かかわっている人ではないので、ある意味、非常に中立的なアドバイスをもらっている。その専門家を中心に、現在の耐震関係の専門家、一般耐震関係の専門家に審査いただくのがいいのではと考えている。
◯佐藤委員 やはり国民、県民から見て、これまでの原子力村と関係のない専門家によって、白だとか、黒だということが、情報公開、情報提供されることが非常に大事だと思うので、再度求めておく。
きょう開かれた原子力規制委員会のニュースでは、議論になった原子力防災の関係で、地方の意見を聞く場を設けるというようなことが流れていた。これは具体的にどうなるのか、また福井県には具体的に話があるのか。
◯安全環境部長 私も先ほど昼のニュースでそういうような話があったということは聞いたけれども、具体的な話はまだない。
◯佐藤委員 福井県もそういう場に入って、こういう議会や県等の意見を含めて、きちんと原子力規制委員会の委員に伝えていくことが非常に大事だと思うので、国からの声がかかるのを待っているのではなくて、積極的に原子力規制委員会に出かけて行って、きちんとした防災計画をつくるということで、福井県も共同責任を果たしていただきたいと思うがどうか。
◯安全環境部長 今度の原子力規制委員会は、そういう意見を聞く場やメンバーはあちらで選ばれるようであって、むしろ原子力に関係のあるところは排除するような方針も持っておられる。私どもが行けるかどうか話を聞く。
オフサイトセンター見直し問題
◯佐藤委員 オフサイトセンターの機能の見直しというのは、具体的にはどういった点を見直ししたのか。
◯危機対策監 3・11を踏まえて、今、国でオフサイトセンターの機能をどういうふうに見直すかという議論がある。大きく言うと、一つは距離。今までは20km以内ということであったが、5kmより外で30kmより中という基準がある。
次は、放射線防御について、今までは放射線を遮断するといった基準はなかったが、フィルターをつけて遮断するといった機能が必要ということ。
もう1点は、大きな地震があった場合に、複合的な災害も想定して、オフサイトセンターで一定期間、自家発電によって、外からの供給がとまっても電力が確保できる、外から水が供給されなくても、一定期間はオフサイトセンターの中で確保できる、そういった点がオフサイトセンターの条件として必要だというような見直しとのことである。
◯佐藤委員 ソフトというか、オフサイトセンターの活動そのものの見直しは全然ないのか。
◯危機対策監 今の見直しというのは、福島原発の事故で、オフサイトセンターが十分機能しなかったということを踏まえて、こういう要件を備えていくべきだというものの見直しである。
◯佐藤委員 オフサイトセンターのあり方の検討会で、福井県の元原子力安全対策課長も委員をされていたけれども、心配されていたのは、これからは事故収束のためのオンサイト業務はしないということで、実際の事故情報がきちんとオフサイトセンターに伝わらなくなるというのはいかがなものかということだった。そういうソフト機能というか、事故情報の提供とか、そこに国の責任者も来る、事業者も集まってくるという、ソフト体制は全然変更ないということか。
◯危機対策監 今は要件の話だったが、今、オフサイトセンターのあり方の中では、オフサイトセンターの位置づけも議論になっている。今、防災基本計画が見直され、これから災害対策指針も出てくるという状況になってくるが、その中で、オフサイトセンターについては、オンサイトとオフサイトで分けて、オフサイトのことをやると位置づけられていくというような議論があった。それに基づき、国は考えていくということは事実である。
◯佐藤委員 事実であると言ったけれども、福井県についてはどういう評価するのであるか。
◯危機対策監 やはりオフサイトの対策とオンサイトの対策が十分連携、連絡をして、本当に安全な体制というのはつくられるし、防災上も動きができると思う。正直言って、オンサイトとオフサイトを分けるというのは、本当に両方の連絡体制がうまくいくのかと心配しており、国に対しても、分けることは問題がある。オンサイトの対策とオフサイトの対策が互いに連携、連絡して、一体として動ける体制にすべきだと言っている。
◯佐藤委員 そのとおりだと思う。だから、オフサイトセンターを通じて住民に避難などの情報提供がされるわけであるから、情報が入らないということになると、住民への避難などの情報が県民に対してどう提供されるのかが非常に不安になるから、県の立場をしっかりとしていただきたいと思う。