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『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』

2020年06月08日 | 映画(ら行)
『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』(原題:Tout en Haut du Monde)
監督:レミ・シャイエ
声の出演:クリスタ・テレ,フェオドール・アトキン,ファビアン・ブリシェ,
     レミ・カイユボ,ロイック・ウードレ,ヴィヴィアン・ヴェルメシュ他
 
昨年9月に公開された作品で、ロシアが舞台のアニメだと聞き、
なんとなく睡魔に襲われそうな気がしてパスしました。
TOHOシネマズ伊丹で、寅さん寅さんと来て、
ほかに観るものもなかったためにこれを観たら、めちゃめちゃよかった。
 
19世紀後半のロシア・サンクトペテルブルク
14歳の少女サーシャは名門貴族の一人娘。
祖父で著名な探検家オルキンの血を受け継ぎ、大いなる冒険心を持っている。
 
オルキンは数年前に北極点を目指して砕氷船ダバイ号で航海に出たが、
途中で船からの通信が途絶えたきり、行方不明に。
国の英雄オルキンのこと、皇帝が捜索を指示したものの見つからず、
船長も船員も船もろとも海の底に沈んだと見なされて、捜索は中止に。
 
その皇帝の息子トムスキーが、サーシャの社交界デビューの舞踏会にやってくる。
サーシャは、ダバイ号は決して沈まない船であることをトムスキーに言い募り、
もう一度捜索をしてほしいと頼み込んだところ、トムスキーが激怒。
サーシャの父親までもが、彼女が一族の名を貶めたとして叱りつける。
 
こうなったら私がダバイ号を捜し当てる。
夜中にひとりでこっそりと家を飛び出したサーシャは、
オルキンが残した航路図からダバイ号の進路を予測。
アルハンゲリスクの港へとたどり着き、
停泊していた船の船長を名乗るラルソンに話しかけるのだが……。
 
ロシアが舞台ですが、フランス/デンマーク作品ゆえ、全編フランス語。
スタジオジブリのアニメなどとはまた違って、異国の匂いが良い感じ。
 
面白いのは、サーシャがすぐには船に乗り込めないところ。
船長だと言うから話しかけたのに、ラルソンは実は航海士。
サーシャの大事なイヤリングを騙し取ったうえ、彼女を置き去りにします。
一文無しになったサーシャを助けるのは、港の食堂の女将オルガ。
食事とベッドを提供してやるから店で働け、
一生懸命働いていたら1カ月なんてすぐ経って、
ラルソンの乗った船が帰ってくるさと言うんですね。
 
なにしろお嬢ですから、食堂の仕事なんてしたことあるわけがない。
最初は何もできなかったのに、泣き言はいわず、とにかくよく働く。
そのうちものすごいスピードでジャガイモの皮を剥けるようになり、
海の荒くれ男たちのあしらいも上手くなる。とても頼もしい少女です。
 
ラルソンの乗った船ノルゲ号が港に帰ってきて、
サーシャは本当の船長ルンドと会う。
ルンドは船にぜったい女を乗せようとはしない人なのですが、
サーシャの話を聞いて、ダバイ号を捜すことに決めます。
 
流氷の中をかき分けて進むノルゲ号。
その後はまるで『残された者 北の極地』(2018)の世界。
15歳の少女にそんな怪力ないやろと時折ツッコミ入れたくなるけれど、
あきらめない彼女を応援したくなります。
 
去年はスルーした作品をコロナ禍で上映してくれたおかげで、
鑑賞の機会を得ることができました。よかったなぁ。

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