夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『愛と誠』

2012年06月26日 | 映画(あ行)
『愛と誠』
監督:三池崇史
出演:妻夫木聡,武井咲,斎藤工,大野いと,安藤サクラ,
   加藤清史郎,一青窈,余貴美子,伊原剛志,市村正親他

小学校の頃に全巻そろえた『愛と誠』。
いまさらそれが映画化されるなんて誰が想像したでしょう。
しかも怪しすぎるオッサン、三池崇史監督の作品となれば、
観に行かないわけにはいきません。

で、結果は期待どおり、大好き~。思い出してもニタリ。
けれども、over40、もしくは原作を読んだことのある人で、
1970年代の歌謡曲が流れると思わず口ずさんでしまい、
三池監督の壮大なおふざけが好きな人でなければ、
なんじゃこれはと目が点になってしまうかもしれません。

一人客が断然多かったこの日のなんばパークスシネマ。
上記にバッチリ当てはまるとおぼしき客ばかり、
しかもこういう人たち、真ん中の座席は取ろうとせず(私もその一人)、
結構すいているのに端っこに縦一列、ダダッと座っている様子にウケました。

ブルジョア家庭に生まれ育った令嬢、早乙女愛は、
幼い頃、雪山で危うく大事故に遭いかけたところを、見知らぬ少年に助けられる。
無傷で済んだ愛に対し、額に大けがを負った少年は口止めして立ち去る。

11年後、1972年の新宿。
高校生になった愛は、街で何人もの不良を相手に独りで戦う男を見てびっくり。
額に傷のある男、それはまさしく愛にとっての白馬の騎士、太賀誠だった。

札付きの不良となっていた誠は、田舎から上京早々この乱闘騒ぎで少年院送りに。
彼の人生をめちゃくちゃにしたのは私。彼を更生させることがつぐないになる。
そう考えた愛は、両親に頼み込んで誠を出院させると、
自分がかよう名門青葉台学園へと編入させる。

しかし、誠はすぐに騒ぎを起こして退学処分に。
不良のたまり場である花園実業へと転入したところ、彼を追って愛も転校。
さらには愛に片想い中の生徒会長の岩清水弘までもがくっついてきて……。

冒頭のシーンはアニメ、その後はおそらく史上初のバイオレンス・ミュージカル。
縦一列に並んだ客の笑いどころはピッタシだから、余計に楽しい。
あの大マジメな『愛と誠』をよくもこんなにしたもんだと呆れもしますが、
ふざけていながらいつも筋を一本通しているのが三池監督のすごさ。
ストーリーはとてもわかりやすく、それぞれのキャラもきっちり立っていて、
こんなアホな映画なのに意外と感情移入できます。

「メガネメガネ言うな!」と言って怒る生徒会長に斎藤工。
私はこの人を『明日泣く』(2011)で初めて認識しましたが、
こんな三の線の入った役のほうが実は合っているのかも。

スケバンいろいろ、みな絶品。
裏番長の高原由紀役の大野いとは、『高校デビュー』(2010)のヒロイン。
あっちのぶりぶり女子高生よりも、こんな凄みのある姉ちゃんのほうがイイ。
ガム子役の安藤サクラは相変わらず堂に入った演技を見せてくれて、
パンツ丸見えで逆さ吊りにされても、「ブス!」と罵られても何のその。
余談ですが、彼女と柄本佑が結婚したと聞いたときはなんだか嬉しくなり、
あの両親同士がどんな親戚づきあいしているのかしらんと考えたりしています。
そのガム子の手下、山田真歩は『人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女』(2009)で
どうしようもないヒロインを演じていましたが、絶妙の間合い。

出演者全員、こわれてる。(^o^;
歌われる曲はすべてフルコーラス、歌番組も顔負けの大サービス。
最後は一緒に歌ってしまいましたがな、“また逢う日まで”。
公開直前に亡くなったことが惜しまれます、尾崎紀世彦さん。
48歳で高校生役を演じることになった伊原剛志は叫んでいるでしょう。
“なんでや~っ!”と。

こわれすぎていて大ヒットは望めませんが、一部の人の気持ちは鷲掴みにしたはず。
That's Entertainment!

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