minaの官能世界

今までのことは、なかったことにして。これから考えていきます。

海猿 Limit of Love

2007年01月01日 | 映画鑑賞
「海猿」のDVDは、お正月に観ようと思って、ずっと観ないでとっておいたのだ。
評判は、映画館に観に行った友人から聴いていた。
おもしろいよ。泣けるよ。
彼女は、そう言っていた。
だから、絶対、彼と観に行っちゃ駄目よ。
へ? なんのこっちゃい。
とはいうものの、この手の情報というものは裏切られるのが普通で、過度の期待はしないほうがよいくらいの分別?は持ち合わせている。
まして、彼女は、伊藤英明の大ファンなのだ。彼にプロポーズされたら、即、その場から婚姻届を出しに行ってもよいというくらいの熱烈ファンだから、話半分でいた。
正月明けには、彼女に、「たいしたことないじゃん」と言うつもりだった。
海猿の第1作は、わたしにとって、あまりおもしろくなかったということもある。

しかし、オープニングを観て、「これは・・・・・・」と身を乗り出すことになった。
明らかに、第1作とは、お金のかけ方、否、気合の入れ方が違う。

☆観客を惹きこむオープニング

わたしは、これにやられた。チャちな映像だったら、逆に観る気が失せたろうけれども、主人公の「仙崎大輔/伊藤英明」が、暴風雨の中で墜落機の二人の生存者を救助しようと悪戦苦闘している正に迫真のシーンに思わず惹きこまれてしまったのだ。
要救助者は成人男性と小学生くらいの男の子だった。大輔は最初は成人男性の手を掴んでいた。子供は、自力で機体にしがみついているが、今にも波にさらわれそうである。限界の中で、彼と成人男性は子供を助けようと、それこそ決死の努力をした。男は、ひょっとしたら、その男の子の父親だったのかも知れない。男は懸命の力を振り絞り、自力で機体の残骸にしがみついた。それを見た大輔は男の手を離し、子供の手をとって引き上げ、その身体を確保した。その次の瞬間、大波が彼らを襲い、力尽きた男は海中に姿を消した・・・。
この衝撃的なシーンで、この作品は始まる。

☆大輔は迷っていた
わたしから見れば、大輔はよくやったと思う。あの状況下では、2人とも助けられなかった。しかし、彼は、そんな安易な考えではなく、あくまでも二人とも助けられなかった自分を責め続ける。その彼の内心の葛藤を知ったのは、物語が随分と進んで、船中に閉じ込められ、絶体絶命のピンチに落ち込んでからだ。それも、疑心暗鬼になった要救助者の質問に答える形で、バディの吉岡が語ったのだ。
それで、やっと判った。何故、大輔がフィアンセのウェディング姿を見て、結婚に躊躇ったのか。

彼は、迷っていたのだ。救助すべき人間を助けられなかった自分が、果たして最愛の女性である環菜を守れるのかと。そんな自分に、結婚する資格があるのかと。
わたしは、声を大にして言いたい。
もちろん「ある」と。こんな男性にプロポーズされるなら、それこそ、その場で即、婚姻届を役場に出しに行ってもよい。
こんな素晴らしい男が、この世の中に存在するのならば。
そういう心配が頭の中をよぎった。もし、この作品にのめり込めない観客がいるとしたら、そういう悲しい現実を厭というほど実体験の中で経験し、人間を信じられなくなった人だろう。凍えた冷めた目で観たら、この作品の中で起こることは、茶番にしか見えないかもしれない。幸い、わたしは、そこまで人間不信に陥ってなかったようだ。
もう、このへんから、涙、涙、涙。涙で画面がぼやけてしまって、鼻水も垂れ流し状態。お化粧も全部流れてしまって、どろどろ。
これは、好きな人とは一緒に観れない。
ようやく、この作品を勧めてくれた彼女の言っていた意味が判った。

大丈夫だよ、大輔。もう、迷うことはない。環菜にプロポーズをしてあげて。
最後のハシゴ登りの前に環菜に携帯でプロポーズするシーンでは、わたしは不覚にも号泣してしまった。

☆この作品の見所
全編を貫いているのは、まさに「人命」の尊さである。人間は極限状態に置かれて、初めて人間性が現れる、あるいは、その真価が問われると言うが、ここに描かれているのは、理想の救命士、否、理想の人間の姿だ。
「人命は、地球よりも重い」・・・これがこの作品のテーマのひとつであることは間違いない。
しかし、それだけではない。
もうひとつのテーマ。
それは、信頼だ。

人を信じることの難しさは、裏切られることが多いというその悲しい現実ゆえであろう。
遂に沈没してしまったフェリー。
とうとう助けられなかった。

多くの人間はそう思い、ニュースにも救出失敗のテロップが流れる。無情にも、霞ヶ関の本庁から現場指揮官に指示される翌朝の遺体収容。
翌朝とは、既に死んでいるという判断にもとづくものだ。
諦めるのか。救助を諦めていいのか。
下川専門官は、本部の上層部の指示に反して、「遺体収容? いや、これから救助に向かう」と言い放った。

いやあ、これには参った。カッコよかった。
それに呼応するかのように、現場からは潜水許可を求める無線が続々と入る。

そうでなくっちゃ。
このころになると、自室でのDVD鑑賞の気楽さからか、わたしは涙を拭うのもやめ、どろどろの顔のままで身体の芯を熱くして作品の中にのめりこんでいた。もはや感情移入なんていう状態ではなく、完全に作品と一体化していた。
頑張れ。絶対に生きて帰ってきて。環菜と結婚するのよ。絶対よ。
遠く離れた現場を知らない高級官僚や偉いさんの言うことなんか、どうでもよい。現場の潜水士たちからは、そんな心意気が伝わってきた。
次々と飛び込む同僚の潜水士たち。
頑張って。絶対に大輔は生きているわ。だから、助け出してあげて。
わたしは、手に持ったティッシュペーパーの箱を抱きかかえた。そこら中に鼻をかんだティッシュが散らかっている。
「本当に来てくれたよ」

そう言った彼らの顔に、仲間を信じることの大切さを理解したような表情が浮かんだ。その彼も、疲労困憊の大輔の次の言葉に驚かされる。
「吉岡の救出に向かいます。彼の居場所を正確に知っているのはわたしだけです」
大輔は、吉岡の生存を疑っていなかった。
そして、相棒の吉岡も必死で残り少ない酸素を大事に使いながら、大輔が戻るのを待っていた。

なんという信頼感だろう。
かくて、4名全員の生還。

全身がぞくぞくするような、それこそ鳥肌がたつような感動のシーンだった。

☆感動の理由
冷静になって考えてみると、これほど感動したのは、現実がそうでないからだということに気付く。恐らく、この作品に描かれているのは理想の世界であり、およそ現実離れしたことがらなのだ。唯一、ありそうなことがらなのは、船中に生存者がいると判っていながら救出隊を撤収させたり、ひょっとしたら生存しているかもしれないのに、翌朝の遺体収容を決定したりする中央の官僚判断だろう。
願わくば、そういう機関の意思決定をするような立場にある方々が、この作品を観て、自らの至らなさを反省し、少しでも考え方を改めてくれたらなぁと割と真剣に考えた。
今の日本がおかしくなっているのは、官僚制度とその中で働いている・・・働いていると思っているのは、当のご本人だけかもしれないのだが・・・官僚(役人、公務員)に原因の一端があると思うのは、わたしだけではないはずだ。

この作品、凄くおもしろかったです。
mina、絶対のおすすめ。
ハートは満点の3つを差し上げたいと思います。

(PS)
ところで、ふっと思ったのだが、そして、こんなことを書くと、感動に水をかけるようなことになるとは思うのだけれど、疑問点がひとつある。
ハシゴ登りの前のプロポーズのシーン。
あれで、随分と時間を損したような気がするのだ。あんなことをせずに、さっさと登っていたら、爆発にも巻き込まれず、登り切って助かっていたのではないだろうか。一刻を争う緊急時にプロポーズはないだろう。号泣しておきながら、つまらないことを指摘するminaでした。ま、あれは、登り切ることが相当困難で、ひょっとしたら失敗して命を落とすかもしれないと覚悟した上でのプロポーズだったということにしておきたい。まさに命がけのプロポーズ。

そうだとしたら、なんてロマンチックなのかしら。


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
えいさんへ (mina)
2007-01-02 19:55:35
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
お正月は、ゆるい作品ばかり観ています。
だから、頭のねじも緩みっ放し。
お酒ばかり飲んでいます。
返信する
ひらりんさんへ (mina)
2007-01-02 19:45:18
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
わたしは、劇場に観に行こうとして、とうとう行けずじまいだったから、DVDで観れて、とても良かったです。結構、おもしろかったし。
期待もしていない作品が良かったりすると、とても儲かったような気がしませんか。
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ノラネコさまへ (mina)
2007-01-02 19:43:00
謹賀新年、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
突っ込みどころ満載みたいですが、お正月なので、
ゆるゆるで観たいと思います。
ふふふ。
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kossyさんへ (mina)
2007-01-02 19:32:04
開けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
minaも100インチくらいの大型液晶ハンビジョンホームシアターが欲しいです。
手に入ったら、もうずっと自宅に籠もって、DVDばかり観ているでしょうね。
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HAPPY NEW YEAR (えい)
2007-01-02 09:30:04
今年もよろしくお願いします。

この映画、珍しくさめて書いてしまったので申しわけないです。

ではでは。
いい一年でありますように。
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あけおめ (ひらりん)
2007-01-02 00:32:31
今年もよろしくおねがしまーーす。

あまり興味がなかったのに、ついで・・で見ちゃった作品でして・・・。
LOVE全開!!!の映画の映画だと思って見ないといけなかったですね。
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賀正 (ノラネコ)
2007-01-02 00:21:16
あけましておめでとうございます。
酔っ払って観たんですか?
私もあのプロポーズは突っ込みまくりでした(笑
よーく観ると他にも突っ込みどころ満載ですよ。
まあ確かに正月にDVDで観るには、このゆるさも含めてぴったりの映画かも。
今年もよろしくおねがいします。
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傾き (kossy)
2007-01-02 00:18:05
あけましておめでとうございます。
この映画では船が倒れるときの角度が微妙なつっこみどころでしたけど、ホームシアターで横になって観てたら何も感じなかったかもしれないなぁ~と、早く立派なホームシアターが欲しいkossyでした。

今年もよろしくお願いいたします。
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猫姫さまへ (mina)
2007-01-01 23:42:39
あけおめ~
ゆ、譲られても・・・・・・
彼は彼なりにいいと思いますyo
わたしは、今年は、さらに映画は、享楽的に観ることにします。判断基準は、おもしろいかどうかだけ。
教育的とか道徳的とか高尚だとか芸術的だとかいうのは、一切考慮せず、品格も無視。
ということで、ことよろ~
返信する
あけおめ! (猫姫少佐現品限り)
2007-01-01 23:21:50
酔っぱらって見て、よかったねぇ、、、
冷静に見たら、あのプロポーズシーンは、
突っ込まざるを得ません。
でも最後は、感動ものでしたねぇ。
あたしは伊藤英明、イマイチなんだなぁ、、、
minaに、譲るわ。
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