夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『MONSTERZ モンスターズ』

2014年06月04日 | 映画(ま行)
『MONSTERZ モンスターズ』
監督:中田秀夫
出演:藤原竜也,山田孝之,石原さとみ,田口トモロヲ,落合モトキ,
   太賀,三浦誠己,藤井美菜,松重豊,木村多江他

前述の『六月燈の三姉妹』とハシゴ、TOHOシネマズ西宮にて。
それにしても『アナと雪の女王』ってまだ客が入りつづけていることにビックリ。
朝から夕方の回まで、朝イチの時点ですでに満席だったようです。

こちらは封切り直後ですが、ほぼ満席でした。
先週木曜日に『映画 闇金ウシジマくん Part2』を観たところですから、山田孝之つづき。
あんな冷徹なウシジマくんから、こんな純朴そうな青年まで、やっぱりこの人、上手いです。

韓国作品『超能力者』(2010)のリメイクで、細部はいろいろ異なります。

一目見るだけで誰でも思いどおりに操ることができる能力。
そんな能力を持って生まれた男(藤原竜也)は、
幼いころ、自分のことを化けもの扱いした父親(三浦誠己)をその力で殺した。
かばいつづけてくれた母親(木村多江)から離れて20年、
生活に必要な金品は力を使って得ながら、人目をはばかって生きてきた。

ところがある日、視界にいるすべての人間の動きを止めたとき、
ひとりだけ何事もなかったように動き回っている奴がいた。
終一(山田孝之)というそいつにだけは、男の力が通用しないようだ。
自分が操ることのできない初めての相手の登場に、男はおののく。

男の目の前で交通事故に遭った終一は大怪我を負う。
全治5カ月の重傷だったはずが、終一は驚異的な快復を見せて数日後に退院。
しかし、タイミング悪く怪我をしたせいでリストラされた終一は、
加害者で会社社長の名刺を持つ雲井(田口トモロヲ)のもとを訪ねる。

親しい元同僚のジュン(落合モトキ)や晃(太賀)の入れ知恵で、
慰謝料をふんだくろうという気もまったくないではなかったが、
雲井の会社に行ってみれば、中古ギターを扱う小さな小さな会社。
雲井と娘の叶絵(石原さとみ)から深々と頭を下げられ、
慰謝料は要らないからここで働かせてほしいと言う終一。

一方、自分の力が及ばない終一にはこの世から消えてもらいたい、そう思う男は、
終一の居場所を突き止めると、力を駆使して終一を攻撃する。
そのせいで雲井が死んでしまい、悲しみに暮れる叶絵。
男が力を使っている間、操られている人びとにはその意識も記憶もない。
男の力を唯一目の当たりにした終一は、男を止めようと決意するのだが……。

なんだかあちこちで酷評されていますが、そんなに駄目ですか。
私は藤原くんと山田くん、このふたりの演技を見られただけで嬉しいし、
同じ中田秀夫監督の『インシテミル 7日間のデスゲーム』(2010)よりよほど良かったです。

2人の化けものよりも恐ろしいのは、
彼らのことを進化した人類だと考えて、2人とも殺してしまおうとする人物や、
自分で考えることなく無意識に終一を襲う人々。
終一に助けてもらったのに、花壇の下敷きになった終一に気づかない女性の姿には、
自分のこと以外は眼中にない人間の様子が。

オカマのジュン役の落合モトキは『東京難民』や『映画 闇金ウシジマくんPart2』にも出ていたほか、
『極道めし』(2011)ではメインの囚人のひとりだったらしいのですが、
これまでまったく印象に残らず。
今回初めて、なんかいい味の役者さんだと思いました。
晃役の太賀は中野英雄の息子だそうで、へ~っ。
終一とジュンと晃は、友情を感じるいいトリオです。

自分が化けものを産んでしまった。自分が殺しておけばよかった。
だけど殺せない、そんな母親の気持ちが痛いほど伝わってくる木村多江の表情、
また、母親を殺せない男の気持ちを表す藤原竜也の叫び。
母親は男が殺したのではないと私は思っています。

「死ぬまで生きろ」という台詞に、
人は誰しも役割を持っているという『ニューヨーク 冬物語』を思い出しました。

ところで、「衝撃の結末」を謳っているわりにはわかりにくすぎる。
自分なりにいろいろ考えてみたので、それは明日にでも。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする