~ 恩師の御講演「ブッダのことば」より ~
第三 大なる章
七、セーラ
先の続き・・・
そのとき師は思った、
「このセーラ・バラモンはわが身に三十二の偉人の相を
殆ど見つけているが、ただ二つの相を見ていない。
ただ体の膜の中におさめられた場所と広長舌相という二つの
偉人の相に関しては、
(それらがはたしてわたくしの身にあるかどうかを)
かれは疑い惑い、
(目覚めた人(ブッダ)であるということを)信用せず、
信仰していない」と。
そこで師は、セーラ・バラモンが師の体の膜の中におさめられた
隠所を見得るような神通を示現した。
次に師は舌を出し、舌で両耳孔を上下になめまわし、
両鼻孔を上下になめまわし、前の額を一面に舌で撫でた。
そこでセーラ・バラモンは思った、―――
「道の人ゴータマは三十二の偉人の相を完全に身に具えていて、
不完全ではない。
しかしわたしは、『かれがブッダであるか否か』ということを
まだ知らない。
ただわたしは、年老い齢高く師またはその師であるバラモンたちが
『諸々の〈尊敬さるべき人、完全な覚りを開いた人〉は
自分が讃嘆されるときには、自身を示現する』と
語るのを聞いたことがある。
さあ、わたしは、適当な詩を以って、
〈道の人〉ゴータマ(ブッダ)を
その面前において讃嘆しましょう」と。
そこでセーラ・バラモンはふさわしい詩を以って尊き師を
その面前において讃嘆した。