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『フランキー・ワイルドの素晴らしき世界』

2007年05月25日 | 映画(は行)
『フランキー・ワイルドの素晴らしき世界』(原題:It's All Gone Pete Tong)
監督:マイケル・ドース
出演:ポール・ケイ,ベアトリス・バタルダ,マイク・ウィルモット他

昨年末に公開された、2004年のイギリス/カナダ作品。
“モキュメンタリー”という言葉の存在を、
恥ずかしながら、私は生まれて初めて知りました。
“モキュメンタリー”とは、ドキュメンタリー仕立てのフィクションのことで、
“Mock(偽りの)”と“Documentary”を合わせた造語なのだそうです。

そして、何の前知識もなく本作を観た私は、
フランキー・ワイルドなる人物についてネット検索してみるまで、
彼が実在の人物であると信じて疑いませんでした。
観終わってからもドキュメンタリーだと思ってたなんて、
マヌケすぎるで、私。
それぐらい出来のいいモキュメンタリーだってことで。

地中海に浮かぶ有名リゾート、スペインのイビサ島
(ちなみにイビサ島は実在の島。ナンパするならイビサ島。)
この島の大人気クラブのカリスマDJ、フランキー・ワイルド。
彼の名はヨーロッパ中にとどろき、
そのターンテーブルさばきにフロアの客たちは夜ごと酔いしれる。

DJとしてだけではなく、音楽の才能にも秀でたフランキーは
音楽プロデューサーとしても大活躍。
金、女、酒、ドラッグと、欲しいものはすべて手に入れる。

しかし、そんな彼を不幸が襲う。
毎日大音量にさらされるDJの職業病とも言える難聴。
聴覚を失えばDJとしての生命もおしまい。
事実を公表できないままフランキーは仕事を続けるが、
ほとんど聞こえない耳では限界がある。
ある日のクラブで酷いDJぶりを披露し、ブーイングを浴びる。

やがて、両耳の聴力を完全に失ったフランキーは、
表舞台から姿を消すこととなる。
派手好きの妻はあっさり家を出て、別の男性のもとへ。
取り巻きの連中も離れてゆき、自暴自棄に。

どん底だったフランキーを救ったのは
読唇術の女教師、ペネロペとの出会い。
耳が聞こえないことはそんなに悪いことでもないと語る彼女は、
音は体で感じ取るものだとフランキーに教える。

ペネロペがとにかく素晴らしいです。
音を体感するという意味をつかめないフランキーは、
ペネロペに連れて行かれた店でフラメンコを見て、
床から体に伝わる音に衝撃を受けます。
それがきっかけで、DJとして復活するシーンには圧倒されます。

「音のない世界で 僕は君に出会った。
君の笑顔は 僕の音楽になった」。

実話じゃなくても感動は呼べる。

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