グミの実のお味

私はグミの実を食べたことはありません。こちらは双極性障害の主婦、グミの実のブログです。

ハトを食べました(長編)

2009-06-08 16:35:38 | Weblog
結婚記念日にフランス料理を食べに行ったときのこと。

今回は去年のリベンジも兼ねて特に張り切っていたし、
年に1度しかこんなにお金をかけられないので、
ちょっと期待が大きすぎたのだと思う。

結論から言うと、料理の後半は吐き気との戦いだった。

いろいろ考えて、なぜか鉄婚式だということにこだわってしまって、
「鉄人」のお店にしてしまった。
ミーハーな心とアクセスのよさ、「初心者向きの本格フレンチ」という言葉
に惹かれたのだと思う。あと、「最上階」「夜景」というのもヒットした。

リサーチしていた通りに、席に案内される前に、ラウンジに通された。
他のテーブルは違うのだろうけど、木製の赤いテーブルは傷が何箇所もあり、
雰囲気作りに置いてあると思われるキャンドルも安っぽい。
普通、ここで食前酒を頼むのだが、あまり居心地がよくなかったので頼まなかった。
でも、席に案内される気配がないので、やっぱり頼んだ。
普通のスパークリングワインがよかったが、4種類のジャム(?)が入ったものしかない
ようなので、それを頼んだ。
マズッというのが初めの感想。え、ええー?!っというのが次の感想。
好きな味ではないので、残していたのがいけなかった。
我慢して飲み干した瞬間に案内された。私待ちだったのね。

明るい照明だったけど、奥行きもなく天井が低い店内は、テーブルでぎっしりだった。
でも、夜景が楽しめるはずと思ったら、柱の前の席だった。
しかも、その柱は鏡張りになっていて、落ち着かないったらありゃしない。
その内、担当の人が来て料理の説明をし始めたが小声で早口だから聞きとれない。
「あの、何言ってるか全然分かんないんですけど…」と言ったら、
私の隣にきて説明し直した。小声で早口は変わらない。
最初は神経を研ぎ澄ませて聞いていたのだが、頭がフリーズしてきたので
目線を下げて聞いているふりだけするようにした。
頭の上から降ってくる言葉の洪水に、修行僧のように平静さをまとっていたら
いきなり笑いがこみ上げてきて、それを抑えるのにちょっと必死だった。
話がメインディッシュの頃には、なんとか目線を合わせて質問なども出来た。

最初に出来てきたのは、アミューズ。
うずら豆のムース、春巻き、トマトゼリー、アナゴの押し寿司(料理名はグミ語に変換されています)。
左から順に塩味がきいてくるらしいのだが、私はトマトゼリー4つ食べたかった。

お次が、ライ麦パン。
北海道産無塩バターがおいしくて、たっぷり付けた。

さらに、前菜。
ズッキーニの海鮮ミルフィーユ。
両手の親指と人差し指で丸を作ったくらい大きいズッキーニを薄くスライスしたものに
勝浦産の魚とムール貝と他にもいっぱい入っている。
とうもろこしの髭(まだ緑色)はじゃがいもの味に似ていた。
おいしいけど、食べやすくはないな。

次はフランスパン。
どうして、こういうとこのパンはおいしいのだろう。

そして、フォアグラのグレープフルーツ寄せ。
濃厚でごはん欲しいと思ったが、これで結構胃にもたれた。
でも、フォアグラとグレープフルーツの皮の相性は確かによかった。

魚料理は、白身魚に白味噌入りのソース。
別に食べるとおいしいのだが、一緒に食べると不思議な感じ。
添えてある野菜は味が濃くてすごくおいしかった。花ズッキーニは初めて食べた。

肉料理は4つから選べて、夫はロースステーキにした。
私は、そう、ハトにした。
フランスでは、野禽(やきん)といって、ハトとかキジのような固い肉が好まれているらしい。
フランス留学帰りのKシェフの考案で、五香スパイスを効かせているとか。
「うーしゃんすぱいすって中華料理で使うものですよね?」
と最近知ったばかりの知識で聞いてみたら、要約するとフランスの最先端の料理の方法とのことだった。
わーい、楽しみと浮かれていたが、実際運ばれてきたら、「うっ」という強い香り。
でも、その時点では「私はハトを食べるために生まれてきた」と思い込んでいるので口に入れた。
鳥だ。凝縮された味とニオイ。それほど固くはない。
二口目を食べ、私は初めてナイフとフォークを置いた。
もう食べれない。でもハトは食べたい。じーっとお皿を見つめた。
夫が「一口ちょうだい」というのであげたら「これ、あんまりおいしくないね」と。
ええー、私の夢を、そんな簡単に壊さないで~~!!
よせばいいのに、また食べることにした。
でも一口食べるごとに、胃がムカムカ。
3噛みくらいまでは「鳥だ」で済むのだけど、それ以降は火の通りきってないレバーを食べているようで、口の中が気持ち悪かった。
やっとのことで食べたら、「ハトはいかがでしたか?」と担当の人が聞きに来たので、
「ハトはすごかったです!」と答えておいた。もう食べません。

ガラガラと、ワゴンでチーズが運ばれてきた。
もう吐き気でいっぱいいっぱいの私は説明も聞かずに「いりません!」。
でも、夫は「せっかくだから食べようよ」というのでOKした。
18種類もあるチーズの中から選ばれたのは、スモークチーズ。
8枚にスライスしてくれて、岩塩をつけて食べるのだけど、おいしかった!
食べると、ううぅと苦しくなるが、おいしかったので2枚食べた。
普通のチーズに食塩つけても味が引き締まるらしいのでマネしてみよう。

もう入らないと思った頃、デザートが運ばれてきた。
あれ、頼んだやつじゃないと思ったら、結婚記念日のサービスだった。
正直、ショボイと思った。いまどき、ランチのデザートでも満足されない内容。
ケーキ自体の味も食感もいけてなかったが、夫が食べてくれた。

で、本当のデザート。5種類から選べる。
夫はミルフィーユ。私はブランマンジェ。
ブランマンジェはゴチスペで岡村が頼んだらしい。
鳥の巣をイメージしていて、細長いチョコの先に鳥がとまっていたので、
「この鳥も食べれますか?」と聞いたら、
「その鳥を食べたら人格を疑います」と言われ、びっくりした。
結局、鳥は食べれるのだろうか、食べたらかわいそうなのか、再利用するのか?
レストランで「人格」という言葉を聞くとは思わなかった。
聞かずに食べちゃったら、人格を疑われてたんだ。

やっと、終わった、帰れるー!と思ったら、「ラウンジで食後のお飲み物を」と。
まだあるのーと思いつつ、移動した。
いつもだったら絶対にコーヒーを頼むけど、紅茶にした。
ウバ茶のミルクティー、おいしかった。
吐き気がといいつつ、飲んでしまった。

拘束時間、3時間半。
ぐったりした。
鉄婚式に欲しいと思ったもの、それは鉄の胃袋だった。