夜な夜なシネマ

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『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』

2018年04月02日 | 映画(さ行)
『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』(原題:Maudie)
監督:アシュリング・ウォルシュ
出演:サリー・ホーキンス,イーサン・ホーク,カリ・マチェット,
   ガブリエル・ローズ,ザカリー・ベネット,ビリー・マクレラン他

ダンナ出張中で羽伸ばし期間はそれなりに予定目白押し。
そのため、映画ばかり観ているわけにはいかないのと、
空いた時間に映画を観るのもしんどかったりします。
で、出かける前に1本だけ、大阪ステーションシティシネマにて。
すでに先々週の土曜日のことになってしまいましたけれど。

ノーマークだったのですが、評判が良いようでほぼ満席。
カナダ/アイルランド作品で、監督はアイルランド出身の女性。
カナダでもっとも愛された画家といわれるモード・ルイスの物語。
モード役のサリー・ホーキンスは、パディントン救出に走るブラウン夫人や、
半魚人相手のラブシーンもこなしてみせて絶好調。
確かに美人だとは思わないけれど、どんな役もモノにする素敵な女優さん。

カナダ東部、ノバスコシア州。
若年性のリウマチを患い、手足が若干不自由な女性モード・ダウリーは、
両親が他界した後、叔母アイダの家に預けられる。
兄チャールズは両親と過ごした家をとっとと売り払ってしまい、
モード自身がひとりで暮らせると言い張っても、そもそも帰る家がない。

ある日、買い物に寄った店先で、店主に求人のビラを貼ってほしいと頼む男を見かける。
その男は町外れの小さな家に暮らすエベレット・ルイス。
男のひとり暮らしでは家事に手が回らず、家政婦を雇いたいらしい。

モードはエベレットが貼ったビラを片手に彼の家を訪ねると、
自分を住み込みで雇ってほしいと頼む。
孤児院育ちで無骨、気性も穏やかとはいえず暴力的な面を持つ彼は、
妙な歩き方をするモードを追い返そうとするが、
彼女の熱意に押されてとりあえずは使ってみることに。

ろくに掃除もせずにエベレットの持ち物を眺めたり
窓や壁に勝手に絵を描いたりするモードに時折いらだつものの、
料理など、モードがいてくれて助かることもある。
あくまで自分が主人、モードは犬以下の存在だと宣言するエベレットだったが、
あるときニューヨークから避暑にやってきた婦人が
エベレットから購入した魚の明細に付いていたモードの絵を気に入り……。

評判が良いだけあって、心が動かされる1本でした。

1903年生まれのモード・ルイス。
1970年に亡くなるまでの生涯、ノバスコシア州から出たことはなく、
絵も誰かに習ったことなどありません。
ただ描くことが好きで、描きたいものを描いていた彼女の作品は、
専門家から高い評価を受けたこともない。
だけど、見る者の気持ちを明るくさせる絵です。

エベレットのことを悪く言う人も多かったけれど、
彼のもとを離れようとはしなかったモード。
本作を見るかぎり、それは決して共依存的なものではなく、
お互いがお互いのことを認め合った関係だったのだと思います。
モード役のサリー・ホーキンスもエベレット役のイーサン・ホークもすごくよかった。

日本ではメディアで紹介されたことが長らくなく、
大橋巨泉氏がモードの絵に一目惚れして購入、2007年の鑑定団に持参して
モードが本邦でも知られるようになったとウィキペディアで知りました。
この人の絵はいっぱい見てみたい。

絵が売れるようになってからもこんなつましい生活をして、
誰にも襲われたり盗まれたりすることはなかったんだと嬉しく思って観たのに、
モード亡き後、エベレットは強盗に入られて亡くなったとのこと。
それがとても悲しいです。

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