5月7日(木) 晴
「山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。」に始まる、夏目漱石の『草枕』)は、、「智(ち)に働けば角(かど)が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」と喝破する。
静まり返った深夜。
考えるともなくCOV19のことを考えながら、キッチンのシンクをキュッ、キュッと磨き上げている。
老婆が、ひとり。
漱石が考えた人生の箴言ほどではないが、「人類の歴史はウイルスとの不断の闘いの結果で作られた」とつくづく思う。
なおまた、ウイルスの歴史を繙けば、嬉しいことに「人類は、毎回勝ち抜いてきた」ことも実感できる。
以前にも記したが、ウイルスを原因とする伝染病は、約1万2000年前の新石器時代の生活革命で人間の行動が変化し、人口が密集した生活共同体が世界各地に形成されたときから始まった、とされる。
原因解明も治療法も十分に確立されていなかった有史以前には、感染症のパンデミック(世界的流行)は歴史を変えるほどの影響を及ぼしてきた(2020年、COV19のせいで歴史が変わった!?)が、19世紀後半になって原因や対処法が解明され、感染症による死亡者は激減することになった。
ヒトに感染するウイルスの中で最も古いものは、天然痘と麻疹のウイルスで、 数千年前にヨーロッパと北アフリカの人類の前に初めて出現した、とされる。 なお、天然痘で死亡したと確認されている最古の例は紀元前1100年代に没したエジプト王朝のラムセス5世で、彼のミイラには天然痘の痕跡が残っているという。
近代になって、1796年、エドワード・ジェンナー(Edward Jenner、イギリスの開業医)が、より安全な牛痘接種を開発。これにより、183年を経た1980年に、WHOが【天然痘の世界根絶宣言】を発出するに至った。
その後1996年は、ジェンナーによる種痘発明200年記念の年とされ、世界で唯一、人類がウイルスに勝ち抜いたことを寿いだ。 ジェンナーが【近代免疫学の父】と称される所以である。
そして、たとえ1例であろうとも、人類がウイルスを根絶させた!、貴重な歴史の一コマである。
◆
さて、インフルエンザ。
国立感染症研究所 感染症情報センターの岡部信彦センター長が、歴史的にも興味深い解説をしておられるので、ご紹介したい。 インフルエンザという、流行性の疾患が、人々の暮らしや文化と密接にかかわっていることが窺えて実に興味深い。
『突如として発生して瞬く間に広がり、数カ月のうちに消えていく、咳と高熱の流行性疾患の記録はヒポクラテスの時代からあったといわれている。周期的に流行が現われてくるところから、16世紀のイタリアの占星家たちはこれを星や寒気の影響(influenza=influence)によるものと考えていた。
我が国では、平安時代の「増鏡」に「しはぶき(咳)やみはやりて人多く失せたまふ・・・」と書かれており、江戸時代には、「お駒風」「谷風」などと名付けられた悪性のかぜ(インフルエンザ?)の流行が見られたという。
1890年(明治23年)にアジアかぜが世界的に大流行した頃から、我が国ではインフルエンザのことを流行性感冒(流感)と呼ぶことが定着してきた。1918年には、スペインかぜが世界各地で猛威をふるい、全世界の罹患者数6億、死亡者は2000~4000万人にのぼったと推定されている。我が国には大正8~9(1919~1920)年の冬に流行が持ち込まれ、罹患者は2300 万人、死者は38万人に及んだといわれる。当時の新聞には「流感の恐怖時代襲来す。一刻も早く予防注射をせよ」という見出しが見られる。』
今も昔も、マスコミの大仰な見出しには辟易するが、情報のない時代の恐怖感・不安感は、いかばかりであったろうか?
翻って、いま。
情報が有りすぎて溢れかえっているというのに、一部の人々(敢えて言おう。日本人の大多数)の浮足立った懼れようは、どうしたことか?
情報を取捨選択し、冷静に受け止めて、正しく懼れることが求められている。
新型コロナウイルスは、正式名「COVID-19」(Coronavirus Disease 2019(コロナウイルス感染症2019)の略称)で、同じく国立感染症研究所の規定によれば、『ヒトに日常的に感染する4種類のコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV)は、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1である。風邪の10~15%(流行期35%)はこれら4種のコロナウイルスを原因とする。冬季に流行のピークが見られ、ほとんどの子供は6歳までに感染を経験する。多くの感染者は軽症だが、高熱を引き起こすこともある。HCoV-229E、HCoV-OC43が最初に発見されたのは1960年代であり、HCoV-NL63とHCoV-HKU1は2000年代に入って新たに発見された。』とのことである。
つまり、4つのコロナウイルスを親にして変異してきたのが、謂うならば新型コロナウイルス3兄弟で、長男は2002年11月、中国の症例に始まり重症急性呼吸器症候群 (Severe acute respiratory syndrome = SARS) と名付けられ、台湾の症例を最後に、2003年7月にWHOによる終息宣言が出されたが、約8か月で患者数8439人、うち死亡者812人を記録している。
次男は、中東呼吸器症候群(MERS:Middle East Respiratory Syndrome)と名付けられ、2012年に確認されたウイルス性の感染症で、原因となるウイルスはMERSコロナウイルスと呼ばれている。
2012年9月、60歳のサウジアラビア男性患者が急性肺炎および腎不全により死亡。オランダのエラスムス医学センターが遺伝子解析を行い、新型コロナウイルスと確定された。
※MERS=マーズと名付けられたのは2013年5月のことであった。
その後、2013年にイギリスで、2015年には韓国で、発症の症例が報告されている。
新型コロナ、なかなか、一筋縄ではいかない疾病なのだ。
さて、三男が、暴れん坊のCOV19。
長男、次男に比べ、圧倒的に罹患者数が多いのは、このウイルスの感染力と伝播力が、通常のインフルエンザ並みで、前記二つのSARS,MERSの蔓延がそれほど伸びなかったために、当初、見過ごされた感があったようだ。
マスコミは毎日のように感染者数や死者数を報告しているけれど、冷静に考えて、幾多の感染者には感染する応分の理由があったのではないか?
ご逝去の【COV19英霊】の皆さまにも、ほとんどの方にやはり応分の理由があったと思う。
その、応分の理由から私たちが学んで、COV19を上手くイナすことができれば、患者さんにもご逝去の英霊にも喜んでいただけるのではないか?
10人の感染者のうち2人が急激な重篤化を招き、死亡に至る、とされるこの三男坊には、今現在、ワクチンもなく、特効薬もないなかで、適切な対症療法を軽度のうちに受けられるかどうか、が重篤化に至らない大きな要因であろう。
長男も、次男も、この世に生み出された当初は、ワクチンも特効薬もなかったけれど、今では簡単な検査キットでかかりつけの病院で確定していただける。
近い将来、三男坊にも同じように、検査⇒病名確定⇒対症・対病療法を受けられる医療システムが確立し、ウイルスと共存して勝ち抜いていく日が来ると信じている。
以上述べてきたように、新型コロナウイルスは、今後も四男坊、五男坊と兄弟を増やしていくのかもしれないし、3兄弟も折々に顔を出すかもしれない。
けれど、何が起ころうともまずは受け入れて、【めげない、逃げない、へこたれない】、【備えよ、常に!】、【きっと良くなる、必ず良くなる】をモットーに、「伝染らない・伝染さない」という生き方を大命題に据えて、勝ち抜きましょう! ご一緒に♪
がんほか難病・大病の皆さま。
日々、明るく、強く、前向きに、生きましょう。
「伝染らない・伝染さない」生き方については、稿を改めますね!
庭木の下でひっそりと咲く、深山苧環(みやまおだまき)2種、鈴蘭、鳴子百合。
風に揺れながら、幾日も咲き続けてくれます。
ありがとうございます♪
「山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。」に始まる、夏目漱石の『草枕』)は、、「智(ち)に働けば角(かど)が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」と喝破する。
静まり返った深夜。
考えるともなくCOV19のことを考えながら、キッチンのシンクをキュッ、キュッと磨き上げている。
老婆が、ひとり。
漱石が考えた人生の箴言ほどではないが、「人類の歴史はウイルスとの不断の闘いの結果で作られた」とつくづく思う。
なおまた、ウイルスの歴史を繙けば、嬉しいことに「人類は、毎回勝ち抜いてきた」ことも実感できる。
以前にも記したが、ウイルスを原因とする伝染病は、約1万2000年前の新石器時代の生活革命で人間の行動が変化し、人口が密集した生活共同体が世界各地に形成されたときから始まった、とされる。
原因解明も治療法も十分に確立されていなかった有史以前には、感染症のパンデミック(世界的流行)は歴史を変えるほどの影響を及ぼしてきた(2020年、COV19のせいで歴史が変わった!?)が、19世紀後半になって原因や対処法が解明され、感染症による死亡者は激減することになった。
ヒトに感染するウイルスの中で最も古いものは、天然痘と麻疹のウイルスで、 数千年前にヨーロッパと北アフリカの人類の前に初めて出現した、とされる。 なお、天然痘で死亡したと確認されている最古の例は紀元前1100年代に没したエジプト王朝のラムセス5世で、彼のミイラには天然痘の痕跡が残っているという。
近代になって、1796年、エドワード・ジェンナー(Edward Jenner、イギリスの開業医)が、より安全な牛痘接種を開発。これにより、183年を経た1980年に、WHOが【天然痘の世界根絶宣言】を発出するに至った。
その後1996年は、ジェンナーによる種痘発明200年記念の年とされ、世界で唯一、人類がウイルスに勝ち抜いたことを寿いだ。 ジェンナーが【近代免疫学の父】と称される所以である。
そして、たとえ1例であろうとも、人類がウイルスを根絶させた!、貴重な歴史の一コマである。
◆
さて、インフルエンザ。
国立感染症研究所 感染症情報センターの岡部信彦センター長が、歴史的にも興味深い解説をしておられるので、ご紹介したい。 インフルエンザという、流行性の疾患が、人々の暮らしや文化と密接にかかわっていることが窺えて実に興味深い。
『突如として発生して瞬く間に広がり、数カ月のうちに消えていく、咳と高熱の流行性疾患の記録はヒポクラテスの時代からあったといわれている。周期的に流行が現われてくるところから、16世紀のイタリアの占星家たちはこれを星や寒気の影響(influenza=influence)によるものと考えていた。
我が国では、平安時代の「増鏡」に「しはぶき(咳)やみはやりて人多く失せたまふ・・・」と書かれており、江戸時代には、「お駒風」「谷風」などと名付けられた悪性のかぜ(インフルエンザ?)の流行が見られたという。
1890年(明治23年)にアジアかぜが世界的に大流行した頃から、我が国ではインフルエンザのことを流行性感冒(流感)と呼ぶことが定着してきた。1918年には、スペインかぜが世界各地で猛威をふるい、全世界の罹患者数6億、死亡者は2000~4000万人にのぼったと推定されている。我が国には大正8~9(1919~1920)年の冬に流行が持ち込まれ、罹患者は2300 万人、死者は38万人に及んだといわれる。当時の新聞には「流感の恐怖時代襲来す。一刻も早く予防注射をせよ」という見出しが見られる。』
今も昔も、マスコミの大仰な見出しには辟易するが、情報のない時代の恐怖感・不安感は、いかばかりであったろうか?
翻って、いま。
情報が有りすぎて溢れかえっているというのに、一部の人々(敢えて言おう。日本人の大多数)の浮足立った懼れようは、どうしたことか?
情報を取捨選択し、冷静に受け止めて、正しく懼れることが求められている。
新型コロナウイルスは、正式名「COVID-19」(Coronavirus Disease 2019(コロナウイルス感染症2019)の略称)で、同じく国立感染症研究所の規定によれば、『ヒトに日常的に感染する4種類のコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV)は、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1である。風邪の10~15%(流行期35%)はこれら4種のコロナウイルスを原因とする。冬季に流行のピークが見られ、ほとんどの子供は6歳までに感染を経験する。多くの感染者は軽症だが、高熱を引き起こすこともある。HCoV-229E、HCoV-OC43が最初に発見されたのは1960年代であり、HCoV-NL63とHCoV-HKU1は2000年代に入って新たに発見された。』とのことである。
つまり、4つのコロナウイルスを親にして変異してきたのが、謂うならば新型コロナウイルス3兄弟で、長男は2002年11月、中国の症例に始まり重症急性呼吸器症候群 (Severe acute respiratory syndrome = SARS) と名付けられ、台湾の症例を最後に、2003年7月にWHOによる終息宣言が出されたが、約8か月で患者数8439人、うち死亡者812人を記録している。
次男は、中東呼吸器症候群(MERS:Middle East Respiratory Syndrome)と名付けられ、2012年に確認されたウイルス性の感染症で、原因となるウイルスはMERSコロナウイルスと呼ばれている。
2012年9月、60歳のサウジアラビア男性患者が急性肺炎および腎不全により死亡。オランダのエラスムス医学センターが遺伝子解析を行い、新型コロナウイルスと確定された。
※MERS=マーズと名付けられたのは2013年5月のことであった。
その後、2013年にイギリスで、2015年には韓国で、発症の症例が報告されている。
新型コロナ、なかなか、一筋縄ではいかない疾病なのだ。
さて、三男が、暴れん坊のCOV19。
長男、次男に比べ、圧倒的に罹患者数が多いのは、このウイルスの感染力と伝播力が、通常のインフルエンザ並みで、前記二つのSARS,MERSの蔓延がそれほど伸びなかったために、当初、見過ごされた感があったようだ。
マスコミは毎日のように感染者数や死者数を報告しているけれど、冷静に考えて、幾多の感染者には感染する応分の理由があったのではないか?
ご逝去の【COV19英霊】の皆さまにも、ほとんどの方にやはり応分の理由があったと思う。
その、応分の理由から私たちが学んで、COV19を上手くイナすことができれば、患者さんにもご逝去の英霊にも喜んでいただけるのではないか?
10人の感染者のうち2人が急激な重篤化を招き、死亡に至る、とされるこの三男坊には、今現在、ワクチンもなく、特効薬もないなかで、適切な対症療法を軽度のうちに受けられるかどうか、が重篤化に至らない大きな要因であろう。
長男も、次男も、この世に生み出された当初は、ワクチンも特効薬もなかったけれど、今では簡単な検査キットでかかりつけの病院で確定していただける。
近い将来、三男坊にも同じように、検査⇒病名確定⇒対症・対病療法を受けられる医療システムが確立し、ウイルスと共存して勝ち抜いていく日が来ると信じている。
以上述べてきたように、新型コロナウイルスは、今後も四男坊、五男坊と兄弟を増やしていくのかもしれないし、3兄弟も折々に顔を出すかもしれない。
けれど、何が起ころうともまずは受け入れて、【めげない、逃げない、へこたれない】、【備えよ、常に!】、【きっと良くなる、必ず良くなる】をモットーに、「伝染らない・伝染さない」という生き方を大命題に据えて、勝ち抜きましょう! ご一緒に♪
がんほか難病・大病の皆さま。
日々、明るく、強く、前向きに、生きましょう。
「伝染らない・伝染さない」生き方については、稿を改めますね!
庭木の下でひっそりと咲く、深山苧環(みやまおだまき)2種、鈴蘭、鳴子百合。
風に揺れながら、幾日も咲き続けてくれます。
ありがとうございます♪
何が起ころうとも受け入れて、って強いね、あなたは。
圧倒されてる自分も、明日から頑張る。