夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2018年1月に読んだ本まとめ

2018年02月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2018年1月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:5373ページ
ナイス数:1245ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■サファイア (ハルキ文庫)
私にとってこの人は、好きな作家として名前を挙げることはないのに、読んでしまう人なんです。この人の本を誰かに貸そうとすると、「湊かなえはもう要らん」という知人友人も複数いて。でもこれはたぶん、私の中では湊かなえのNo.1。宝石の名前が付けられた短編7つ。彼女らしいイヤミスあり、ちょっとした叙述トリックあり、ふんふんと頷きながら突入するラストの3つは圧巻。最後に落とされるのではと構えたけれど大丈夫、それどころか涙で目がかすむとは。やはり読むのをやめられない人。あなたを通して見える世界が好き、そう私も言いたい。
読了日:01月01日 著者:湊かなえ
https://bookmeter.com/books/9720479

■幸いは降る星のごとく (集英社文庫)
著者の小説デビュー作は今から40年前に出版された『桃尻娘』。いつだったか、高校生だった私にその本を薦めてくれた姉御がいて、たいそう面白く読んだことを覚えています。そんな思い出を胸に、実に久しぶりにこの著者の本を読む。女芸人がまだ珍しかった頃のこと。キャラが確立するきっかけとは実際こんな感じで、「離れがたい絆がある」よりも「離れる必然がない」というコンビも多いのかも。文体は万人受けしないでしょう。落としどころはどこかしらと思ったら、そこですか(笑)。人は出会いがしらにぶつかって恋が始まることを求めている!?
読了日:01月02日 著者:橋本 治
https://bookmeter.com/books/10408261

■連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)
なんて嫌な話なんだ。映画『ミュージアム』のモチーフなのかと勝手に思い込んでいたら、そうじゃなかった。残忍きわまりない手口の連続殺人事件が起きる。死体のそばにはカエルを殺すことを愉しむ子どもが書いたかのような詩が。映画や本には、いたいけな子どもは殺されないという暗黙のルールのようなものがあったりするけれど、これは容赦なくて「えっ」。ドンデン返しの連発に「マジで?」。アンマリすぎて最後は笑ってしまったほど。笑えるほど嫌なオチというのは、逆にエンターテインメント性は高いといえるのかも。もう誰も信じない(笑)。
読了日:01月04日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/2036167

■現実入門―ほんとにみんなこんなことを? (光文社文庫)
電車の中で読むのは危険レベルだった『絶叫委員会』。それに比べると笑い控えめだけれども、ときどき声に出して笑いました。素敵な女性編集者の発案により、42歳の著者がさまざまな「初体験」。献血、占い、一日父さんなどなど。しかし実はこれすべて著者の妄想、いえ、モキュメンタリーらしい。実際の体験には基いているのでしょうが、普通こんなこと考えつかないでしょ。可笑しい。佐野元春の『情けない週末』を歌える人にはお薦めできます。私がとりあえずやってみたいのは一人カラオケ。いくらでも機会はありそうなのに未体験。近日中に是非。
読了日:01月05日 著者:穂村 弘
https://bookmeter.com/books/544318

■クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社文庫)
もしもTOHOシネマズの1ヶ月フリーパス『傷物語』を観る機会がなければ、私は西尾維新を読むことはなかっただろうと思います。映画の面白さに、戯言シリーズの1作目を読んでみたら、おみそれしました。で、2作目もこの表紙からは私は想像できない面白さ。姓名ともにキラキラネーム、あるはずのない話なのに、京都の情景も目に浮かぶ。誰かのためになんて、なんたる傲慢。先入観に縛られて読まずにいることはなんともったいないことだと思わせてくれた著者。全シリーズ読破したいけど、どれもヘヴィー級の厚さなんだもの。ぼちぼち行きます。
読了日:01月08日 著者:西尾 維新
https://bookmeter.com/books/580764

■嘘を愛する女 (徳間文庫)
予告編で「なんじゃ、こりゃあ」とおののく吉田鋼太郎、その瞳の先に何があるのかをどうしても知りたくなって小説版購入。同棲して5年の由加利(長澤まさみ)と桔平(高橋一生)。ある日倒れて入院した桔平は意識不明のまま。経歴その他、聞かされていたすべてが嘘だったと知り、由加利は探偵(吉田鋼太郎)を雇う。このまま映画化されているならば、泣くこと必至。もっとも、帯に「もうひとつのラストに涙する」とあるから、映画版と小説版はラストがちがうということか。いずれにしても映画版の公開が楽しみです。嘘をつく人が悪人とは限らない。
読了日:01月10日 著者:岡部えつ
https://bookmeter.com/books/12492622

■冷蔵庫を抱きしめて (新潮文庫)
むむっ。愛してやまない作家だからこそ、これはどうにも物足りない。いきなり結構ヘヴィーなDV描写に始まり、思わず本を閉じたくなったものの、胸のすく話。いちばん好きだったのがこの1話目でした。自分のそっくりさんが徘徊するホラー仕立ての3話目はかなり怖い。思ったことを無意識に口に出してしまう店員の7話目も面白い。そのほか摂食障害だったり、ゴミを捨てられなかったり、一見社会に適応して生きているのにその実はという人たち。一人称で書いてもよさそうな話が一人称ではなくて、どこか距離を感じます。荻原さんなら私は長編推し。
読了日:01月12日 著者:荻原 浩
https://bookmeter.com/books/12282622

■アンチェルの蝶 (光文社文庫)
殺風景な居酒屋を営む、愛想のない独身の四十男が、四半世紀ぶりに訪ねてきた友人から小学生の女の子を押しつけられる。主人公の藤太を含め、ろくでなしの親のもとに生まれた3人をめぐる恐ろしい過去。悲惨でとてつもなく重い。『追憶』にも似た話ながら、こちらのほうが圧倒的な絶望感。そんななか、少女ほづみに泣かされ、ガラの悪い常連客にもしばしば救われる。生粋の大阪人のくせに標準語を貫こうとする藤太。その理由はもっともだと思えるもの。だから最後がたまらない。『雪の鉄樹』と本作共、読後にせつない笑顔。この著者は私のツボ決定。
読了日:01月16日 著者:遠田 潤子
https://bookmeter.com/books/7883895

■ひろいもの (小学館文庫)
初めてこの著者の作品を読んだのは、ソリの合わないお隣さんと泥仕合いを展開する『どろ』でした。とても面白かったので大人買いしてしまい、『ひなた弁当』『迷わず働け』など面白かった。しかし中には半端にいい話すぎて眠気を催す作品もあり、私にとっては本作がその典型。偶然モノを拾ったことから毎日に生きがいを見出す主人公たち。前話の主人公が後話にちらりと顔を出す連作短編で読みやすいけれど、ハマるものの能書きが長くて睡魔が。この著者ならば、疲れたオッサンが主人公の話、もしくはちょっぴり毒を含む話のほうが面白い気がします。
読了日:01月19日 著者:山本 甲士
https://bookmeter.com/books/5696952

■嘘を愛する女 (徳間文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】「もうひとつの結末」という触れ込みだけど、大雑把には同じ。携帯の有無とか、倒れた場所とか、ロッカーの見つけ方とか、いろいろ設定が異なります。ストーカー少女は要らないと思うんですけど、どうですか。長澤まさみ演じる由加利と吉田鋼太郎演じる探偵のロードムービーのようでもあり、ふたりの掛け合いが絶妙で笑える部分も。探偵の助手役DAIGOも◎。鑑賞後の客は口々に「めっちゃ感動した」。泣かそうとしている度が小説版より強いせいで逆に泣けなかった私はやっぱり素直じゃない(^^;。
読了日:01月21日 著者:岡部えつ
https://bookmeter.com/books/12492622

■虚ろな十字架 (光文社文庫)
さすが東野圭吾。相変わらず巧みな構成で、プロローグのふたりがいったいこの事件にどう関わるのか、最初はまるでわからないから、ぐいぐいと引き込まれます。人を殺した者は、いったいどのように罪を償うのが正しいのか。死刑や投獄も償いの気持ちを伴わないならば、逃げて償いの気持ちを忘れずに、世のため人のために生きるようとするのは許されるのか。文句なく面白かったのですが、やっぱり切なさの点で微妙。つらい話にキューッと胸を絞られるような何かが私には不足。著者はそれが可能な人だから、あえて言いたい、もうちょい切なさください。
読了日:01月23日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/11867322

■九十歳。何がめでたい
何がめでたいって90歳、それだけでめでたい。ものすごく笑えそうだと予想していたため、期待したほどではなかったというのが正直な感想ですが、それでもいくつかは大笑い。不要品を引き取るという業者への応対や、いたずら電話への返答(これは正確には著者ではなく、その娘さん)にはふきました。最近はエッチないたずら電話も減って詐欺電話が主流、いたずらにさえ実利が伴わないと駄目な世の中になったという言葉にしみじみ。おおらかな著者を見ていると、日々くよくよするのがアホらしくなります。90歳でも読みやすい(たぶん)、字大きめ。
読了日:01月24日 著者:佐藤愛子
https://bookmeter.com/books/11058890

■賢者はベンチで思索する (文春文庫)
『サクリファイス』で自転車競技の面白さと過酷さを教えてくれた著者。その鋭さとは対照的に、お腹も満たしてくれる日常系ミステリーの“ビストロ・パ・マル”シリーズも楽しかった。本作は後者に近い、ゆるっとタイプ。でも起こる事件はしっかり犯罪。主人公はファミレスでバイトする21歳の久里子。常連客の老人とひょんなことから親しくなります。事件に巻き込まれた久里子に老人が謎解きをしてくれる。彼女が相談するのは事件のこと以外にも家族のことだったり恋愛のことだったり。激推しではないけれど、優しい気持ちに包まれる、安心の1冊。
読了日:01月25日 著者:近藤 史恵
https://bookmeter.com/books/560282

■首洗い滝 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)
表紙が若干怖いので、しっかりカバーを掛けて。程々よりは少し上ぐらいの面白さだった1作目。2作目は期待を遥かに上回る面白さ。広告代理店勤務の春菜が今回関わることになったのは登山道整備開発事業。ところがそこには、近づいた者は死ぬと噂される滝があった。想像するだに恐ろしい光景のホラーなわけですが、登場人物のキャラが揃って◎。因縁物件を専門に扱うイケメンの曳き屋・仙龍と春菜との会話が可笑しく、仙龍の助手や生臭坊主、皆サイコー。祟りの原因もしっかり切ない。民俗学好きの方はぜひ。仙龍さん、42歳を過ぎても死なないで。
読了日:01月28日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/11816462

■スプラッシュ マンション (PHP文芸文庫)
分譲マンションの住人が、管理組合の理事長と管理会社の癒着を暴いて大騒動に発展。最初の20頁を読んだときは、失敗したかなと思いました。同じマンションに住む30~40代の既婚男性が連れもって風俗に行くところもなんだかキモくて。だけどもっと上の年代がデヘデヘしながら一緒に風俗に行ったらもっと気色悪いか(^^;。ところが、主人公が貧乏神のようなソープ嬢と言葉を交わす辺りから面白くなる。やりすぎな感のある所業も最後はいい話に落ち着き、読後感良し。ただ、ソープがらみの下ネタも多いから、そっち系の話が苦手な人は御用心。
読了日:01月29日 著者:畠山 健二
https://bookmeter.com/books/9010736

■東京近江寮食堂 (光文社文庫)
アラ還、チビ、ポッチャリの主人公・妙子は、蒸発した夫を探して滋賀から東京へ。縁あって住み込むことになったのが近江寮食堂。学生寮を想像していたら、滋賀県出身者の集まるシェアハウスみたいなところ。絶望的にまずい料理を出していた管理人・安江に代わり、腕に覚えのある妙子が入居者の食事をつくる。決して人づきあいのよくない妙子がつくる数々の料理は、どれも素朴でぬくもりを感じます。どん底の気分も、おいしいごはんがあれば救われる。安江の姑で少しボケ気味のヨシ子の言葉に涙が出そう。地方出身者が集うこんな場所、行ってみたい。
読了日:01月31日 著者:渡辺 淳子
https://bookmeter.com/books/12368396

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