三谷てつおの県議会日記

三重県議会議員三谷てつおが議会での審議の内容やさまざまな出来事を報告。

平成25年度経営方針(案)、予算調製方針(案)から見えてくるもの!その3

2012年10月10日 15時21分58秒 | 社会、政治、三重県、議員
 「平成25年度当初予算要求にあたっての基本的事項について(案)」について少し述べさせて頂きたいと思う。この「基本的事項」は予算要求基準となるもので、当然のことながら各部はこの「基本的事項」に基づいて見積書の作成を行う。
 まず(予算要求基準)の(1)では「政策的経費」については「従来の施策別財源配分制度を廃止」するとしている。非公共、公共とも昨年度当初予算の一般財源の90%以内で要求をすることとし、しかも要求に当たっては、事業ごとの優先度(A,B,C)付を行い、その構成割合はそれぞれ1/3で、あわせて優先度付けは広く浅くの「薄切り」ではなく、事業ごとに「選択と集中」を図るとしている。
 これら「A,B,C」の優先度が付いたものを基本にさらに絞り込みが行われることを考えると、従来より一層、メリハリがつくことは間違いないものの、ある意味では知事ー総務部の関与がさらに強くなると言える。
 このことから二つの事が懸念される。一つは各部局内で優先付けされる「A,B,C」なるものが住民の立場からの「A,B,C」なのか?と言うことである。ややもすると行政の都合、部局益を優先しているとは言わないが行政の立場での優先付けになっているのではないか?このことの心配である。
 もちろんこれを「住民の側」から検証し、見直していくのが「議会」の役割であるが、果たして一度付けた優先順位を議会の意見に従って見直していくのかどうか?大いに懸念するところである。
 二つ目はこの「A,B,C」を総務部がさらに切り込んで、BやCが一層薄くなっていくとき、その判断が本当に正しいのかどうか。この点である。
 CをAにしろ!なんてことは言うはずもないが、なぜAではなくBなのか?なぜBではなくCなのか?の検証は当然必要であるし、薄くしていく過程で、なぜこの事業なのか?の精査もまた必要不可欠の作業となる。
 つまり、「A,B,C」の優先度付で1回、それを絞り込む過程で1回、予算案が出来上がるまでに少なくとも2度は議会議論を経ることが必要であり、言い換えれば、そのことを誠実に実行することが議会の責務でもある。
 また、「繰出金」「庁舎管理経費」「個別検討項目」などは「聖域なく見直す」としているのであるから、当然の事、その「要求経費」は「見直しプロセス」も含めて議会に示されるべきである。
 (6)で県債要求を24年度当初予算額の95%に上限額を設定することは評価できるものの、またぞろ「原則として」などと言う逃げ場を用意するあたりに何となく胡散臭さを感じる。
 (事務事業の見直し等)を見ると(1)で「全ての事務事業を『妥当性・必要性・有効性・効率性・緊急性』の5つの視点から点検し、徹底した事務事業の見直しを行う」とある。確かにそれはそれで「徹底して」やっていただければ結構であるが、その前にすでに実施した「事業仕分け」の総括を「徹底して」する必要があるのではないか。
 前にも本ブログで指摘したように、具体的成果(財源ねん出)があまり見えないまま何となく終わって行った「事業仕分け」の繰り返しにならないよう、もし実施するとすればきちっと結果がでるようにお願いをしたい。また同じ項に書かれている「市町等に影響のある事業の廃止・見直し(補助金削減を含む)を行う場合には、時機を逸することなく市町をはじめ関係者に対して丁寧な説明と十分な協議、調整を行う」などは「放課後児童クラブ補助金」の学習効果?と言うか反省が見られ、これは評価できる。
 (9)の総人件費の抑制では「総合的な圏点での対応、見直し」を謳っているが、その前に現在行われている管理職8~10%、一般3%の給与カットをどうするのか?これを明らかにしてもらいたい。条例本則の給与で人件費を算定しながら、いざ予算編成に入ってから事業費が足りないのでカットに応じてほしいなどと言う話では順序が逆。まず「給与」をどうするのか?これを明確してもらいたいと思う。
 (後年度負担等の把握)は当然のこと。(公社等の財産援助団体に対する指導の徹底)における「三重県行財政改革取組」に基づく「外郭団体等の見直し」は勇気をもってぜひともやり抜いてもらいたいと思う。
 いろいろと注文を付けたり、要望をしたりしておりますが、「予算審議」こそ議会と執行部の緊張感ある対話の場であり、県民の意思を明確に県行政に反映させる場であります。
 執行部におかれましては、今後の予算議論が文字通り実りあるものにするためにも、三回にわたり述べてまいりました事柄に少しは関心を持って考えて頂ければ幸いです。期待をいたしております。

平成25年度経営方針(案)、予算調製方針(案)から見えてくるもの!その2

2012年10月08日 17時50分39秒 | 社会、政治、三重県、議員
 未定稿ながら「平成25年度当初予算調製方針(案)」なるものに目を通してみると冒頭、財政状況の厳しさが述べられている。国の「中期財政フレーム」は地方の一般財源総額では平成25年度からの3年間は平成24年度地財計画の総額を下回らないとしているものの「地方の安定的な行財政運営に必要な地方交付税総額の確保」は「予断を許さない状況」としている。そして県税収入も当初予算額を50億円程度下回るとの見通しを示すとともに経常収支比率は97.1%に悪化。社会保障関係経費及び公債費が100億円を上回って増加することから毎年度一定の歳出削減を行っても、要調整額が4年間で284億円程度発生するとしている。
 これはこれでその通りかもしれない。次の章である「平成25年度当初予算編成を取り巻く情勢」の中で詳細に述べられている数字を見ても、その厳しさは納得できる。
 ただ数字が納得できたからと言って、この「調整方針(案)」を納得ができるかはまったく別問題である。
 「調整方針(案)」の2項目「当初予算調製の基本的考え方」はこう述べている・・・「行動計画に掲げた目標の実現に向けた取組を着実に推進」することを基本方針として「『平成25年度三重県経営方針(案)』を踏まえて予算編成を行います」。
 「平成25年度三重県経営方針(案)」なるものは未だ一度も議会の議論に晒されていない。いくら「予算調製権」は知事の専権事項とは言え、「住民を代表する機関」である「議会」が検証もしないまま、ごく当たり前のように「経営方針(案)」があたかもすでに確定した「方針」であるかのごとく、それを「踏まえて」、「予算編成」をする「調整方針(案)」を作成するのは文字通り「議会軽視」と言われても言い訳のしようのない失態である。
 まず指摘しておかなければならないことは「この予算調製方針(案)の正統性に疑義あり!」である。
 (2)で予算編成プロセスについて「従来の施策別財源配分制度を廃止し、部局横断的な優先度判断に基づき、限られた財源を柔軟に無駄なく配分できる仕組みに改めます」としている。また知事と部局長による協議を充実するとともに、その協議の場の公開や、査定理由の公表により「予算編成過程の透明化」を図るとしている。「仕組み」については後ほど述べるとして「透明化」は評価できる。
 鈴木知事になっていろいろと不満なことは多いが、「政策会議」の公開や今回の「予算編成過程の透明化」など「県の意思形成過程」を「公開」していく姿勢は素直に評価していいと思う。前の野呂知事時代、一貫して公開に後ろ向きであったことを考えると隔世の感すらする。
 (3)では平成26年度末の臨時財政対策債等を除く県債残高を、平成23年度末よりも減少させるため、平成25年度の新規県債発行を「抑制に努める」とある。なぜ「削減」ではなく「抑制」なのであろうか?なぜ「する」ではなく「努める」なのであろうか?官僚用語の欺瞞を感じざるを得ない。
 「平成25年度当初予算編成を取り巻く情勢」の中で特に指摘しておかなければならないことは「予算要求基準」についてである。「繰出金」「庁舎管理経費等」「個別検討項目」は「聖域なく見直し、厳しく精査」するとしている。企業会計への「繰出金」はたとえ法的にクリアをしていても、今までのごく当然のごとく繰出されているものがほとんどであり、「企業庁」や「病院事業庁」の懐に本当に手を突っ込むことができるのか?まさにこのことが試金石と言っても過言ではない。
 さらに「私学振興補助金」「商工会議所等への人件費支援」などの「個別検討項目」を見直すとなれば、そこに天下っている県職OBの処遇ともからみ、今後、そのような外郭団体への天下りをも見直すことにもなってくる。そこまでメスを入れる覚悟があるのか?その点も大いに注目をしていきたいと思う。
 「平成25年度予算要求にあたっての基本的事項について(案)」については本ブログの「その3」で述べさせて頂きたいと考えている。
 いずれにしても「正統性に疑義」がある「予算調製方針」をどこまで論じるのがいいのか悩むところであるが、一般の県民の皆様が「県予算」を考えるうえで参考になればと思っています。
 でが「その3」をお楽しみに!!!

平成25年度経営方針(案)、予算調製方針(案)から見えてくるもの!その1

2012年10月04日 19時18分02秒 | 社会、政治、三重県、議員
 10月9日に「三重県経営方針(案)」、11日には「予算調製方針(案)」がそれぞれ全員協議会において執行部から説明がある。議会の日程や政策形成プロセス変更につながりかねない一方的なゴリ押しで、しかも「昨年度とは全く違う!」と鳴り物入りでの発表であるから、これは心してお聴きしなければならないと思っている。
 それはそれとして、その全協に先立ち「会派代表にはご説明を」と未定稿ではあるが「経営方針(案)」と「予算調製方針(案)」を担当部長が持って来られた。わずか30分足らずの間に入れ替わり立ち代わりお越しになったので、十分な説明を聞く時間的余裕もなく、改めて全協でお伺いをすることとして、その日はお別れをした。
 しかし、せっかく持って来られたのであるから、全協までにザァッとであっても目を通し「予習」をしておくのは議員としての礼儀?と言うか義務であろうと考え、改めて読んでみたのである。
 読んでみて率直に感じたことは「今までとどこが大きく変わったの?」・・・とりわけ「経営方針(案)」についてその印象が強い。さすがに「予算調製方針(案)」は予算要求プロセスの変更など、いろいろと苦労をしているなあと思うが、「経営方針(案)」は「ナニ?これ?」とまでは言わないが、例年より大幅に遅らして発表しなければならないものとはとても思えない内容である。
 1「『選択・集中プログラム』において特に注力する取り組み」の(1)緊急課題解決プロジェクトや(2)新しい豊かさ協創プロジェクトを眺めてみても、すでに発表されているものや形容詞と副詞が変わっただけで従来の道路名が並んでいるだけで、「方針」とはこんなものかもしれないが、さほど感動を覚えるようなものはどこにもない。
 それでも目を凝らして見てみると「働く意欲を生かせる雇用確保プロジェクト」として「三重の若手経営者と首都圏の企業家との出会いの場の構築」、「家族の絆再生と子育てのための安心プロジェクト」の中の「親なびワーク」を「児童虐待未然防止の観点を含めて、乳幼児を持つ親を対象としてリニューアル」することや「『共に生きる』社会をつくる障がい者自立支援プロジェクト」での「経営コンサルタント」の活用など少しは期待が持てそうなものもわずかではあるが見つけることが出来る。
 おもしろそうなものとしては「スマートライフ推進協創プロジェクト」で「みえスマートライフ推進協議会」の下に「地域モデル検討会」を設け「モデルプロジェクト」を推進することなどは多少夢がもてるのではないかとも思えるが、「県民力を高める絆づくり協創プロジェクト」の「県民力拡大プロジェクトプレイベント」の開催などはいったい何をなさりたいのかサッパリ判らない。
 2の「社会情勢の変化等に対応するため、特に注力する取組」はなるほど予算でもプラスアルファをしますよ!と宣伝しているだけあって、緊急かつ重要な課題が並んでいる。特に興味を引いたのは「首都圏営業拠点の整備」。「『三重の玄関口』としてのコンシェルジュ機能を強化」すると書かれていることである。これはシステム以上に「人」の問題だと思う。「三重の玄関口」にどんな人が?それこそ「誰」が座るのか?大いに注目をしたいと思う。
 ついでに申し上げれば「新県立博物館の開館に向けた準備の推進」で「準備」を着実に進めるとあるが、その「準備」の中には「七つの前提条件」を確実にクリアすることも含まれているのであろうか?これは県民との約束であるので、絶対にいい加減にごまかすことは許されないものである。その点を強く指摘しておきたい。
 いずれにしても明日の「政策会議」で「最終案」の作成をするとのことであるので、ぜひ「なるほど変わった!」と感じるものに仕上げてもらいたい。あまり期待をすると失望に変わるといけませんので、ほどほどの期待感を込めて見守っていきます。
 次のブログでは「予算調製方針(案)」について思うところを述べたいと考えています。乞う!ご期待!!!