三谷てつおの県議会日記

三重県議会議員三谷てつおが議会での審議の内容やさまざまな出来事を報告。

「鳥羽港改修工事に係る調査報告書」は真実を語っているか?その1

2012年08月31日 17時41分59秒 | 社会、政治、三重県、議員
 今日8月31日に「鳥羽港改修工事に係る調査報告書」がその調査を担当していた石垣副知事をキャップとする調査チームから発表された。概要版、本冊、資料集の三つからなる「報告書」をざっと目を通して、まず感じたことは誰が見てもこれで「幕引き」とはならないだろうということである。
 いくつか疑問に思うこと、不思議に感じることがこれありなので、何度かに分けて本ブログで順番に取り上げてみたいと考えている。
 まずなぜ「H造船」一者入札になったのか?なぜ落札率99.99%なのか?なぜ2億円近い予定価格をわずか1万9千円弱を切っただけで落札することができたのか?今回はこの問題を取り上げたいと思う。
 このことを考えるうえで手元にある資料の中で重要と思われるものをいくつかピックアップしてみた。
 平成21年7月13日、中部地整で行われた「今後の対応方法、補助事業費の返還及び自己繰越の可能性についての協議」で、中部地整から「応募しやすいような参加資格要件とすること」「土木一式工事としてはどうか」「中部地整では、港湾土木で発注している」「鋼殻は材料として購入してはどうか」「過去にケーソン2函の制作、据付を6ヶ月で完成した実績がある」などの助言を受けている。
 つまり不調に終わった第1回目の入札の反省を踏まえて「港湾土木で発注したらどうですか」「6ヶ月で完成した実績がありますよ」と教えてくれているのである。
 しかし7月15日に志摩建設事務所で行われた「鳥羽港調整函発注打ち合わせで」で、「鋼構造物業者へ制作+進水+曳航+仮置きの発注を総合評価でおこなう」ことが志摩建設事務所としての「発注するための条件」とし、施工実績は海洋土木工事としたものの、業種は鋼構造物工事と決定をした。
 それを受けて県は7月27日に中部地整に対して、発注業種は土木一式業者への発注も検討しましたが、「三重県においては、ハイブリッドケーソンは過去から鋼構造物業者に発注している」「前回も鋼構造物業者に発注している」ことから「今回の公告も鋼構造物業者に発注を行います」と回答したのである。
 なぜそこまで「鋼構造物業者」にこだわるのか?せっかく国から「港湾土木でどうですか」「6ヶ月で完成した実績がありますよ」と親切に助言して頂いているにもかかわらずである。
 報告書では「ハイブリッドケーソンから一般的な海洋土木工事に変更」した結果、より多くの業者(7社→23社)の入札参加が可能な条件となっていたと胸をはっているが、果たして何社が応札したのか?H造船1社ではないか!
 しかも当初から年度内完成が不可能ではないかとの指摘があるなか・・・これについてもそれを裏付けるいくつかの資料がある・・・の「鋼構造物業者」への発注である。
 調査チームの聴き取りに対してH造船は「県から、1者入札となる可能性が高いとか、予定価格に近い入札額でも大丈夫との情報は受けていない」「工期延長の約束もない」と答えている。
 それじゃあ、「誰」から受けたの?と突っ込みたくなるのは私の悪い癖ではあるが、「鋼構造物業者」以外には発注しないとする県の方針の明確な説明がないことには、このH造船の「答弁」もはなはだ説得力に欠けると言わざるを得ない。
 報告書にある「今回のような一般競争入札では、入札した業者数も開札までわからないものである」との説明に説得力を持たせるためにも「鋼構造物業者」にこだわった理由を明確に述べてもらいたいものである。