午後の7時を過ぎたころのことだ。
自転車に乗っての帰路、和太鼓の音が聞こえてきた。
夕食は済ませていたので、少し覗いてみようと自転車をとめた。
公園なのか広場なのか、夜店の並ぶ中、中央に太鼓と盆踊りの輪があった。
踊っている人たちを見ていたら、珍しく男性もいた。
その男性は、少しぎこちない動きで、でも晴れ晴れしく踊っていた。
この人は、何らかの障害がある、とはっきり分かる。
私はすっかりみとれてしまった、時間にして10分ほどだったろうか。
かの男性は、おそらく小児マヒなのではないか。
男性の傍らには、重度のマヒと思われる子供がとても喜んでバタバタしていた。
そして、その車いすを押すのは女性。
よく見ると、そばに小学生くらいの女の子がいた。
この4人は、どういう集まりなのだろうと思った。
彼らの関係性を、私には結びつかせることができなかった。
でも、あの男性がただ単に楽しくて踊っているのではないことには気づいた。
あのエネルギーは、この切ないような気持ちは、なぜなのだろう。
ここで、屋台をまわってきた夫と合流した。
「あ、あの人、うちの会社で働いている人だよ。この辺に住んでたんだー。」
「本当?障害があるの?」
「うん、初めて会う人はびっくりするみたいだけど。」
「もしかして、家族で来てるのかな。」
「ああ、そうかもしれないねぇ。」
胸がいっぱいになった。苦しくもあった。
家族なんて、ちっとも思いつかなかった。
あの人は、子供たちのお父さんだったのだろう。
あの女性は奥さんで、健常の娘とと同じ障害のある息子。
その家族が、お祭りに来て盆踊りに加わっていたのだ、きっと。
無邪気に楽しむ息子と、晴れ晴れと力いっぱい楽しむお父さん。
奥さんは、息子が車いすから落ちないかと冷や冷やしながらも笑っていたように見えた。
娘さんは、傍に佇むように寄り添うように。でも嫌な顔はしていないように見えた。
こんな素敵な家族がいた。
想像もしなかった世界。というと大げさかもしれないが、感動した。
ああ、あんなにも力強くて暖かい、きっとたくさんのことを乗り越えただろう家族。
逆差別という言葉があるが、私もそういうものを持っている。
でもそれとはまた別に、一人の人とすれ違うのとその家族ごとすれ違うのは大きく違うようだ。
弱者として見守ろうと思っていた人こそ、とても強い気持ちを与えてくれる。
打たれたように、現状に甘んじていた自分に気づかされた。
何もかもが間違っているわけじゃないけど、見直した方がいいことがありそうだ。
翌日、夕方になってから、ランニングシューズを履いた。
走ってみようと思ったから。
運動なんて久しぶりで、すぐバテるんじゃないかと不安だったけど。
走ると、ゆっくりなのに風を切る。気持ちいい。
時間にして、15分ほどだったけど、少し穏やかな心持になっていた。
気温の高い日が続くようだけど、また走りたいと思う。
あの日、偶然あの家族に会えたことをよく覚えていたいから。
自転車に乗っての帰路、和太鼓の音が聞こえてきた。
夕食は済ませていたので、少し覗いてみようと自転車をとめた。
公園なのか広場なのか、夜店の並ぶ中、中央に太鼓と盆踊りの輪があった。
踊っている人たちを見ていたら、珍しく男性もいた。
その男性は、少しぎこちない動きで、でも晴れ晴れしく踊っていた。
この人は、何らかの障害がある、とはっきり分かる。
私はすっかりみとれてしまった、時間にして10分ほどだったろうか。
かの男性は、おそらく小児マヒなのではないか。
男性の傍らには、重度のマヒと思われる子供がとても喜んでバタバタしていた。
そして、その車いすを押すのは女性。
よく見ると、そばに小学生くらいの女の子がいた。
この4人は、どういう集まりなのだろうと思った。
彼らの関係性を、私には結びつかせることができなかった。
でも、あの男性がただ単に楽しくて踊っているのではないことには気づいた。
あのエネルギーは、この切ないような気持ちは、なぜなのだろう。
ここで、屋台をまわってきた夫と合流した。
「あ、あの人、うちの会社で働いている人だよ。この辺に住んでたんだー。」
「本当?障害があるの?」
「うん、初めて会う人はびっくりするみたいだけど。」
「もしかして、家族で来てるのかな。」
「ああ、そうかもしれないねぇ。」
胸がいっぱいになった。苦しくもあった。
家族なんて、ちっとも思いつかなかった。
あの人は、子供たちのお父さんだったのだろう。
あの女性は奥さんで、健常の娘とと同じ障害のある息子。
その家族が、お祭りに来て盆踊りに加わっていたのだ、きっと。
無邪気に楽しむ息子と、晴れ晴れと力いっぱい楽しむお父さん。
奥さんは、息子が車いすから落ちないかと冷や冷やしながらも笑っていたように見えた。
娘さんは、傍に佇むように寄り添うように。でも嫌な顔はしていないように見えた。
こんな素敵な家族がいた。
想像もしなかった世界。というと大げさかもしれないが、感動した。
ああ、あんなにも力強くて暖かい、きっとたくさんのことを乗り越えただろう家族。
逆差別という言葉があるが、私もそういうものを持っている。
でもそれとはまた別に、一人の人とすれ違うのとその家族ごとすれ違うのは大きく違うようだ。
弱者として見守ろうと思っていた人こそ、とても強い気持ちを与えてくれる。
打たれたように、現状に甘んじていた自分に気づかされた。
何もかもが間違っているわけじゃないけど、見直した方がいいことがありそうだ。
翌日、夕方になってから、ランニングシューズを履いた。
走ってみようと思ったから。
運動なんて久しぶりで、すぐバテるんじゃないかと不安だったけど。
走ると、ゆっくりなのに風を切る。気持ちいい。
時間にして、15分ほどだったけど、少し穏やかな心持になっていた。
気温の高い日が続くようだけど、また走りたいと思う。
あの日、偶然あの家族に会えたことをよく覚えていたいから。
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