Marco Antonio Araujo『LUCAS』(1984) by Mr.Rapport
10年前のちょうど今頃、結婚10年を記念して夫婦でモルディブへ“潜り”に行ったことがあった(ということは、今年は結婚20周年。よく辛抱した)。
モルディブは1島1リゾート。そのため、夜のプレイスャbトと呼べるようなところがない。我々夫婦が宿泊したマクヌドゥ・アイランドという島も例外ではなく、夜はせいぜいライブラリーから本(日本語の本も多数置いてある)や音楽CDを借りるくらいしか楽しみがない。
そのとき借りて「いいな」と思ったのが、このMarco Antonio Araujo――マルコ・アントニオ・アラウージョ。聴いていてとにかく癒されるのだ。そこで連日借りたところ、ホテルのスタッフが「それほどお気に入りなら、ダビングしてさしあげましょう。本当は違法ですけど特別です」と言ってくれ、日本に持ち帰ることができたというわけである。
帰国後、ネットで調べたところ、マルコ・アントニオ・アラウージョはブラジルのプログレ系アーティストであることが判明。元々はクラシック畑のギタリストで、途中からロックに転身を図り、4枚のアルバムを残し他界。つまり、今回紹介するアルバムは彼の遺作ということになる。
そのアルバム「LUCAS」だが、どの曲も気品に満ちていて、絶品の美しさがある。優雅でクラシカル、たおやかさもあるいっぽうで、ロックならではのダイナミズムも兼ね備えている。
とくに最初の16分にも及ぶ大作はなかなかの出来で、Blackmore's Nightのインストパートの様式美エキスにCamelのシンフォニ・エキスをプラス、それにSantanaの躍動感を鰍ッあわせたようなサウンド。この一曲だけでも、このアルバムを聴く価値がある。メインはあくまでギターだが、フルートやピアノやストリングスが加わっても、けっして仰々しくならず、むしろ南米らしい優しげな叙情と哀愁を漂わせている。
ただ、中盤からだんだんとトーン・ダウン。後半は生ギターを主体にしたクラシックの小曲みたいなナンバーがつづくため、HR好きのロッカーは退屈するかもしれない。
それでも良質のプログレであることには違いないし、無機質な空間で聴くよりも、南国リゾートで夜風にあたりながら聴くのが確かにお似合い。明日、海の中で遭遇するかもしれないマンタ(エイ)に思いを馳せながら……。素敵なアバンチュールを期待しながら……(おお、今回はスケベ度・ゼロの投稿だぞ)。
You-Tubeを貼り付けておきましたので、興味のある方は最初の16分間だけでも聴いてみてくださいな。
https://www.youtube.com/watch?v=9aKEiO0Uvkc
そういうわけで、今回は絶品の美しさあふれるアルバムを紹介しましたが、次回はその真逆の「美の欠片もないアルバム」を紹介します。
なお「海外の旅 → 南米産の良質のプログレとの出会い」は他にもあるので、それもまた別の機会にこのコーナーで紹介したいと思います。
10年前のちょうど今頃、結婚10年を記念して夫婦でモルディブへ“潜り”に行ったことがあった(ということは、今年は結婚20周年。よく辛抱した)。
モルディブは1島1リゾート。そのため、夜のプレイスャbトと呼べるようなところがない。我々夫婦が宿泊したマクヌドゥ・アイランドという島も例外ではなく、夜はせいぜいライブラリーから本(日本語の本も多数置いてある)や音楽CDを借りるくらいしか楽しみがない。
そのとき借りて「いいな」と思ったのが、このMarco Antonio Araujo――マルコ・アントニオ・アラウージョ。聴いていてとにかく癒されるのだ。そこで連日借りたところ、ホテルのスタッフが「それほどお気に入りなら、ダビングしてさしあげましょう。本当は違法ですけど特別です」と言ってくれ、日本に持ち帰ることができたというわけである。
帰国後、ネットで調べたところ、マルコ・アントニオ・アラウージョはブラジルのプログレ系アーティストであることが判明。元々はクラシック畑のギタリストで、途中からロックに転身を図り、4枚のアルバムを残し他界。つまり、今回紹介するアルバムは彼の遺作ということになる。
そのアルバム「LUCAS」だが、どの曲も気品に満ちていて、絶品の美しさがある。優雅でクラシカル、たおやかさもあるいっぽうで、ロックならではのダイナミズムも兼ね備えている。
とくに最初の16分にも及ぶ大作はなかなかの出来で、Blackmore's Nightのインストパートの様式美エキスにCamelのシンフォニ・エキスをプラス、それにSantanaの躍動感を鰍ッあわせたようなサウンド。この一曲だけでも、このアルバムを聴く価値がある。メインはあくまでギターだが、フルートやピアノやストリングスが加わっても、けっして仰々しくならず、むしろ南米らしい優しげな叙情と哀愁を漂わせている。
ただ、中盤からだんだんとトーン・ダウン。後半は生ギターを主体にしたクラシックの小曲みたいなナンバーがつづくため、HR好きのロッカーは退屈するかもしれない。
それでも良質のプログレであることには違いないし、無機質な空間で聴くよりも、南国リゾートで夜風にあたりながら聴くのが確かにお似合い。明日、海の中で遭遇するかもしれないマンタ(エイ)に思いを馳せながら……。素敵なアバンチュールを期待しながら……(おお、今回はスケベ度・ゼロの投稿だぞ)。
You-Tubeを貼り付けておきましたので、興味のある方は最初の16分間だけでも聴いてみてくださいな。
https://www.youtube.com/watch?v=9aKEiO0Uvkc
そういうわけで、今回は絶品の美しさあふれるアルバムを紹介しましたが、次回はその真逆の「美の欠片もないアルバム」を紹介します。
なお「海外の旅 → 南米産の良質のプログレとの出会い」は他にもあるので、それもまた別の機会にこのコーナーで紹介したいと思います。