夜な夜なシネマ

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『殺人の追憶』

2004年09月10日 | 映画(さ行)
『殺人の追憶』(英題:Memories of Murder)
監督:ポン・ジュノ
出演:ソン・ガンホ,キム・サンギョン,パク・ヘイル他

韓国では『マトリックス』以上の観客を動員して大ヒット。
これまた「実話に基づく」
1986年から1991年にかけて起こった連続猟奇殺人事件で、
犯人はいまだに捕まっていません。

1986年10月、ソウル南部の農村の用水路で、
若い女性の変死体が発見される。
手足を縛られ、頭にはガードルを被せられていた。
地元警察のベテラン刑事パクは容疑者を片っ端から連行し、取り調べを始める。

数日後、同様の事件が起こる。
最初の事件当日、焼肉屋の店主の息子クァンホが
被害者を追い回していたという噂を聞いたパク刑事は、
相棒ヨングとともにクァンホを尋問する。
しかし、知的障害のあるペクの話は的を射ず、
世間からは不当逮捕だと罵られる始末。

そんな折、ソウルの警察から捜査の応援要員としてソ刑事がやってくる。
証拠を捏造してでも、とにかく犯人を挙げて
事件を解決したことにしたいパク刑事に対し、
ソ刑事は冷静に事件を分析する。

殺人がおこなわれるのは必ず雨の夜。
被害者は赤い服を着用。そして独身の美女。

そして、さらに女性警官ギオクが、
事件前にはいつも、あるラジオ番組で
“憂鬱な手紙”という歌謡曲が流れていることに気づく。
リクエスト者が犯人なのか。

ハリウッドの刑事ドラマはもちろん、
“踊る大捜査線”シリーズなんかとも(←好きやけど)趣をまったく異にする作品。
農村、雨の日、猟奇殺人と暗い要素ばかりだけど、
随所に笑える箇所も盛り込まれています。
韓国の友人に聞いたところによれば、
パク刑事役のソン・ガンホの喋り方は独特で、
韓国人が聞けば誰でも笑うほどおもしろいそうです。
それがわからんのはとても残念。

冒頭、会話に登場する「アクション映画“ボディ・ヒート”」とは
カルト的人気を誇る『白いドレスの女』(1981)のこと。
アメリカにはこの作品のファンクラブまであります。

ソン・ガンホの主な出演作は、
『クワイエット・ファミリー』(1998)、『シュリ』(1999)など。
前者は沢田研二主演で三池崇史監督によりリメイクされています。
『カタクリ家の幸福』(2001)というタイトルで。
オリジナルもリメイクもめちゃオモロイのでぜひどうぞ。

骨太いという表現がピッタリの刑事ドラマ。
なお、本作品の上映後、
事件の再捜査を求めて市民運動も起きたそうです。
映画の力は侮れない。

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