愛知の史跡めぐり

愛知県の史跡を巡り、その記録を掲載します。

大浜陣屋跡 碧南市

2019年09月06日 18時18分57秒 | 碧南市
大浜陣屋は水野氏の陣屋
8月29日、碧南市の大浜を訪れました。大浜の陣屋跡を訪ねました。大浜陣屋は現地の案内板によれば、
「明和6年(1769)から明治5年(1872)まで、駿河沼津領主・水野家が西三河における領地を支配するために設置した役所のこと」
だそうです。
「水野家は、徳川家康の母・於大の方(伝通院)の実家で、忠清の時に信濃国松本7万石の大名となりました。」
水野家といえば、水野忠政(緒川城城主)、水野信元(刈谷城城主、三河一向一揆で徳川家康の援軍をした人、しかし織田信長に謀反の疑いをかけられて家康に殺害された人)、水野勝成(刈谷城で“カツナリクン”というキャラクターになっているが福山城の城主でもある人)など徳川家康や江戸幕府に大変縁の深い一族です。
水野高恒、なんと江戸城で刃傷沙汰
「しかし、享保10年(1725)忠恒(松本6代目)が江戸城内で刃傷沙汰を起こし領地を没収され、信濃国佐久郡7千石の大名の旗本となりました。」
江戸城内での刃傷沙汰はいけません。あの赤穂の浅野内匠頭もそうでした。当然切腹、御家断絶です。水野家はこれまでの実績があるということで、御家断絶は免れ、大名から旗本に格下げされたようです。事件の首謀者水野忠恒は叔父の水野忠穀(ただよし)の家に謹慎蟄居となり、そこで亡くなったそうです。
水野忠友、大名として復活させる
「その後、水野忠友は明和5年(1768)西三河領6千石の領地を受け、1万3千石、安永6年(1777)には駿河国沼津に城地を拝領、さらに忠友の子忠成(ただあきら)の代にも加増を受け、天保元年(1830)には5万石の大名になりました。」
ということで、この大浜陣屋は水野忠友の代から始まったようです。

水野忠成・水野家系図(現地案内板より)

大浜を支配していた大名が静岡県の沼津藩の大名とは知りませんでした。しかし、もともとは緒川・刈谷の水野氏であったことも初めて知りました。

大浜古城、羽城
さて、その大浜陣屋ですが、もともとは大浜古城、羽城という城がこの地にあったようです。三河国二葉松には以下のような記述があります。
「大浜村古城 稲熊氏住ス後天野孫三郎天文年中五十貫領次
永井傳八直勝或傳十郎始当村名主永田平右衛門子也信康君、始仕官」

つまり、はじめに大浜古城には稲熊氏が住んでいた。その後天野孫三郎が天文年間に50貫でここを支配し、次に永井直勝が支配した。なお、直勝は当村名主永田(長田)重元の子である。永井直勝ははじめ徳川信康に仕えていた。というのです。

暗殺請負人、天野孫七郎
この天野孫三郎の関しては、「三河物語」に天野孫七郎として記事がありました。天野孫三郎という人物はネットで検索しても出てきません。代わりに天野孫七郎は、西広瀬城主佐久間全孝暗殺未遂事件の首謀者として出てきます。

松平広忠が天野孫七郎を呼んで命ずるには、「広瀬の佐久間を切ってこい。殺害したら、大浜に百貫で領地をやろう、もし負傷させただけなら50貫の領地をやろう」と。佐久間の殺害は難しいが、主の命令なので背くわけにもいかず、孫七郎は受けることにしました。広瀬への道中案を練りますが、よい考えもなく、孫七郎は佐久間に奉公することにしました。奉公しているうちに殺害の機会もあるだろうと考えました。広瀬ではうまく事が運び、孫七郎は寝ている佐久間全孝を討つチャンスが来ました。佐久間が起き上がったところを討とうと待ち構えていましたが、なかなか起きないので、こんどは布団の上から刺そうとしましたが、布団が厚く、これもうまくいきそうにありません。そこで、首から上を切ろうと蒲団の裾をまくり、切りつけました。切られた佐久間は少しも動かなかったので、死んだと思い、孫七郎は城から逃げ出ました。途中、刀を落としましたが無事広忠の元にもどりました。そのことを広忠に報告すると、約束通り大浜の地に50貫もらえることになりました。それでこの地を別名「佐久間切り」とも呼んだそうです。一方の佐久間全孝ですが、これで死んだわけではなく自分で帯を頭に巻き付けて傷を養生し、何とか命は助かったということです。

池田恒興を討ち取った永井直勝
この天野孫七郎の後、長田重元が大浜城を拠点としたようです。長田氏は、主君源義朝を殺した長田忠致の末裔です。永井直勝はその長田重元の子どもです。永井直勝は、小牧長久手の戦いで池田恒興を打ち取るなど家康の元で活躍し、関東地方に所領を持つ大名となりました。

その後に、上記水野忠友が大浜陣屋をたて、この辺りを支配したというわけです。

大浜陣屋跡は「大浜陣屋広場」として公園となっています。

大浜陣屋跡の公園

公園は四角い広場になっていて、いろんな掲示物がありました。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿