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2018年3月に読んだ本まとめ

2018年04月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2018年3月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3724ページ
ナイス数:808ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■嘆きの美女 (朝日文庫)
引きこもりのブス、その名も耶居子。ジャイ子とからかわれ続けて卑屈な彼女の楽しみは、美女が悩みを言い合うサイト「嘆きの美女」を荒らすこと。ところがとある事情から耶居子は美女たちの世話になることに。美人が性格まで良かったら、ブスの心の折り合いがつかないって、悲しいかなそうかもしれんなぁ(笑)。顔のパーツは問題じゃなくて、環境が美人をつくるといわれても、元の造作が悪けりゃどない頑張っても無理では。生まれ変わるとしたら私はやっぱり女がいいけれど、困るほどの美人になって、美人ならではの悩みを持ってみたかったりして。
読了日:03月02日 著者:柚木麻子
https://bookmeter.com/books/8100495

■禍家 (角川ホラー文庫)
怖がりなんだからやめときゃいいのに、ついつい手を出してしまう著者のホラー。事故で両親を亡くし、祖母と共にある町へと転入した12歳の貢太郎。引っ越し当日の晩から貢太郎を襲う怪異現象。姿は見えないけれど気配を感じるって怖すぎる。こんな家から逃げ出さずに住みつづけるなんてムリやろ。途中から気配だけどころか、生首やら四肢ちょん切れかけの幽霊が出てきて失笑。真相は面白く、オカルトに終わらずにちゃんと生身の人間が犯人なのはよかった。だけどこの終わり方は嫌すぎる。もっとスッキリ感じよく終わってくれないと眠れない(笑)。
読了日:03月04日 著者:三津田 信三
https://bookmeter.com/books/7711983

■手のひらの音符 (新潮文庫)
主人公は45歳の独身女性、デザイナー。自社が服飾部門から撤退することになり、思い悩む彼女の現在と過去を行きつ戻りつしながら物語は進みます。フィクションではあるけれど、病院の立地まで現実と合致していて、自叙伝的な部分も含まれているのかもしれないと思ったりも。会うのはこれが最後だとわかっている別れは、人生にどれぐらいあるものなのか。ずっと気になっている人に会えないまま生涯を終えてもいいのか。主人公と同年齢以上の、人生の折り返し地点を過ぎたぐらいの人のほうが、心に沁み入ると思います。終盤の約50頁がたまらない。
読了日:03月07日 著者:藤岡 陽子
https://bookmeter.com/books/11124142

■敗者の告白 (角川文庫)
セレブな家族の妻子が別荘のベランダから転落死。事故かと思われたが、転落死前日に妻子がそれぞれ「殺されるかもしれない」という内容のメールを送信していたことがわかる。そのせいで逮捕される夫。問題の妻子のメールに始まり、関係者1人ずつの供述が1章ずつ並びます。真相は想像の域を出ないから、帯にあるような「仰天」というほどの驚きはないような。夫と妻どちらの話を信じるにせよ、どちらにも共感は持てなくて、つくづく嫌な感じ(笑)。「語り手によって姿を変える」とあるけれど、実は嘘をついているのは犯人だけだったりしますよね?
読了日:03月08日 著者:深木 章子
https://bookmeter.com/books/12098998

■去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】2年前に読んだので、読み終わったときに「へっ!?」と思ったことぐらいしか覚えていません。騙されるで騙されるでと思いながら鑑賞。原作は理解するのが大変だったという方、朗報です(^O^)。映画版は一から十までどころか、十二ぐらい説明してくれています。そのイニシャル誰よと思った方も間違いなくスッキリできます。しかしなんちゅうのか、芥川賞作家の作品なのに、どちらかといえば直木賞作家の作品を映画化したみたいになっとる(^^;。ガンちゃん目当ての客を呼び込むならそれが正解か。
読了日:03月11日 著者:中村 文則
https://bookmeter.com/books/10795363

■有頂天家族 二代目の帰朝 (幻冬舎文庫)
好きすぎて、読むのが惜しくてついつい積み置きしてしまう森見さん。しかし出町座に映画を観に行く折、今読まずしてどうすると思い、本作を携えて出発。出町座はまさに桝形商店街の中、この裏手にコーポ桝形があるのかと思うと楽しさ倍増。本作はいわば狸と天狗の与太話なわけですが、こんなにウキウキわくわくさせてくれる話がありましょうか。イメージできなければこれほどつまらん話もないはず(笑)。「うごうご」とか「ぽてぽて」とか、その擬態語もたまらなく好き。矢三郎を見習って何事も楽しむ心の余裕を持ちたいなぁ。素晴らしき阿呆の道。
読了日:03月12日 著者:森見 登美彦
https://bookmeter.com/books/11647590

■お家賃ですけど (文春文庫)
賃貸アパートの入居者が大家さんのところへ行って「お家賃ですけど」と言ったら、「すみません、今月は厳しくて」とか続くのではないかと思ったら、「持ってきました」のほうでした(笑)。性同一性障害の著者が20代後半の数年間を過ごした下宿風アパート、加寿子荘での日々を綴る。性別適合手術の施術前と後、驚きつつも「うふふ」と笑いながら受け入れてくれる加寿子さん。性別なんて些細なことで、「人」を見ているのかもしれません。加寿子さんの年齢が判明する段ではふきました。十や二十の違いも、ごくごく些細なことにちがいない、きっと。
読了日:03月13日 著者:能町 みね子
https://bookmeter.com/books/9771265

■カンランシャ (光文社文庫)
非難されそうですが、本気の不倫は否定しません。好きになってしまったものは仕方ないと思っています。本作の直樹を除く3人は、共感できるかどうかは別として、本気。しかし、どっちつかずで言い訳ばかりの直樹には嫌悪感。「無言電話で気が晴れるぐらいなら、最初から不倫なんていう炎に飛び込むな」といういずみの心情にも賛成。この人とならと決めて結婚したはずが、どうしてこんなことになるのか。一緒にいても心が冷え冷えとするとき、些細な気分につきあってくれる人が、派手な喜びではなくつつましい幸せを一緒に感じられる人がいたならば。
読了日:03月16日 著者:伊藤 たかみ
https://bookmeter.com/books/7301470

■移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活 (講談社文庫)
日本に移り住んで何年、何十年という外国人は、ふだんどんな食事をしているのか。食事の話のみならず、彼らが日本に来た経緯、コミュニティの形成、日本の良いとこ悪いとこ。とにかく辺境を好む高野さんのこと、取材先に選んだ場所が面白い。タイトルに「移民」という言葉を使った理由、その言葉に強い拒絶反応を示して取材を断られたケースもあるという追記も含め、終始興味深く読みました。ちょっと決めつけすぎではと思わなくもないところが若干あるものの、やっぱり楽しい高野さん。読み過ぎで飽きてきたかもと思うけど、まだまだ読めそうです。
読了日:03月19日 著者:高野 秀行
https://bookmeter.com/books/9832384

■音量を上げろタコ! なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!! (角川文庫)
早く映画を撮ってほしいのに、ここ5年ほどあまり活動されていないような印象の三木監督。と思ったら本を出している。飛びつきました。「聞こえません」と聴衆から言われてしまうぐらい声の小さなミュージシャン。目の前で転倒したピザ屋の兄ちゃんを助けたら、その兄ちゃんがカリスマロックスター。三木監督の映画はオフビートでシュール、間(ま)がとても好きです。それは小説になっても同じで、絶妙の間でゆるゆると。しかしそのままでは終わらず、メリハリあり。映画化されて公開予定らしく、すごく楽しみです。やらない理由を見つけるな。
読了日:03月22日 著者:三木 聡
https://bookmeter.com/books/12569611

■心に雹の降りしきる (双葉文庫)
少女失踪事件を担当するやさぐれ刑事。7年も経過して、誰も少女が生きているなんて思っちゃいないのに、父親だけはあきらめない。親身なふりをするのだけは得意な刑事が、どうしても本腰を入れざるを得なくなる。子どもを失うということ。それがこんなにも人を動かせなくするし、時に狂気に走らせる。480頁、とっとと読み進めないと、想定以上に事件に絡む人物が多く、誰が誰やらわからなくなる場面も。しかし久々に触れたハードボイルド。自分の格好悪さを認めようとしない主人公。そこにちょっと可愛げもあって憎めない。人間臭くてよかった。
読了日:03月27日 著者:香納 諒一
https://bookmeter.com/books/8084996

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