ぶるっと思わず震えがくるような今朝、新県立博物館の起工式があり、出席をした。起工式の会場は建設予定地に設えられた大テントの中。完璧にビニールシートで包まれてしまっている上、大きな暖房機も置いてあるので、外の寒気を忘れるような温かさが漂っている。
挨拶のトップは発注者である野呂三重県知事。上機嫌で登壇、しかもノー原稿。いつも以上の滑らかさで「この種の起工式には余り出ないのですが、思い入れが特にあり・・・」と切り出した。
なるほど知事には特別な思いれがあるのか!しかし議会にもこの博物館には特別な思い入れがある。
前回の知事選挙の公約に「新県立博物館建設」が書かれていたとの話を聞いてから1年ぐらい後か?知事の方から「センター博物館構想」に代わる「新博物館構想」を作りたい旨の提案があり、突如、費用が掛かるとの理由で、改修計画が建設計画へと変更になった。確か改修に関する基本設計か?実施設計位までできていたような記憶もある。が、変更となった。
変更当初、新博物館は文科省所管の博物館法にもとづく博物館ではないとの説明があり、所管も教育委員会から生活部になったりと色々と混乱?があったりしたが、そのうち議会議論は博物館一色の様相を呈し始め、県外視察も○○博物館と××博物館、会派の調査も博物館!博物館を語らないものは議員にあらずとまでは言わないが、長い間凍結されていた箱ものだけに、議会全体の関心を集め始めた。
議会側も執行部から出てくる「博物館構想」を受け身で審議するだけではなく、議会独自の「構想」を検討してはとの意見にもとづき「検討会」を設置して議論をしたり、議会の調査機関である財政問題調査会に博物館の県財政に与える影響などを諮問したりと、今までにない活発な活動を展開した。
その結果、将来の大規模修繕などを視野に入れたライフサイクルコストの導入や、県民参加型博物館の提唱などいくつかの具体的な提案を作ることができた。そしてトドメは「県民アンケート」の実施である。アンケートの結果は7割に上る県民が古い博物館が閉鎖されていることや新博物館を造る計画があることをご存じなかった。県民の皆さんへの啓発を付帯条件で予算が認められるまでに実に2年以上かかった。
その他、リーマンショック以降の不況の中、なぜ今なのか?もっと優先的にやるべき課題があるのでは?などなど・・・多様な民意を代表する議会が多角的に審議をする、まさに「議会の役割」を見事に果たしたケースだと言えるのではないだろうか。
知事だけではなく「議会」にとっても「思いれ」の多い新博物館の起工式が厳かに執り行われた。