グミの実のお味

私はグミの実を食べたことはありません。こちらは双極性障害の主婦、グミの実のブログです。

明日帰ろうかな

2007-08-28 20:43:21 | Weblog
たった4ヶ月で亡くなったと聞いて驚いた。
肺がんだったそうだ。

お骨になったお父さんは、とても立派だった。
こんなに太くしっかりしたお骨は初めてだった。
今まで火葬された人間をどこか怖いと思っていたのに、
太くしっかりした大腿骨や背骨と思われるもの、
下あご、頭蓋骨、他のバラバラになった骨もすべて、
なぜだか分からないが、いとおしく暖かく感じた。

私の父より4歳年上だった友人のお父さん。
山とタバコとお酒が好きだったそうだ。
私の父に似ている。
自分の父親が死ぬなんて考えられない。
長生きして欲しい。
しわくちゃになって、腰も90度くらいに曲がって
私の名前と孫の名前を間違えるくらいになって・・・
とにかく、生きていて欲しい。

帰ってから実家に電話した。
いつもより長話していたかった。

明日、夫が泊まりがけの出張だから
実家に帰ろうかな、と思っている。

ちっちゃい問題、おっきい体

2007-08-26 00:58:10 | Weblog
ちっちゃいな、ああ、本当にちっちゃいなー、自分。
ホンのちょっとした引っかかり。
胸につっかえていること。
それは、A子の存在だ。

こんな突然、会うことになるんだ。
しかも友人の父親のお通夜で。
こんなことになるなら、無難に何かしておけばよかったのに。
電話でもメールでも手紙でも贈り物でもいくらでも方法はあったのに。
まったく連絡もしていなかった状態のままで鉢合わせになる。

会わないで済む方法もあるけど、
何だかんだ会う機会がこれからもありそうだし。
自分の中のよくわからない何かがケジメをつけさせたがってる。

あ~あ、A子は私をどう思っているんだろう?
いままで、そんなこと考える余裕なかったな。
もしかしたら、同じようなもんだったりして。
いや、私を薄情者だと思って不快に思ったりする可能性が高いかな。

亡くなられたMちゃんのお父さんのことやMちゃん自身のことまで
気持ちが行かない、ふと考えても、すぐA子のことに戻ってしまう。

ちっちゃいなー、なんで、いつまでも同じこと悩んでしまうんだろう。
どう接すればいいのか、どんな顔して会えばいいのかわからない。

あとは、喪服に私の体が入るかが問題だ。
とりあえず、こっちが優先事項。

気まぐれ一人旅

2007-08-07 21:36:03 | Weblog
旅と言っても、日帰りだけど。

でも、今日は旅したぞ~ってくらい
いい気分転換ができた。

夏の私は毎朝6時に起きる。と言うか、起こされる。
誰にって、夏の暑さにだ!

信じられないことに夫はいくら暑くても平気なのだ。
一方、私は少しでも暑いと体が耐えられないらしく
完全に目覚めてしまう。

新婚の頃は、暑さに耐えられず目が覚めるとエアコンを点けたが
すぐさま半分夢の中の夫に消されてしまうので最近はあきらめている。

早起きの朝は長い。
慣れない頃は、ぼんやりTVなど見て時間をつぶしたが
今朝の行動は次のパターン通りである。

1.トイレ
2.猫のえさやり
3.洗顔
4.着替え
5.コーヒー&タバコ
6.PCをつける
7.猫の毛づくろい
8.PCチェック
9.朝食作り
10.コーヒー&タバコ
11.洗濯
12.ごみ捨て
13.少し横になる
14.洗濯物干し(+洗濯2)
15.掃除
16.朝食
17.夫見送り
18.食器洗い
19.猫の毛づくろい2
20.(洗濯干し2)

1~20を済ませると、大体9時になっている。
布団を干したりトイレ掃除をするともう少しかかるけど
どれだけやろうと10時にはならない。

家事がひと段落するとやることもないので
寝たりDVD観たり猫をからかっていたのだが
今日は19が終わった時点で9時にもなっていなかったため
急遽、「今日は私らしい楽しみ方をしよう!」と思い立ち、
とりあえず家を出ることにした。

行き先は決めてなかったが、とりあえず喫茶店へ行こうと思いバスに乗った。
朝のバスには通勤のために乗っている人が多く、
会社のある停留所でぞろぞろ降りていく。
この人たちは会社に行くのか。
私は、会社に行く人と同じバスに乗ってるんだ。
こんなことにも新鮮さを感じるようになっていた。

終点のK駅では目的地の喫茶店でアイスコーヒーに
いつもはしないトッピングでアイスを載せてもらった。
+110円なんだけど、こんなことが贅沢に感じる。

よしもとばななの「体は全部知っている」を読んで
アイスコーヒーと氷の間にできるバニラのシャリシャリを味わって
ゆっくりタバコの煙をはきだす。
外の天気もまぶしくて今日は素敵な1日にしようと思った。

私らしいこと、私らしいこと・・・。
どんな楽しみ方が一番か迷ってしまい、コーヒーも飲み干したことだしと
とりあえず、本屋に向かった。
目新しい本はないかと探していて、カラーセラピーとか色彩心理学というのに
興味を持ったのだが、その棚にある全部を一通り見てもピンとくるものがなく
雑貨などざっくり見てから、とりあえず、電車に乗ることにした。

まだ行き先も決めていないのに電車に乗ること自体に、なぜかウキウキし、
駅構内の店に入り、昼食を摂った。
そこは、さえない冷房の寒すぎる店で、
私をより一層どこかに行かせる気持ちをかきたたせた。

とりあえず、上野に向かおう、上野なら美術館がたくさんある。
そう思って、電車に乗り込んでから、携帯で美術館を調べた。
なんと、根津に「竹下夢二美術館」なるものが存在していた。
福島で泊まった夢二ゆかりの温泉宿の記憶に重なりそこに決めた。
少し歩くが美術館までの道のりを楽しむのもいいだろうと上野で降りた。

不忍口を出て、上野公園に入るとすぐ不忍池だった。
なまぬるい空気の中、ボートを漕いでいるカップルが何組かいた。
手漕ぎボート、本当は、私も漕ぎたかった。
でも、一人じゃ変だよね、腰痛めてるし、
風が強いから流されて帰りが大変そう、
こんなに暑い中漕いでたら熱中症になるかもしれないなど
言い訳をたくさん考えて自分を納得させて美術館に向かった。

歩いていくと、ず~っと東大が続いていて、
「東大って言っても、結構ぼろいんだな」
なんて思ってしまった。ガラス割れてたし。

おかしい、まだ着かないの?道間違えた?と焦った頃、ようやく着いた。
思っていた以上にこじんまりとしたところだった。
印籠のごとく手帳を見せたが、半額だった。軽いショック。

紙芝居など子供向けの昔の絵が中心に飾られた弥生美術館から続く
渡り廊下の奥が竹下夢二美術館になっている。
とっても狭くて、正直がっかりもしたけど、
閑散としたフロアでしげしげと見れるのはいいことだった。

なぜか、今日は夢二の大正ロマンって感じの和服女性の絵には興味がなく
印象的だったのは 千疋屋などのポスターや本の挿絵。
繊細なのに大胆。私もこんな絵を描いてみたいと思った。

あと、高畠華宵という人の絵がよかった。
女の人の目がとろんとして引き込まれる。
エロさとか、えげつなさを感じさせない、女性らしい絵。
夢二より好きになってしまった。

「サロメ」というタイトルの絵葉書をお土産に買ったのだが、
「サロメ」の内容を知らない私でもとんでもない話だということは分かる。
だって、下着姿の女の人がトレーの上に男の人の生首持ってるんだもの。
でも、妙にその絵に惹かれてしまったのだ。
私ってアブナイのだろうか。
あとは、夢二の花のデザインのレターセットなどを買った。

半券を見せると100円引きらしいので、
併設されている喫茶店でケーキセットを頼んだ。
混んでもいないのにいきなり2階に案内されたので驚いたが
席について理由が分かった。
小さな美術館のささやかな庭の景色が気持ちを和ませた。

支払いを済ませると、ドアの外で猫が今にも入ってきそうな感じで待っていた。
「あのー、開けたら猫が入ってきちゃいそうなんですが、大丈夫ですか?」
「いいのよ、その猫はここに来るのが日課みたいなものだから。」
へー、と思いドアを開けると、そこの主人が、
「ポール、さっきミルクあげたじゃない。どうしたの?」
とってもやさしい声で話しかけていた。私にも、
「暑いから、気をつけてね。」と言ってくれた。
なんだろう、こういうのに飢えていたのだろうか、
こころがホクホクして嬉しかった。

なんだか元気をもらって張り切って駅を目指していたのだが、
真逆に進んでいた。気づいた時には不忍池が目に入った。
私は、行きとは違う路線で帰ろうとしていたのに。
ええい、遠回りだけどこのまま言問通りまで行ってしまえ!と
くるっと体の向きを変えて歩き続けた。

知らない街を歩くのは楽しい。
めずらしいお店、あやしいお店、近隣に似つかわない豪邸。
途中で「コインランドリーありませんか?」と聞かれたが来たばかりの私には分かるわけもない。
「もう少し行くと交番があるので、そこで聞くといいかも。」と焦って美しくない日本語で答えてしまった。
さんざん歩いて美術館の周りの地区をぐるりと1周した形で地下鉄の駅に着いたが
ここまで歩いたならもう少し先まで行ってやれと思いまた歩いた。

やっと着いた駅は「東大前」。
どれだけ広いんだ東大は?
どうせなら本郷三丁目まで行って赤門とやらを見ればよかった。

でも、帰ってからも気持ちが平和で明るく、家事がスイスイできて
物置を化していた部屋の一角もきれいに整頓された。
すべて「とりあえず」で決めたことばかりだったが、
たまには気分転換っていいものだとしみじみ思ったんだとさ。

めでたし、めでたし。