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『ハリケーンアワー』

2014年06月28日 | 映画(は行)
『ハリケーンアワー』(原題:Hours)
監督:エリック・ハイセラー
出演:ポール・ウォーカー,ジェネシス・ロドリゲス,ナンシー・ネイヴ,
   シェーン・ジェイコブソン,ナタリア・サフラン他

昨年の11月末、40歳で急逝したポール・ウォーカー
真っ赤なポルシェ・カレラGT(の助手席)に乗っていて事故に遭うだなんて、
“ワイルド・スピード”シリーズを地で行くような最期でした。

たいそうなイケメンなのにクセがなさすぎるというイメージがありました。
10年以上前は大根だとすら思っていましたし。
しかし、“ワイルド・スピード”シリーズ最新作のクランクアップ前に死去したため
本人生存中に完成した作品としては最後の出演作となった本作は素晴らしい。

公開時にはあまりに上映劇場が少なすぎて観に行けず。
今月初めにDVDレンタル開始となりました。

2005年8月、ルイジアナ州ニューオーリンズに暮らすノーラン・ヘイズは、
体調に急変を来した妻で妊婦のアビゲイルに付き添い、病院に到着。
母子の無事を祈るも届かず、未熟児の女の子を出産したアビゲイルは息絶える。
妻に生きていてほしかった、口には出せぬそんな思いを抱きながら、
人工呼吸器の中で生きる小さな命を見つめるノーラン。

ちょうど巨大ハリケーン“カトリーナ”が近づいているとのニュース。
雨風が強まり、病院関係者や患者はすべて避難することに。
だが、生まれたばかりの娘が呼吸器に入っているのだ。
呼吸器ごと運べないかぎり、ノーランは娘を置いて避難することなどできない。
誰もいなくなった病院に取り残されたノーランたちはどうなるのか。

医師から聞かされていた呼吸器が必要な時間は48時間。
その間、ポール・ウォーカーの一人芝居と言ってもいいような設定。

停電により呼吸器が停止して、自家発電器を使用。
しかし、頼りない自家発電器に劣化したバッテリーと、このままではもちません。
病院内を駆けずりまわって手回し式のバッテリーを見つけたノーランは、
それを根性で娘のいる病室まで運び、ハンドルをぐるぐる回して充電。
それでも最大で3分弱しかもたず、病室を出る用事があったとしても、
必ず時間内に戻ってハンドルを回さなければ娘は死んでしまうのです。

点滴が切れそうだ、食糧はどこだ、救助ヘリが来たようだ、
どんなことも3分以内でなんとかしなければならず、すごい緊迫感。
ハンドルを回す手が疲れて意識も朦朧としてきたノーランが、
在りし日の妻のことを想い、まだ目も開かぬ娘に話しかけるシーンがいい。

終盤に登場する彼の助っ人。それが誰であるかは見てのお楽しみ。
生涯最後にこんな作品を見せてくれたポール・ウォーカー。
あらためてご冥福を祈るとともに、
育児のあらゆることを当たり前のようにこなす世の中のお母さんたちに敬意を。

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