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『ルックバック』

2024年07月11日 | 映画(ら行)
『ルックバック』
監督:押山清高
声の出演:河合優実,吉田美月喜他
 
『チェンソーマン』の人気漫画家・藤本タツキによる同名漫画をアニメ映画化。
割引なしの特別料金1,700円で公開中。イオンシネマ茨木にて。
 
主人公女子ふたりの声を河合優実吉田美月喜が務めています。
私は『チェンソーマン』を知らないので、このふたりに惹かれて観に行ったようなものです。
 
藤野は自身の漫画を描く才能に対して絶対的な自信を持つ小学4年生女子。
学年新聞に毎回自作の4コマ漫画を連載し、同級生や家族からいつも称賛を浴びていた。
 
そんな彼女にある日、教師が声をかけてくる。
学校新聞の漫画の1枠を不登校の同級生女子・京本に譲ってやってほしいと言うのだ。
教師曰く、京本は学校には来られないけれど漫画は描けるそうだと。
 
余裕を持って京本に1枠譲った藤野だったが、できあがった学年新聞を見て愕然とする。
京本の巧さは一目瞭然。同級生らが思わず「藤野より上」と口走るほど。
 
以降、相変わらず不登校の京本に負けじと藤野は明けても暮れても漫画を描きつづけるが、
どれだけ頑張ろうが京本には敵わないことを悟り、小学6年生の半ば、突然描くことをやめる。
 
小学校卒業の日、やはり学校に来なかった京本。
教師から卒業証書を届けるように言いつけられた藤野は渋々出向く。
すると、藤野の姿を見た京本は驚愕し、「藤野先生!」と呼ぶ。
学校に行けなかった京本は藤野の漫画の熱烈なファンだと言う。
 
こうして初めて対面した藤野と京本は、共同で漫画を描くようになるのだが……。
 
好きな絵です。そして話も面白かった。
 
藤野と京本、ふたりが仲睦まじく漫画を描きつづけるわけじゃない。
途中、京本は美大に進んでもっと絵を学びたいと言い出し、すでに爆売れ漫画家だったこのコンビは解散。
ひとりになったからって藤野の人気が下がるとかいう安直な展開ではなくて、
ひとつの悲惨な事件を機に、物語がふたつに分かれます。
 
ネタバレになりますが、ひとつはこの流れのままの物語。
もうひとつは、「小学6年生で漫画を描くのをやめた藤野」が「藤野と出会わないままだった京本」を救う物語。
後者は本来の世界とは異なるわけで、こちらは空想上の世界のように思えます。
 
窓の外の景色で感じる四季がとても心地よいけれど、起きたことは残酷。
ペンを走らせつづける藤野の背中を見ていると切なくなります。
 
実写化もできそうな作品。でもこれはきっと漫画の世界の中にあるほうがいい。

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