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『ワン・デイ 23年のラブストーリー』

2012年06月28日 | 映画(わ行)
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』(原題:One Day)
監督:ロネ・シェルフィグ
出演:アン・ハサウェイ,ジム・スタージェス,パトリシア・クラークソン,
   ケン・ストット,ロモーラ・ガライ,レイフ・スポール他

前述の『愛と誠』の晩の回を観ることに決めてから、ハシゴに悩んだ末、
先にTOHOシネマズなんばにて本作を観ました。

『幸せになるためのイタリア語講座』(2000)や『17歳の肖像』(2009)の、
デンマーク出身の女流監督によるアメリカ作品です。
大学の卒業式の後から23年にわたる友人関係を築いてきた男女の、
毎年7月15日という一日だけを切り取って描いた物語。

1988年7月15日。
真面目な優等生エマと自由奔放な遊び人デクスターは、
大学の卒業式後に初めて言葉を交わす。
いつものナンパ気分で声をかけてきたデクスターに対し、
エマはガチガチに緊張しているのを隠そうと必死。
結局、そんな心情を素直に打ち明けて一晩を一緒に過ごすが、
一線は越えずに友だちでいることを選ぶ。

作家志望のエマは、メキシコ料理店でバイトしながら、
いつか世に出ることを夢見ているが、なかなか叶わない。
これでは食べていけないと悟り、小学校の教師の職に就く。
やがてバイト仲間のイアンと暮らすようになる。

デクスターはTV番組の人気司会者となり、金も女も思いのまま。
しかし、決して上品とは言えないその番組を見て、
両親、特に最愛の母親が胸を痛めている様子。
父親も、デクスターの周囲のアーパーギャルに呆れ顔。

お互いに別のパートナーがいても、エマとデクスターの友人関係はつづく。
毎年、少しずつちがう7月15日を迎えては過ぎてゆくのだが……。

対照的な恋愛観を持つふたりが次第に距離を縮めてゆく過程を切り取り、
この幸せがずっとつづくと思っていたら……というあたり、
『(500)日のサマー』(2009)とちょっと似た雰囲気を感じます。

ここから超ネタバレなので、ご覧になる予定の方はご注意を。
やっとこの人しかいないと思えた瞬間、エマはこの世から去ってしまいます。
その映像はあまりに衝撃的で、本当に誰か大切な人が突然死んでしまったときのように、
驚きと降って湧いた悲しみに押しつぶされそうになりました。
エマを失ったデクスターの表情はつらすぎて嗚咽してしまうほど。

一年一年の切り取り方がおもしろかったのに、バタバタと過ぎ去る終盤に、
こんな展開にしなくてもいいのではともちらりと思いましたし、
本作の落ち着き先はほかにあったのではと思わなくもありません。
けれども、立ち直れずにいるデクスターへの父親からの言葉は心に染み入りました。
これでデクスターは気持ちの整理をつけます

23年間を同じ俳優が演じると、妙な老けメイクがほどこされてドン引きすることがありますが、
この主人公ふたりはそんなことはなく、ごく自然で違和感なし。
デクスターの妻を演じたのは『つぐない』(2007)の子役。
いつのまにこんなに大人の女性に!?
イアン役はティモシー・スポールの息子。父親と同じく味があります。
エマの亡き後、イアンがデクスターのもとを訪れて交わす会話がとてもいい。
デクスターの母親役のパトリシア・クラークソン、常に誰かの母親役のような気がして、
今回年齢を確かめてみたら、まだ52歳。
すみません、余裕で還暦は過ぎていると思っていました。(^^;

明日死んでもいいように今日を生きる。
昔からこれが私の信条なのですが、やっぱりそうだなぁって。
明日より、今日。

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