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『フォールガイ』

2024年08月22日 | 映画(は行)
『フォールガイ』(原題:The Fall Guy)
監督:デヴィッド・リーチ
出演:ライアン・ゴズリング,エミリー・ブラント,ウィンストン・デューク,アーロン・テイラー=ジョンソン,
   ハンナ・ワディンガム,ステファニー・シュウ,テリーサ・パーマー,ザラ・マイケルズ他
 
最近でいちばん楽しみにしていた作品です。
公開初日の晩の回、109シネマズ大阪エキスポシティにて鑑賞。
 
基は1981年から1986年にかけて放送された人気TVシリーズ『俺たち賞金稼ぎ!!フォール・ガイ』。
監督本人がスタントマン出身ということもあり、スタントマンへの敬意がうんと払われています。
この監督は“ジョン・ウィック”シリーズや『Mr.ノーバディ』 (2021)、『バイオレント・ナイト』(2022)では製作を務めていて、
この人が何らかの形で絡んでいる作品は私はたぶん例外なく好きですね。
 
コルト・シーバースは、人気俳優トム・ライダーのスタントを務める一流スタントマン。
ところがある日、背中から落下するスタントで大怪我を負う。
すっかり自信をなくしたコルトは、当時撮影助手を務めていた恋人ジョディ・モレノの前から立ち去ると、
姿をくらましたままメキシコ料理店の駐車係で日々をしのぐ。
 
そんな彼のもとへ、プロデューサーのゲイル・メイヤーから連絡が入る。
トムの新作映画のスタントを引き受けてほしいと言われて即座に断るが、
なんとその映画『メタルストーム』の監督はジョディだと言うではないか。
ジョディの監督デビュー作に出演してほしいと言われては断ることはできない。
 
早速ロケがおこなわれているシドニーへと飛んだコルト。
しかし、ジョディ自身がコルトの出演を望んでいるとばかり思っていたのに、これはゲイルの策略だった。
2年近く前、自分を捨て去ったコルトの今更の登場にジョディは怒りを露わにする。
それでもトムのスタントを務められるのはコルトしか見当たらず、致し方ない。
ジョディから罵詈雑言を浴びながらも久々の再会に沸き立つ心を隠せないコルト。
 
ところがゲイルから驚きの相談を受ける。
実は数日前からトムが行方不明で困っている、トムを探し出してほしいと。
トムの滞在先とおぼしきホテルの情報を入手したコルトがそのホテルに潜入すると、
バスタブに氷漬けにされた男の死体が沈められていて……。
 
予告編ではジャーニーの“Separate Ways”が用いられていましたが、
本編ではそれかからず、のっけはKISS、続いてAC/DC。予告編との曲の違いにまず軽く驚く。
 
ライアン・ゴズリング演じるコルトは、至るところでスタントマンの技量を発揮します。
たとえばトムを探すとき。正面から突破するのは無理だから忍び込む。
普通の人間なら到底できないだろうということをやってのけるからカッコイイ。
トムがヤバイ奴らとつきあっていることは明らかで、探す途中で薬を盛られたりもします。
幻覚に襲われながらもめちゃくちゃ強くて惚れ惚れ。
 
それにしてもトム役のアーロン・テイラー=ジョンソンって、
『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』(2009)で初めて知ったときは、えらく綺麗な子なのに、
ふた回り近くも上の女性監督に捕まってしもてからにと、オバハンを怖く思ったものです。
だけど今になるとあの素直そうな彼はどこへやら、こんな悪役が似合う顔つきに見えてしまう。
 
ジョディ役のエミリー・ブラントもいいですね。
彼女は実の夫ジョン・クラシンスキーよりライアン・ゴズリングのほうがお似合いじゃないか。
アクション監督ダン・タッカー役のウィンストン・デュークもめっちゃよかった。
コルトとダンの会話には映画オタクでもついていけないようなネタがいっぱい。
 
スタントマンたちに最大級の賛辞が贈られている作品です。
終盤にはダンの号令によりスタントマンが結集、悪者を懲らしめますし、
エンドロールでは本作のスタントマンたちの撮影シーンと実名も披露されています。
オリジナルでコルトとジョディを演じたふたりもカメオ出演。
すごく楽しかった。
 
スタントマンに贈られる賞としては全米映画俳優組合賞スタント・アンサンブル賞があるものの、
どれだけ体を張って活躍しようがスタントマンはやっぱり日陰者。
でもこういう人たちに映画は支えられている。

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