『女子高生に殺されたい』
監督:城定秀夫
出演:田中圭,南沙良,河合優実,莉子,茅島みずき,細田佳央太,
加藤菜津,久保乃々花,キンタカオ,大島優子他
仕事帰りに映画を観に行くか、まっすぐ帰って野球を観るか。
迷っていたら、対戦相手にコロナ感染者続出でまさかの試合中止。
ならば迷うことなくなんばパークスシネマへ。
このあいだ観たばかりの『愛なのに』がめっちゃよかったから期待が膨らむ。
同じ女子高生でもエスパーばりの能力を持つ地味な子で、全然違う役。面白い。
実は彼にはオートアサシノフィリア(自己暗殺性愛)の傾向があり、
女子高生に殺されたいという強い願望をかねてから持っている。
もとは臨床心理士を目指して医大に通っていた春人だったが、
ある患者に接したことをきっかけに自らのその願望に気づき、
理想の殺され方を実現すべく教師の道へと歩み出す。
あれから9年。
自分が殺される日を文化祭がおこなわれる11月8日に決め、
着々と計画を進めてきた春人は……。
面白いですよね。
田中圭主演の作品は白と黒の笑いに分けられますが、これは完全に黒の笑い。
『哀愁しんでれら』(2021)ほどではないけれど、気味が悪い。
自分が殺されるように9年かけて計画するなんて、できますか。
殺してくれる女子高生として春人が白羽の矢を立てたのは誰なのか、
それっぽい女子生徒が何人かいて、本命がなかなかわかりません。
男子生徒にも人気のある可愛い子ですが、意地悪っぽい(笑)。
人とつるむことはなく、誰になんと言われようと気にしないふう。
春人はこの2人に対して思わせぶりな態度を取り、
2人とも春人が自分に好意を持っていると思っています。
3人目は上記の2人とはちょっと違う佐々木真帆(南沙良)。
とても美人なのに控えめで、春人のことが好きなのに、
自分には春人から愛される資格などないと思っているように見える。
その真帆の親友で「負」を察知する能力を持つ小杉あおい(河合優実)は、
春人に得体の知れない恐ろしさを感じ取り、真帆を守ろうとしています。
春人はいったい誰に、どうやって殺させようとしているのか。
途中、春人の企みにより犬が殺されるという残忍な事件が起き、
生徒たちの心のケアのために同校へ赴任するのが大島優子演じる臨床心理士。
春人の元カノで、交際中にはわからなかった彼の性癖に気づきますが、なんとかできるのか。
「変態!」と言いたくなるような歪な話の中で、
真帆に片想い中の男子生徒を細田佳央太が能天気に演じていい感じ。
河合優実もすごくよかったです。
まっすぐさが友だちを救うと思いたい。