この道の果てまで・・・

ただ純粋に ただ一途に歩む時
突如として それまでとは まったく違う
次元の異なる大地が あなたの目の前に姿を現す。

★あなたの愛が 永遠の愛と成る為に 53★

2006-08-04 08:07:04 | Weblog



◇ 人間物語 の メール講座   NO20 ◇






そして
続けざまに
父の事への 発見が出来た。

彼は 考えた。
もし 自分が 妻の気持ちに
気づかないで

いつも 仕事の事だけ考える
以前の 男のまま
自分の妻が 死んで行く事になったら
どうだったろう・・・と。

父の心情は
まさしく
そう考えた時の自分の心情
そのものだった。

そして
彼は 小学生の頃
酒に酔った父が
よく口にしていた言葉を 思い出した。

「 父ちゃんは お前達が居なかったら
あの時 母ちゃんと一緒に
死んでいた 」


彼の父は 母が生きている当時は
仕事は 一生懸命であったし 

お酒も それほど飲まなかった。
すべてが狂い出したのは
彼の 母が死んだ後だ。



彼の父親は
母親に 苦労を掛けっぱなしで
29才と言う 若さで 
死なせてしまった事を・・・。

自分が 何もして上げられなかった事を
幸福に出来ない内に
死なせてしまった事を 悔いて
それ以来
変ってしまったのだった。

もし 自分が 同じ立場に立たされたら
その時の気持も
第一歩目を越えた彼には
理解できる・・・。

自分も 同様の事をしていた。


すると
彼が 今まで
父に対して 抱いていた恨みが
ガラガラと
音を立てて 崩れ始めた。



そして
憎しみの 思い出しか 無かった
過去の中に
父の本当の姿が 現れ出て来た。

それは 彼が まだ
孤児院に預けられる前の頃だった。

丁度
母の亡くなった直後の 父の姿だ。

彼の父は 
母の遺骨を
納骨までの間

毎晩の様に  
仕事から 帰えると
骨壷の蓋を 開けては
母の骨を取り出し

自分の 頬に当てて
涙を 流している 父親の姿が
幼い彼の目に 焼きついていた・・・。

父は こんなに母を愛していた。
母が死んだ時に 本当に辛かったのは
父だった。


それは 父への憎しみによって
掻き消されていて

今日の 今日まで 
思い出すことの出来なかった
大切な記憶だった。 

彼は思った

「 俺なんかの 何十倍も
父の方が辛かったんだ。

小学生の頃に 酒飲みの戯言が
又 始まった位にしか
聞いていなかった 
“お前達が居なければ お母ちゃんと一緒に
お父ちゃんは死んでいた“と言う 
あの父の言葉は 本当の事だった。
父は真実を言い続けていたんだ・・・。
俺は 何ひとつとして 解ってなんか
いなかったんだ 」

彼は 自分が憎らしくて 僧らしくて
仕方がなかった。

何も 真実を知らず
父の事を憎しみ続けた
21年間の馬鹿な自分に対して・・・。

そして
この時 生まれて初めて
父と母に 出逢う事が 出来た様な気がした。



この世に たった1人しか 居ない父
そして 母との 気持ちの繋がりを断って歩いてきた 
自分の 馬鹿さ加減。

自分を 生み落してくれた 両親との
意識の 繋がりを 断ってしまえば
自分は 無い。

そして
そこを愛していない人間に
人を 愛する事など 不可能であるし
第一 父や母を心の中で
嫌って歩いている自分自身を
自分は知っている。
そのままでは
そんな自分を愛する事さえも出来ない。

自分ですら
愛したくもない自分の事を
他の人が 愛してくれないと言っては
傷ついたり 腹を立てたりしながら
生きて来た 今日までの日々が
いかに不可能な事を
してきたかと言う事に
彼は気づいた。
彼は 理解した。

この事実に気づかなければ
不幸は 必ず起こる。

彼も又
彼の父親と同じ運命の上を
歩いた事だろう。

普通 世間の人達は
嫌な 父親を見ると
それとは 逆に成ろうとする
それが どんどん父親と
同じ道の上を
歩いて行っている事には 気づかない。

何故なら
彼の父親も 父親を憎んでいた。
彼の父親は 私生児だった。

自分を捨てた父親を憎んで生きた。
絶対に そんな人間に成るまいとして
そうして 歩けば 歩くほど


型は重視するが
細やかな気持が 見えない人間になって
いってしまう。

彼が 妻に対していた時と同じだ
彼は 彼の父が
父を憎んで その反対に
歩き始めていたのを 見ていたら
また 道も変ったろう。

だが 彼はそんな事は 知らない。
自分だけは そうなっては
いないと思って 歩く。

その為
世の中に悲劇は 起り続ける
繰り返される。
何十回と 何百回となく
これが カルマ(業・過去からの流れ)だ。

それは
自分の 生まれ出た 両親に
心底から 近づければ 近づけるほど
その分 カルマも小さくなる。

その人達と
真に一体と成れたら
その時こそ あなたは 
その流れを越えている・・・。



この二つ目の段階に気づいた その夜
彼は いつまでも眠れなかった
彼は ベッドに入って横になると
涙が 溢れて溢れて止まらなかった。

それは 丁度 溢れ出て来ると言った 表現が 
ピッタリだった。
決して悲しい訳では 無かった。

「 父の生きている内に 気づけて良かった
もしも 父が 死んでしまっていたら
この気持を伝える事が出来なかった。お酒が好きだったからと
云って お墓に お酒をかけて上げた所で そんなことでは
何も伝えられないし 何の慰めにもならない。
今 気づく事ができて 本当に 良かった・・・。 」

彼は 父に電話をした
どうしても その気持を伝えたかったからだ。

最初は 彼の父も驚いてしまい
どこか 身体の具合でも悪いのか
それとも 頭が変になってしまったのかと思った位いだ。

だが
彼が 事細かに話して行くと
彼の 記憶が余りにも正確なので
父親は 喜んだ。


そして・・・

「 お前達に 恨まれていたのは知っていた
でも 父ちゃんは 恨まれても
仕方のない事をして来たから 当然だと思っていた。
でも お前が そんな事にまで
気が付いてくれたのが 嬉しい。
父ちゃんの事なんて 良いから
もっと 母ちゃんの事を 解かって遣ってくれ
お前の 母ちゃんは とっても優しかったんだ 」

と 言って泣いていた。
それを聞いて 彼も泣いた。


やはり 彼の思った通りに
父は 母を誰よりも愛していたからだった。

彼自身が 今日まで
長い年月 苦しみ こだわって来た
全ての事が 
この段階で 
殆ど解決されてしまっていた。



彼は 二つ目の段階を理解した。


この段階までで
現在社会の中に生きている
あなたの 問題の原因と 結果の
理解が 可能だ。



だが
これでも まだ
歩き出したばかりの ヒヨコで
あなたは 生まれ出てはいない。

それは 三段階目を越え
四段階目を 越えた時に ようやく起る
そこまでは
満足してしまっては 駄目だ。

けれども
彼は ここでピッタリと
立ち止まってしまった。

何故か
彼は 満足してしまったからだ。




今日のメール講座は 
ここまでで 終わりにしたいと思います。 
明日の人間物語のメール講座を どうぞお楽しみに