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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ミッキー17』

2025年04月10日 | 映画(ま行)
『ミッキー17』(原題:Mickey 17)
監督:ポン・ジュノ
出演:ロバート・パティンソン,ナオミ・アッキー,スティーヴン・ユァン,トニ・コレット,マーク・ラファロ,
   アナマリア・ヴァルトロメイ,キャメロン・ブリットン,パッツィ・フェラン,ダニエル・ヘンシュオール他
 
イオンシネマ茨木にて『ネムルバカ』を観た後、109シネマズ箕面で本作のIMAX版を鑑賞。
 
『パラサイト 半地下の家族』(2019)ですっかり時の人となったポン・ジュノ監督が、
ニューオーリンズ出身の作家エドワード・アシュトンの小説『ミッキー7』を映画化。
そうですか、映画版では原作より10回も多く死んでいるのですね。(^^;
 
ミッキー・バーンズは友人ティモが「ハンバーガーよりもマカロンのほうが売れる時代が来る」と言うのを真に受ける。
人が死ぬのを見るのが大好きな高利貸しダリウスから借りた金を返せるはずがない。
返済期限までに金を用意できなければチェーンソーでぶった切ると言われて逃げたい。
しかし、ダリウスは世界の果てまでも追いかけてくるはず。ならば宇宙へ逃げようと考える。
 
宗教団体の教祖のごとく信者を擁するケネス・マーシャルは、その妻イルファと共に惑星ニフルハイムへの移住計画を実施。
移民となる者を募っており、ミッキーとティモも応募を決めるが、凄い倍率。
特殊な資格や技術を持っていれば採用される望みはあるが、ミッキーには何もない。
そこで、ただ1人の枠が用意されていた“エクスペンダブル”に応募することに。
志願者がいるとは誰も予想していなかった枠で、ミッキーは直ちに採用となり、宇宙船に乗り込む。
 
エクスペンダブルとはその名のとおり、使い捨ての消耗品。
研究者たちによって開発された機械で死んでも死んでもクローン体がリプリントされるのだ。
未知の惑星にはどんなウイルスが存在するかわからないから、とにかくミッキーで試す。
実験しづらいこともミッキーで試して、人体がどうなるのか、どれくらい耐えられるのかを研究。
ミッキーが死にまくったおかげでワクチンも完成する。
 
何度死んでも、死ぬのは怖い。
そんなミッキーを支え続けてくれたのは、優秀なエージェントとして乗船している女性ナーシャ・バリッジ。
ナーシャはミッキー1から17まで、すべてを愛してくれている。
 
ある日、ミッキー17が船外にいる間に事故に遭う。
後に“クリーパー”と呼ばれるようになる謎の生物に食われるかと思いきや、クリーパーに助けられて生還。
ところが、ミッキー17は死んだと思われていたものだから、すでにミッキー18がそこにいた。
同じ記憶が刷り込まれているものの、性格は微妙にどころか大いに異なる。
優しく気弱なミッキー17と短気で暴力的なミッキー18。
モーティプル(=重複)は厳禁とされているため、17と18が存在していることが知られては困るのだが……。
 
IMAX版なんかで観なきゃよかったと思うぐらい、クリーパーの造形が気持ち悪い(笑)。
意思の疎通ができるとわかった頃には多少見慣れはするけれど、やっぱりキモイよ。
 
でもすごく面白い。
話もわかりやすくて、娯楽に徹した感のあるポン・ジュノ監督。
ロバート・パティンソンの演技も素晴らしく上手くて、この人こんなにいい役者だったんだと思いました。
ミッキー17と18はまるで別人に見えるんです。
 
ついついミッキー17に肩入れしたくなるところ、最後はかっこよかったなぁ、ミッキー18。
ケネスを演じるのマーク・ラファロの悪役ぶりがえげつないけど、イルファ役のトニ・コレットはもっと怖い。
クリーパーよりトニ・コレットのほうが迫力あるやんと思ったぐらい。
 
最後に出るタイトルが“Micky 17”から変わるところ。良かった。

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『劇場版 モノノ怪 第二章 火鼠』

2025年03月30日 | 映画(ま行)
『劇場版 モノノ怪 第二章 火鼠』
総監督:中村健治
監督:鈴木清崇
声の出演:神谷浩史,日笠陽子,戸松遥,梶裕貴,細見大輔,黒沢ともよ,ゆかな,青木瑠璃子,芹澤優,茜屋日海夏,
     森なな子,入野自由,津田健次郎,種崎敦美,チョー,堀内賢雄,楠見尚己,堀川りょう,榊原良子他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
どういうアニメかわからないまま観た『劇場版 モノノ怪 唐傘』(2024)が滅法おもしろくて、
第2弾以降も楽しみにしていました。いや~、ホントに面白い。
 
前作同様に本作も舞台は大奥。
2007年に放映されたTV版で主人公の声を担当していた櫻井孝宏が劇場版でも担当するはずが、不倫発覚で降板。
彼に代わって神谷浩史が担当することになったということは前回も書きましたが、
どっちがどっちかいつもわからなくなる私としてはどっちでもいい。
というのか、もともとTV版を観ていないのですから、声優が替わったって何の問題もありません。
んー、でももしかすると神谷さんの声のほうが好きかなぁ。
 
で、櫻井さん→神谷さんになったのは、謎の男“薬売り”。
今回の大奥では、天子の世継ぎを巡って奥女中の情念が燃えたぎります。
 
考えてみたら凄くないですか。
奥女中とか上臈(じょうろう)とか呼ばれる人たちって、殿様の夜の相手が仕事。
綺麗どころを何人も用意して、夜ごと誰ぞが殿様のお相手をする。
同じ女性が続けて行かないのがルールで、それは世継ぎが早く生まれるようにするためなんですと。
毎晩同じ女性が通ったとして、その女性が不妊だったらいつまでも世継ぎが生まれないから。
 
親も自分の地位を上げるために、躊躇うことなく殿様に娘を差し出す。
たとえいささか卑しい生まれであっても、美人の娘を持てば人生一発逆転のチャンスがあるわけで。
しかし、もしも卑しい生まれの娘が奥女中の中で最初に妊娠したら、
あんな娘に世継ぎを産ませてたまるかと、あの手この手で堕胎させようとするのです。
 
悪意が蠢く大奥に現れる物の怪“火鼠(ひねずみ)”を祓いにやってきた薬売り。
子鼠は祓えても親鼠を祓うのは容易ではありません。
というのも、親鼠は自らの体を燃やしてでも恨みを晴らそうとしているから。
 
親鼠が「許せない」ものは誰なのか、何なのか。
わかったときにはじんわり切なくなりました。
 
話も絵もすごく好き。第3弾の公開も待ち遠しい。

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『ミマン』

2025年03月06日 | 映画(ま行)
『ミマン』(英題:Mimang)
監督:キム・テヤン
出演:イ・ミョンハ,ハ・ソングク,パク・ボンジュン,ペ・スンジン,チョン・スジ他
 
京都シネマでしか観られない作品というのはそうそうないので、
京都で晩ごはんを食べることにしている日にしか行きません。
この日は祇園でひとり晩ごはんを予約していたからその前に3本ハシゴ。
京都シネマには去年の7月に行ったきりだったようです。
 
同じ発音なのに複数の意味を持つ言葉って、日本語にもたくさんありますよね。
韓国語にもそんな言葉がたぶんいろいろあって、本作は同じ発音だけど複数の意味を持つ“ミマン”を取り上げています。
 
舞台は、変わりゆくソウル
変化してゆく街並みを背景に、3組の男女が織り成す物語。
 
“ミマン”には3つの意味があるそうです。
1つめは「迷妄」。道理に暗くて要領を得ずに戸惑うこと。
2つめは「未忘」。忘れようとしても忘れられないこと。
3つめは「弥望」。遠く広く眺めること。
 
会話劇というほうがいいかと思います。
ソウルの街をただ歩いたり、ドライブしたりしながら交わされる会話。
話の中身は、最近自分の身に起きたことや仕事の話、家族のこと、結婚や恋愛のこと。
いたってありふれた会話です。
 
昨年『JUNG KOOK: I AM STILL』を観てジョングク大好きになり、じゃあBTSも聴くかとなって、
韓国語の勉強もしたくなっているから、こういう作品を外すことはできません。
とはいうものの、ただ男女がしゃべっているだけですから、退屈といえば退屈。
不愉快な会話劇だった『ドライブ・イン・マンハッタン』よりはずっと好きですが、
ソウルの町並みを楽しみました、それだけかなぁ。

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『美晴に傘を』

2025年02月15日 | 映画(ま行)
『美晴に傘を』
監督:渋谷悠
出演:升毅,田中美里,日高麻鈴,宮本凜音,和田聰宏,上原剛史,井上薫,
   阿南健治,織田あいか,菅沼岳,和田ひろこ,徳岡温朗他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
本ブログを書くときに参考にしている映画のデータベースには映画のタイトルと監督の名前、
キャストわずか3名の情報しか記載されていませんでした。
これって、ご当地ムービー的な要素の強い作品なのかと訝る。
ご当地ムービーはどれもそれなりに味があるものの、内輪で盛り上がっている感が強いのも事実。
で、スルー寸前だったのですが、イオンにコーヒーを買いに行くついでに観ようかと。
 
後から調べたことですが、渋谷悠監督は日本語と英語に堪能なバイリンガルで、どちらの言語でも本を書くそうな。
劇作家であり脚本家であり、舞台演出家でもあって、劇団も主宰。多才な人のようです。
 
結論から言って、スルーせずに観てよかった。
 
海沿いの町にひとり暮らす漁師の善次(升毅)。
息子の光雄(和田聰宏)も当然後を継ぐものと思っていたのに、詩人になりたいと言う。
詩人なんて食べて行けるわけがない、何を馬鹿なことをと腹を立てた善次は、光雄を家から追い出す。
 
上京した光雄は透子(田中美里)と結婚、2人の娘に恵まれる。
時折、光雄から善次のもとへ手紙が届いていたが、善次が返事を書くことはなかった。
そして、光雄は癌で亡くなってしまう。
 
透子から訃報を受け取りながらも、東京で執りおこなわれた葬儀に参列しなかった善次。
漁師仲間から声をかけられても陽気に返すことはできず、沈んだままのところへ、
四十九日を前にして、透子が長女の美晴(日高麻鈴)と次女の凛(宮本凜音)を連れて訪ねてくる。
 
息子の妻とはいえ、善次が意地を張っていたせいで一度も会ったことはなく、「はじめまして」。
しばらく滞在させてもらうと言って上がり込んできた3人に善次は戸惑うのだが……。
 
美晴は聴覚過敏の自閉症
突然やってきたそんな孫にどう接してよいかわからない善次は、つい「知恵遅れ」などと口走ってしまいます。
透子と娘たちはとても良い親子関係を築いてはいるものの、透子は美晴のことを心配しすぎ。
何も自分でやらせてもらえない心の裡を美晴は口に出すことができません。
 
凜がめちゃめちゃ良い子なんですよね。見た目はイマドキの子で、口も良くはない。
善次を訪ねることになったときも「会ったことのないお爺ちゃんなんて、ただの爺ちゃんじゃん」。笑いました。
けれど、姉の美晴のことをよくわかっていて、彼女の思いを尊重します。
 
まさか漁師の町でワイナリーの話が出てくるとは思わず、それも楽しかったところ。
 
いちばん心に刺さったのは、善次と書道の先生(井上薫)とのやりとりです。
光雄に返事をしなかったのは、実は善次が上手く字を書けなかったから。
詩人になるような息子なのだから、父親はちゃんとした字を書けなければ手紙を書くのは恥ずかしいと善次は思っていました。
書道を習いはじめたのに、手紙を書く前に息子が亡くなってしまった。
先生は「漢字の書き順が大事だ」と言っていた。人の場合も同じではないのか。
親より先に子どもが死ねば、めちゃくちゃになるのではないかと言う善次に、先生は答えます。
確かに順序は大事だと言ったけど、たとえ順序が変わっても、意味は変わらないと。
 
そう思いたいです。

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『メイクアガール』

2025年02月11日 | 映画(ま行)
『メイクアガール』
監督:安田現象 声の出演:種崎敦美,堀江瞬,増田俊樹,雨宮天,花澤香菜,上田燿司,日向未南他
 
どういうアニメなのか、どういう話なのか、原作は何なのか、あらゆることをひとつも知らないまま、
公開初日、仕事帰りにイオンシネマ茨木にて鑑賞しました。
 
鑑賞後に調べてみると、絶大な人気を誇るアニメーション作家・安田現象による劇場用アニメーションプロジェクト第1弾らしく、
クラウドファンディングでは目標額の230%超えを達成したとのこと。
てな予備知識は無しで観たわけですが、確かに面白かった。
 
17歳の男子高校生・水溜明は、天才的頭脳を持つ科学者でもある。
ロボットAI(人工知能)の開発に勤しみ、明が開発したサポートロボット“ソルト”は、
企業、家庭、学校で人々の生活をサポートするロボットとして活躍中。
 
そんな明ではあるが、自分の興味を惹く研究以外のことにはとても疎い。
あるとき、最近恋人ができたという同級生・大林邦人から、恋は人をパワーアップさせると聞き、
自分の研究をパワーアップさせるべく恋人をつくることにする。
 
明がつくったのは、見た目が女子高生そのもののロボット“0号”。
0号には明に対する恋愛感情がプログラムされている。
いくら見た目がそうでも、中身が伴わなければ本物の女子っぽくない。
そこで、邦人や同じく同級生の茜がバイトするファミレスに0号を送り込み、
0号に人間らしいふるまいを覚えさせることにするのだが……。
 
0号に人間らしさを覚えさせようとするけれど、明自身もロボットではないかと思うほど人間の気持ちをわかっていません。
ファミレスでバイトしたり、茜に世話を焼かれたりしているうちに、0号はどんどん人間らしくなる。
それと同時に感情も生まれて、明のことをなぜ好きなのかも考えるようになります。
 
ロボットは開発者に歯向かわないようにつくられていて、
もしも開発者に危害を加えるような行動に出れば、ロボットもぶっ壊れてしまう。
それを理解していながらプログラムに抗おうとする0号の姿は恐ろしくも悲しい。
 
そういう事情があるとはいえ、明をナイフでぶった切ろうとしたロボットはやっぱり怖いですけどね。
それよりも怖いのは、仲良しのお姉さんが明を激しく羨み憎んでいたという事実ですけど。
あ、なんだか「結局怖いのは人間」という結論にたどり着いてしまった。(^^;

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