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『アポロ10号 1/2:宇宙時代のアドベンチャー』

2022年05月12日 | 映画(あ行)
『アポロ10号1/2:宇宙時代のアドベンチャー』(原題:Apollo 10 1/2: A Space Age Childhood)
監督:リチャード・リンクレイター
声の出演: ジャック・ブラック,マイロ・コイ,リー・エディ,ビル・ワイズ,ナタリー・ラモアオー,
     ジョシュ・ウィギンズ,サム・チップマン,ジェシカ・ブリン・コーエン,
     ダニエル・ギルボット,ザカリー・リーヴァイ,グレン・パウエル他
 
2022年のアメリカ作品。Netflixにて4月1日より独占配信中。
 
とにかく『6才のボクが、大人になるまで』(2014)が大好きだったので、
彼の監督作と聞くと手を出さずにはいられません。
 
同監督の『ウェイキング・ライフ』(2001)は、実写映像にデジタルペインティングを施すという手法が用いられ、
アニメのようでアニメでない、いや、やっぱりアニメでしょという斬新な作品でした。
本作もそれを彷彿させるような映像で、モーションキャプチャーと見紛う。そうじゃないようですが。
 
1960年にアメリカ・テキサス州ヒューストンで生まれたリンクレイター監督。
当時のヒューストンの中心は何が何でもアポロ計画だったらしく、
同監督の少年時代を振り返るかのような内容のアニメーション作品です。
 
タイトルの“アポロ10号 1/2”が示すのは、1969年にアポロ11号月面着陸するちょっと前、
設計ミスによって小さくできあがってしまった宇宙船
おおっぴらにはできないことだから、NASAはこっそり小学校を視察して、
学業優秀で身体能力も高い子どもをこっそり訓練してこれに乗せようとします。
 
白羽の矢が立った子どもが主人公のスタンという設定で、事実かしらと錯覚を起こしてしまいそうですが、
んなわけわない。これは思いっきり妄想のパートですよね(笑)。
大人になったスタンの声を担当するのがジャック・ブラック
彼が当時の思い出を語る形で物語は進行します。
 
ジャック・ブラックの声が心地よいし、絵も好みだし、たいそう楽しい物語のはずが、
あまりに監督の思い出話に徹しすぎているせいで、いささか退屈。ソファで寝落ちしそうになりました。
 
ただ、それは私が1969年には幼すぎたせいもあるのかも。
せめて監督と同年代であったなら、きっと親も興奮してテレビを観ていたであろう月面着陸の瞬間、
この時代に流行っていたものなども想像してもっと楽しめたと思います。
ジャニス・ジョプリンやジョニー・キャッシュ、ジョニ・ミッチェルをよく聴いた人、
ヒッピーに憧れていた人なんかは郷愁に浸れるかもしれません。
 
NASAには黒人の職員がほとんどいなかったなんて話には『ドリーム』(2016)を思い出します。
アポロ11号が月面着陸に成功した後、宇宙船を飛ばす予算を差別撤廃に回すべきだったという話も出てきて、
あぁ、いい話だったねぇというだけでは終わらない。
 
いちばん心が躍ったのは、遊園地のシーンかなぁ。ここでもやはり中心はアポロ計画。
トロッコみたいな乗り物から外に出てきたときの空のまぶしいこと。
 
睡魔には襲われたけど、郷愁に浸るときってこんなもんなのかもしれません。

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