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『ぼくたちの家族』

2014年06月06日 | 映画(は行)
『ぼくたちの家族』
監督:石井裕也
出演:妻夫木聡,原田美枝子,池松壮亮,長塚京三,黒川芽以,
   ユースケ・サンタマリア,鶴見辰吾,板谷由夏,市川実日子他

一昨日、母やら従姉やら身内の女性ばかり4人で天王寺へお参りに。
駅前をぶらぶらしたらちょうどお昼時になり、居酒屋で定食を。
ちょっとだけお酒を飲み、酔い覚ましに駅地下街でお茶。
14時半頃みんなと別れ、大阪ステーションシティシネマへ向かって本作鑑賞。

かなり好きな石井裕也監督の作品。
エンドロールを見るまで知りませんでしたが、製作はRIKIプロジェクト。
竹内力がこんな形で参加しているとは思いもよらず。やるやんリキちゃん。

会社を営む父親の若菜克明(長塚京三)とその妻・玲子(原田美枝子)。
長男で会社員の浩介(妻夫木聡)と次男で大学生の俊平(池松壮亮)は家を出て生活しており、
郊外のそこそこ大きな一戸建てに今は克明と玲子のみが暮らしている。

玲子は最近自分の物忘れが激しいのではと気になっている。
そんな相談ができるのは、能天気に金の無心をしてくる俊平だけ。
俊平に大丈夫だろうと言われて安心する玲子。

ある日、浩介の妻・みゆき(黒川芽以)がおめでたであることがわかる。
双方の両親が顔を合わせて祝いの席を設けるが、玲子の様子がおかしい。
独り言を口走る、それを指摘すると怒る、みゆきの名前を間違えるなどなど。
翌朝、克明と浩介は玲子を病院へ連れてゆく。

医者によれば、玲子は脳腫瘍に冒されており、
これまで普通に生活していられたのが不思議なほど。
余命は7日間と宣告され、動転する克明と浩介。
俊平を呼びつけたところ、驚くほど平静。
軽口を叩く俊平との会話は、記憶がしばしば入り乱れる玲子も楽しそうで……。

一家の大黒柱で威厳に満ちていたはずの克明なのに、
この状況にどうすればいいのかわからずおろおろするばかり。
浩介も、玲子の見舞いに行こうともしないみゆきの尻に敷かれっぱなし。
頼りになる父親としっかり者の兄ちゃんのイメージが崩れる一方です。

そんななか、ただお気楽なだけのイメージだった俊平が力を発揮します。
まずは若菜家の経済状態を調べたところ、
出てくる出てくる、玲子所有のサラ金のカード。借金は300万円ほど。
克明の会社関係の支払いに住宅ローンでざっと6500万円。
しかも浩介が保証人になっている借金が一部あるため、
自己破産はできないと克明が言うのです。

どうすりゃいいんだと、浩介と俊平が考えたのは、
まずはお母さんのことをきちんとしようということ。
決して仲がいいとは言えなかった兄弟がタッグを組みます。

母親の病をきっかけにして家族がまとまってゆく、
簡単に言えばそういうことになるわけですが、
それだけではない深さが本作にはありました。
じわじわ心に効いてくる、良作。

星占いを信じてみたくなりました。池松くん、ほんとにイイ感じ。
女医役の板谷由夏もめちゃくちゃカッコイイ。

今冬公開の同監督作『バンクーバーの朝日』は、戦前の日系人野球チームが題材だそうな。
とっても楽しみです。

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