『違国日記』
監督:瀬田なつき
出演:新垣結衣,早瀬憩,夏帆,小宮山莉渚,中村優子,伊礼姫奈,滝澤エリカ,染谷将太,銀粉蝶,瀬戸康史他
もはや日本かタイかどちらが「帰る」方向なのかわからない(笑)ダンナが、タイへと戻って行きましたので、
私の劇場通いが復活します。
日曜日の朝、ダンナを空港まで送ってから、TOHOシネマズ伊丹へ向かい、勢いで4本ハシゴ。
原作は女性向け月刊漫画雑誌『FEEL YOUNG』に2017年から2023年にかけて連載されていたヤマシタトモコの同名漫画。
監督は『ジオラマボーイ・パノラマガール』(2020)の瀬田なつき。
おおっ、本作に脇役で出演している滝澤エリカをどこかで見たことがあると思ったら、その映画でしたか。
「こうだい槙生」のペンネームで若者向けの小説を書く人気作家・高代槙生(新垣結衣)は、
訳あって絶縁状態だった姉・実里(中村優子)と事実婚の夫・田汲はじめ(大塚ヒロタ)が事故死したとの報せを受ける。
残されたのはふたりの間の娘・田汲朝(早瀬憩)、中学3年生。
葬儀の席で、朝の両親の姓がなぜ違うのかとか、家庭のことを揶揄する話をする親戚縁者たち。
槙生と実里の母親・京子(銀粉蝶)は朝のことをとても可愛がってはいるものの、
年齢や体調を考えると朝のことを引き取るのは無理だなどという話もしている。
「盥回し」という言葉が聞こえてきて、朝がパニック状態に陥りそうになったとき、
突然槙生が大声で朝に呼びかけ、自分の家に来ないかと言う。
こうして一緒に暮らすことになった槙生と朝。
槙生は元来ひとづきあいが苦手で片付けなどもできないのに対し、朝は人なつっこく天真爛漫。
弁護士で後見監督人の塔野和成(染谷将太)も気にかけて……。
何が起きるわけでもありませんが、中3女子の両親が突然死んで、
いわゆるコミュ障の35歳女性が引き取ることになるのですから、それだけで大変。
私は、パニックを起こした朝が「“たらい”ってどう書くんだっけ」と頭を巡らせているときの、槙生の台詞がとても好き。
「あなたの母親のことが私は大嫌いだった。大嫌いなあの人の娘であるあなたを好きになれるかどうかわからない。
でも、私は決してあなたを『踏みにじらない』」。ここだけで涙が出そうになりましたね。
それに続く台詞が「“たらい”は臼の間に水、下に皿と書く。盥回しは無しだ」。それも好き。
まわりの目を気にしつつも槙生に背中を押され、そんな槙生の背中を押すこともある朝。
ふたりの絆が少しずつ深まってゆくのが好きでした。
学校の友人たちとの関係の変化も良い。
鑑賞後にウィキを読んだら、もっと登場人物も多いし、当然ながらいろいろあった印象。
本作はそれを上手く削ぎ落として2時間に集約できている作品なのではと思います。
原作未読のため、わかりませんけれど。
劇場鑑賞復帰第1弾としてはちょうどよい重さだったかな。