恩師のご著書「真理を求める愚か者の独り言」より
第五章 心の曇りをとるための反省
反省研修会のこと
一日の終わりにする反省とはまた異なり、
生まれてから今日までの自己をよく内省するという
深い反省のしかたがあります。
これには正しい方法があります。
その方法を学びましたのは、高橋信次先生との出会いによってです。
そして、昭和五十二年四月に、幼い頃からの記憶をさかのぼり、
我が心の奥を徹底的にみつめることを決心して、
奈良県の或る山の中へ入りました。
そして、山中にちょうどいい浅い横穴を見つけ、
七日間ほとんど食わず寝ずの反省をしました。
その結果、自分自身のことを深く知るとともに、
自分を赦させてもらうこともできました。
自分も自然も一体であり、自分自身が光そのものだということを体験しました。
自分の体験したことを多くのみなさんにも体験していただこうと、
反省研修会を今迄に和歌山県の白浜や静岡県の富士宮などでも催しております。
これは、三泊四日でスケジュールを組み、
参加者の方にそれぞれ個室に入っていただき、
そこで何度かにわたり、幼い頃にまでさかのぼり、ふだんできない
ような深い反省をしていただくものです。
毎回、百五十名ほど参加されます。
人間の潜在意識にはちょうどゴミためのように、
たくさんの記憶がつまっています。
まず、いちばん上のほうには思いだしてもそれほどさしつかえのない
記憶が積み重なっています。
自分にとって思い出すのが不都合な記憶は、その下にしまい込まれています。
そして、最も自分にとって思い出したくない記憶が誰にでもあるでしょう。
忌まわしい出来事、悲しい出来事、恥ずかしい出来事などです。
できれば、永久に忘れ去りたい。
でも、どうしても完全には記憶から消し去ることができない。
そういう記憶は幾重にもポリ袋に詰め込まれ、念入りに栓をして、
絶対にゴミための表面のほうへ出て来ないように念入りに重石をして、
たくさん積み重なったゴミのいちばん底のほうに押し込められています。
なぜ、わざわざこういう記憶を掘り起こすことが必要かと言いますと、
幼い頃の心のつまずきや過ちの記憶とその時の強烈な感情は、
その後の人間の一生を支配するほど影響力のあるものだからです。
自分自身の心の全貌をつかまない限り、私たちは真の自己を知ることも、
本当の幸福と健康をつかむこともできません。