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『ブロー・ザ・マン・ダウン 女たちの協定』

2020年05月20日 | 映画(は行)
『ブロー・ザ・マン・ダウン 女たちの協定』(原題:Blow the Man Down)
監督:ダニエル・クルーディ,ブリジット・サヴェージ・コール
出演:モーガン・セイラー,ソフィー・ロウ,マーゴ・マーティンデイル,
   ジューン・スキッブ,アネット・オトゥール,エボン・モス=バクラック他
 
2019年のアメリカ作品。
Amazonスタジオの配給作品で、日本では劇場未公開。
Amazonプライムビデオで配信中ですが、
全米での公開が今年の3月下旬だから、いわゆる「神配信」
しかも他の神配信と異なって無料です。プライム会員ならば。
 
監督はウィキペディアにまだ日本語ページのないふたり、
ダニエル・クルーディとブリジット・サヴェージ・コール。
映画好きの人なら誰しも思うことでしょう、
コーエン兄弟『ファーゴ』(1996)を思わせるスリラー作品で、
この先がめちゃくちゃ楽しみ。
メジャー作品が好きな人には薦めませんが、私は大好き。
 
アメリカ・メイン州の小さな漁師町イースター・コーヴ。
魚屋を営むコノリー家の母親が亡くなり、
長女プリシラと次女メアリー・ベスは哀しみの淵にいる。
プリシラはこの地に残って店を継ぐつもり。
自由奔放なメアリー・ベスは一刻も早くここを立ち去りたいのに、
母親の死で足止めを食らってイライラ。
 
憂さを晴らそうとひとり飲みに出かけたメアリー・ベスは、
バーで知り合った男ゴルスキーと酔っぱらって羽目を外す。
ゴルスキーの家に着いた途端、豹変した彼に恐れをなし、
逃げようとするメアリー・ベスをゴルスキーが追う。
そばにあった銛でゴルスキーの首をひと突きしたうえに、
レンガで頭を殴って殺してしまったメアリー・ベス。
 
帰宅して震えながらプリシラに相談。
正当防衛が適用されるはずだから大丈夫と通報しかけるが、
気が変わったプリシラはメアリー・ベスを連れてゴルスキー宅へ。
彼の遺体をクーラーボックスに詰め込み、海へと放り込む。
 
翌朝、警官がプリシラにボートを貸してほしいと言いに来る。
小型のボートしか近寄れない場所に遺体が打ち上げられたと言うのだ。
もう見つかってしまったと呆然とするプリシラ。
ところがその遺体はゴルスキーのものではなく、若い女性のもので……。
 
この件から少しずつ明らかになる町の黒い歴史。
町に1軒だけ存在するホテルは売春宿として昔から営業されていました。
それに自分たちの亡き母親も絡んでいたと姉妹は知ります。
また、自分たちが抹殺したあの男が宿の用心棒であったことも。
 
母親が亡くなったのを機会に、売春宿をなくしてしまおうと考えている町の女性たち。
しかし、宿の経営者であるエニッドは決して首を縦に振らない。
 
マーゴ・マーティンデイル演じるエニッドが凄い迫力なのですが、
それに負けじとエニッドに詰め寄る婆さんたちがまた怖いのなんのって。
町の汚点はなんとしてでも排除するつもりなのがありあり。
 
プリシラ役のソフィー・ロウは透明感のある美人。
はねっかえり娘のメアリー・ベス役のモーガン・セイラーと良いコンビ。
 
タイトルの“Blow the Man Down”は、冒頭で漁師たちが歌っている曲。
「そいつをぶっ飛ばせ」と。
最後は女たちが歌います。男をぶっ飛ばせ。その微笑みが怖すぎる。

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