やはり韓国は、日本に一番近い国ということなのだろう。
わたしの住んでいた街では、「こっくりさん」は、この作品のように鉛筆を握って呼び出していた。
コインやメダルを使うことはあまりなかったような気がする。
韓国では、「こっくりさん」のことを「ブンシンサバ(bunshinsabaha)」というらしい。
「bunshin」が「分身」なのはよく判るけれど、「sabaha」が古代インド語で「望みよ、叶いたまへ」という意味だとは知らなかった。むしろ「娑婆」が転じた言葉だという方が判り易い。
韓国の作品なのに、とても感性が日本人に近いような気がするのは、こういう単語が使われているからかもしれない。
「こっくりさん」が韓国にとって外来のものだから、日本語と古代インド語の合成語が使われているのだろうか。
「こっくりさん公式サイト」
☆「ユジン」たちが「こっくりさん」を行うことになった理由。
都会から転校してきた「ユジン」が、排他的な田舎の子供たちに苛められる。その仕返しに「こっくりさん」の儀式を行うことになる。
苛めが理由と言う点が、ある意味、恐かった。
韓国においても、日本においても、自分たちと違う者に対する嫌悪感や差別が、苛めの原因になっているのだ。そして、それこそが、この作品の大きなテーマになっていて、怨霊の正体が、30年前に謎の死を遂げた「キム・インスク」であり、彼女もまた、当時の陰湿な苛めの結果、母親とともに殺されたという衝撃の事実が明らかになっていく。
殺された者の恨みが凄まじいものであればあるほど、物語の説得性は増し、それに比例して、恐怖心が煽られるという仕掛けだ。
☆「炎」に焼かれ、燃え上がる「復讐」の怨念。
そういう意味では、主人公の「インスク」が眼が不自由で、そのかわりに母親が「インスク」の眼になって、1日中、家に籠もり、全てを見ていたというエピソードは、心が締め付けられるように悲しい。母親の強い愛情が、そういう不可能なことを可能にしていたのだろう。そして、その超能力ゆえに、彼女たちは迫害を受けることになるのだ。そうだとすれば、あまりにも、哀しいではないか。
実は、彼女、重度の緑内障で何も見えない。
「インスク」が彼女のクラスメートたちに凄惨なリンチを受けて、逃げ惑っていた時、母親は「インスク」の眼となって、必死で助けようとしていた。
母親は母親で、大人たちに家に火を放たれていたというのに・・・。
なんという悲惨さ。
なんという酷さだろう。
子供は子供たちにリンチを受け、焼き殺される上に、母親は、それを全て見ていながら、助けることも敵わず、無残に焼き殺される。
母親の無念さ、苛められた子供の悔しさは、どれほどのものであったことだろう。それが、極めて大きいものであるだけに、その反動として、復讐の恐ろしさがいやがうえにも増してくる。
ここまでやったら、何をされてもしようがない。
やられるくらいなら、やってしまえ。
この理不尽な考えが、30年前の惨劇の全てを知る村人を支配していく。
☆しかし、今度の相手は、生身の人間ではない。
「こっくりさん」の儀式を行ってしまったために、「インスク」の怨霊が取り付いてしまった「ユジン」は、「インスク」の操るままに、クラスメートたちを焼き殺していく。クラスメートから恐れられ、迫害を受け始めた「ユジン」を庇ったのは、担任の「ハン・ジェフン」先生と都会から赴任してきたばかりの「イ・ウンジュ」先生。
ハン先生の父親は、30年前、「インスク」の担任でもあった。そして、「インスク」の母親の色香に惑わされ、教師としてあるまじき行為に及んだという因縁もあった。しかし、ハン先生の父親は彼女のことを本気で好きだったのかもしれない。現に、同じ過ちを犯そうとしている校長先生や村の有力者たちに反対の意を唱え、懸命に「ユジン」たちを庇おうとした。その努力も虚しく、「インスク」にとり憑かれた「ユジン」は、村の有力者たちが彼女を殺すための謀議を謀っている会合場所に乗り込むと、ガソリンを撒いた上、火を放ち、自らも、炎にまかれてしまう。
☆なぜ「ハン」先生は助かり、「ホギョン」は殺されたのか。
「インスク」の母親の最終目的は、娘を生き返らせることだった。
わたしも、最後まで生き返らせる方法が判らなかったのだが・・・。
「ホギョン」の「ハン」先生に対するなにげないセリフ、「あなた、イ先生と何もなかった?」
それから、「インスク」の母親の「ユジン」へのセリフ、「もうあなたの身体に用はないわ」を訊いて、ようやく理解できた。
つまり、ラストシーンの海辺で遊ぶ「イ」先生と「幼い娘」こそが、「インスク」の母親と「インスク」の生まれ変わりなのだ。都会からやってきた「イ」先生は、既に、「インスク」の母親に乗っ取られており、後は、娘を復活させることだけが、彼女の目的だった。
母体を手に入れることができれば、後は父親を用意すれば、娘は復活する。憎い相手を次々と手にかけ、目的の達成まで、あと少しに漕ぎ着けていた彼女にとって、生まれつきの鋭い霊力で全てを見抜きかけた「ホギョン」は、最も警戒すべき相手だったのである。
かくて、「ホギョン」は「ユジン」を助けることも敵わず、「イ」先生こと、「インスク」の母親の手にかかり、殺されてしまう。
「ユジン」は、どうして殺されたのかというと、30年前に、「ユジン」の母親が「インスク」を裏切り、火をかけて殺したからだ。
悪鬼と化し、校長先生を滅多突きにして殺害した「イ」先生が、「ハン」先生を見逃したのは、彼が生まれ変わった「インスク」の父親であったからにほかならない。
今一度、見直してみると、返り血で血まみれとなった彼女が、怯えてうずくまる「ハン」先生の横を通り過ぎる時の表情には、なんともいえない悲しみと寂しさが漂っていたような気がする。
これが、怨霊ではなく、生身の人間の仕業となると、横溝正史ばりの本格推理小説になると思うのだが、どうだろうか。
脚本が凝っていて、なかなか楽しめました。
韓流映画は、あまり好きではないのですが、そういう先入観を持っていたことに対する反省も込めて、
ハートは2.5個
コックリさん スペシャル・エディション ハピネット・ピクチャーズ このアイテムの詳細を見る |
不都合が多すぎるので、blogの引越しをしました。新しいアドレス入れておきましたので
これからもよろしくお願いいたします。
こっくりさん・・・日本版も見てみようかと思ってます。韓国版は何か、可哀想な話でしたよね・・・
盲目の娘の目となった母親、かわいそうなお話しでしたね。
韓流ホラーの中では、よかったです
韓国のホラーてやっぱり面白いですね。
日本の物よりかも面白かったりして。
トラバ、ありがとうございます。
私のところでも分身様といって、鉛筆で小学校のころ、はやっていました。
いま、思えば、危険な遊びだったんだなあって、思ってみたり。
また、遊びに来てもいいでしょうか??
TRBありがとうございました♪
ヒロイン達が美しいっ!
それ故なのか・・・あまり怖い印象は受けませんでした。
私も“韓流”ニガテなのですが~^^;しかし
ホラーやサスペンスはminaさまのご指摘のように日本のものと通ずるところが
あったりして、興味深いですね。
私はこの作品にジャパニーズホラー『リング』を重ねてしまいました。(^~^;)
またオジャマさせていただきマス♪
こちらからもTRBさせていただきました♪♪