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『ブルゴーニュで会いましょう』

2016年11月24日 | 映画(は行)
『ブルゴーニュで会いましょう』(原題:Premiers Crus)
監督:ジェローム・ル・メール
出演:ジェラール・ランヴァン,ジャリル・レスペール,アリス・タグリオーニ,
   ローラ・スメット,ラニック・ゴートリー,フレデリック・ティルモン他

前述の『ガール・オン・ザ・トレイン』を観たあと、テアトル梅田へ。
とっても観たかったフランス作品です。

実に日本的な邦題が付いていますが、原題は“Premiers Crus”。
フランスで“grand cru”といえば特級ブドウ畑
“premiers crus”は一級ブドウ畑のことですね。
ずいぶん前に予告編を観たときから当日本編が始まるまで、
これはドキュメンタリー作品だとばかり思っていました。ちゃうかった。
さすがにこんな経歴の醸造家はおらんか。(^o^;

ブルゴーニュで代々ワインを造りつづけてきたマレシャル家。
縛られる人生が嫌で、20歳になろうかというときに家を飛び出したシャリル。
それでもワインには関わる職業に就きたくて努力を重ねた結果、
パリでワイン評論家として大成功。ガイド本を出版するようになって7年。
今ではシャリルの評価がワインの売れ行きに大きく影響する。

ある日、実家近くでレストランを営む妹マリーから衝撃の事実を聞かされる。
父フランソワとマリーの夫マルコが守るワイナリーは、経営不振で買収寸前。
7日以内にワイナリーを任せられる新責任者をフランソワが提示できなければ、
名乗りをあげている日本企業もしくは隣のワイナリーに買収されると言う。

慌ててフランソワに問いただしに行くが、
老いた父はやる気があるのかないのかさっぱりわからない。
しかしワイナリーを手放す気だけはないらしい。
悩みに悩んだシャルリは、パリでの生活を捨ててブルゴーニュへと舞い戻る。

まずは3年分の在庫を売りさばいて金にしなければ。
評論家時代のコネを使って販売を試みるが、
気取ったバイヤーが来ればフランソワが嫌みを言いに出てきて台無しに。
なんとか父を黙らせ、ちょっと汚い手も使いつつ、在庫一掃には成功。

さていよいよワイン造りに取りかかろうとするが、
なにせテイスティングのプロではあっても、造るほうはド素人。
なのに昔ながらの自然農法で造りたいというシャルリに、
マルコはなかば呆れながらも賛成、協力を惜しまない。

ここ数年、毎年大量の在庫を抱えるマレシャル家に対し、
隣のモービュイッソン家は今も素晴らしいワインを造りつづけている。
女主人エディットの娘ブランシュと言葉を交わすようになったシャルリは、
ブランシュにもアドバイスを求めるのだが……。

葡萄は聖なるもの。ワイン造りは聖職。
頑固親父のフランソワはシャルリにそう言います。
片手間にできるものではないから、
本作のように簡単に美味しいワインができても困ると思うのですけれど。(^^;

ワイン造りの話であると同時に、父と息子、母と娘、家族の物語でもあります。
家を飛び出したのは自分だけれど、なぜ自分を避けるのかと問うシャルリ。
最初は「わからない」と答えたフランソワですが、やがてぽつぽつと。
フランソワの父親(シャルリの祖父)は厳しく、本当は飛び出したかった。
息子シャルリの成功を喜ぶはずが、素直にそうできなかったのはなぜなのか。
それは、俺がやりたくてもできなかったことをおまえがやってのけたからだ。
伝統と父親に背くこと。それをやってのけたおまえのことを、今は誇らしく思うと。

ボルドーワインアメリカのワイン(本作ではオレゴン)への非難丸出しなのも可笑しい。
特にボルドーのことはメッタ斬り(笑)。

ワイン造りの映画はどれも楽しい。
そして必ず飲みたくなります。

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