雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

恥とつきあう ・ ちょっぴり『老子』 ( 18 )

2015-06-19 14:51:58 | ちょっぴり『老子』
          ちょっぴり『老子』 ( 18 )

               恥とつきあう

「恥知らず」とは言われたくない

私たちには、少なくとも「恥知らず」とだけは言われたくないという心理が、かなり強く働いているような気がします。
ちょっとした口喧嘩でも、「バカ」とか「アホ」とか口にすることはあっても、「恥知らず」となると、かなりお互いの心情に影響を与えてしまうような気がするのです。
『老子』も「恥」について触れています。

「 寵辱若驚、貴大患若身。何謂寵辱若驚、寵為上辱為下。得之若驚、失之若驚。是謂寵辱若驚。 」
読みは、「寵辱驚くがごとく、大患を貴ぶこと身のごとし。何をか寵辱驚くがごとしと言う。寵を上と為し辱を下と為す。之を得ては驚くがごとく、之を失いては驚くがごとし。是を寵辱驚くがごとしと言う」といった感じです。
『老子』十三章の前半の部分です。
大体の意味は、「人は、寵(チョウ・愛されること、大切にされること)を受けることや、辱(ジョク・そしられること、恥をかくこと)を受けることで心を動揺させ、大患(大きな災いとなるもの。ここでは、奢侈や宝玉などを指す)となるものを、身を尊ぶのと同じように尊んでいる。人は、寵を尊いものとし辱を卑しむべきものとしている。寵や辱を得ては動揺し、寵や辱を失っては動揺している。これを『寵辱驚くがごとし』というのである」

人には、褒められたいし、そしられたくないが・・

口では立派なことを言っていても、見え透いたようなお世辞にでも、ついつい頬が緩んでしまいます。
正義の味方のような発言をしていても、恥はかきたくないし、非難誹謗には、無意識のうちに頬をひきつらせてしまいます。
そんなことでは大事は為せない、というのが『老子』先生の教えなのでしょうが、なかなか難しい教えです。

この章の後半には、「真の意味で自分の身を尊ぶことを知っている人物にこそ、天下を託すべきだ」といった教えがなされています。
つまり、「世間の寵や辱に、おろおろしなさんな」ということなのでしょう。

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