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『ラーゲリより愛を込めて』

2022年12月16日 | 映画(ら行)
『ラーゲリより愛を込めて』
監督:瀬々敬久
出演:二宮和也,北川景子,松坂桃李,中島健人,寺尾聰,桐谷健太,安田顕,
   奥野瑛太,佐久本宝,渡辺真起子,三浦誠己,酒向芳,市毛良枝他
 
TOHOシネマズ伊丹にて仕事帰りに2本ハシゴの1本目。
 
原作を読んだのは8年前。そのときのレビューはこちら
まさかこんなキャストで映画化される日が来るとは思いもしませんでした。
原作は大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞のW受賞作。
「感動の」という言葉を安易に使いたくはないけれど、まさに感動の実話の映画化です。
 
飢えと寒さのなか強いられる重労働に耐えきれずに死んでしまったり、
逃げ出そうとして撃ち殺されたり、次々と仲間たちが姿を消してゆくが、
山本は決して希望を捨てることなく、皆を励まし気遣う。
 
ロシア語が堪能であることから重宝がられるはずなのに、山本はロシア兵に媚びることもせず、
仲間の処遇に関して直訴し、営倉に放り込まれることもたびたび。
それでも弱音を吐かない山本は、皆の光となって人望を集めるのだが……。
 
山本は日本にいる妻・モジミ(北川景子)と4人の子どもとの再会を信じて生きています。
戦地で心に傷を負った松田研三(松坂桃李)は自身を卑怯者呼ばわりし、
相沢光男(桐谷健太)は上からの命令のみが絶対と考える冷酷な上官。
片足の不自由な新谷健雄(中島健人)は身体障害者のせいで徴兵されなかったにもかかわらず、
海で漁をしているところを捕らえられて抑留の憂き目にあった気の毒な青年。
それでも笑顔を絶やさず、読み書きを山本に習いたいと言います。
 
戦争はとっくに終わっているというのに、こんな形で囚われ続けた人々がいることが信じがたい。
劣悪な環境下で生きる気力を皆が失って行くなか、
山本は仲間たちが少しでも明るい表情を取り戻せるようにいろんなことを考えます。
 
原作では山本が句会を開く話がメインになっていましたが、
映画化するにはそれでは地味だと思ったのか、瀬々敬久監督は俳句をほとんど取り上げず。
不満の残る点のひとつですが、致し方のないことでしょうね。
 
喉頭がんに罹り、余命わずかとなった山本。
彼と懇意の原幸彦(安田顕)は山本に家族宛の遺書を書かせる決意をします。
しかし日本に紙1枚持ち帰ることも許されない。彼らはどうするか。
 
丸暗記ですよ、丸暗記。
山本が書いた遺書を数頁ずつ手分けして、ひとりずつ遺書の文言を丸暗記する。
これが泣かずにいられましょうか。
 
そりゃまぁ泣いたんですけれど、瀬々監督も泣きに走る人だから、私はあんまり得意じゃありません。
最後の寺尾聰が出てくるシーンなんて、まったく要るとは思えない。
また、北川景子が綺麗すぎて、およそ昭和顔ではないところも気になります。
鼻水垂れたぐらいで、大泣きとは行かず。原作が好きです。

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