雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

何かを求める ・ ちょっぴり『老子』 ( 7 )

2015-06-19 15:04:17 | ちょっぴり『老子』
          ちょっぴり『老子』 ( 7 )

               何かを求める

誰もが何時も欲しがっている

「不尚賢、使民不争。不貴難得之貨、使民不為盗」
これは、『老子』第三章の最初の部分です。日本語読みすれば、「賢を尚(タット)ばざれば、民をして争わざらしむ。得難きの貨を貴(タット)ばざれば、民をして盗を為(ナ)さざらしむ」といった感じです。
つまり、「(為政者は)賢人を重用しなければ、人民は功名を争わなくなる。財宝を珍重しなければ、人民は盗みをしなくなる」という意味なのでしょう。

第三章は、政治の在り方について『老子』の考えが述べられています。
中国の戦国時代のことですから、為政者とは絶対君主であり、民とは、身分上低い一般大衆を指しているのでしょう。
「賢人を重用しない」というと少し違和感がありますが、賢人というのは自ら汗を流すことのない貴族や学者などのことを指していて、民とは農民を中心とした生産者階級のことを指しているのでしょう。
身分の高下を問わず、人は誰でも常に何かを欲しがっているものなので、そのことに配慮しなければよい政治はできないということなのでしょうか。

今もあまり変わらない

中国戦国時代の政治哲学など、現在の私たちとは無縁のような気もします。
しかし、政治ということではなく、私たちの日常に置き換えてみますと、案外似た現象はよく見られます。
危険な仕事や重労働に従事している人が報われないことは、残念ながら、現代の私たちの社会にも、いたるところで見受けられます。
貴重な物が出現すれば、誰も彼もがそれを欲しがり、そこから派生する利益に対して鵜の目鷹の目になるといった現象も珍しいことではありません。
また、それを餌とした詐欺行為も少なくないようなのです。

私たちの日常生活から遠い感じのする『老子』第三章ですが、やはり、学ぶべき点もあると思うのです。

                           ( 第三章より )
                            
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