ニース最後の朝、起きてミッシェルさんに挨拶をすると、いつになくギューッとハグでの挨拶で、感傷的な気分になる。彼は91歳。まだまだお元気なので、また会えるとは思う。しかし、心臓を悪くしているということもあり、次はいつなのか、不安があったとしても不思議ではない。昨日は「これ、あげる」と、愛用されていたと思われる彼のブレスレットをいただきもした。もしかしたら、などと余計なことが頭をよぎる。
そんな朝だったが、マルセイユへ行く切符も予約済みである。ヴァンチミリアでホームがあふれて列車に乗れなかったことがあったので、マルセイユのヴィルジニに尋ねたところ、「バカンスは過ぎたので、大丈夫。」と言ってきた。今回ニース→マルセイユ間の予約も日本でしなかったので、TGVの席がなくなっていた。よってTER、つまり座席指定はない。しかし一等か二等の選択があった。前回は二等でTGVだったと思うが、値段も上がっていたが、TER一等で、予約を入れた。一等にしたのは二等との客層の差を意識し、安全を買ったつもりだった。
この区間は所要時間に関しては、TGVとTERの差はほとんどない。
朝食後も名残惜しくリビングにいて、バルコニーを見ると、向かいのアパートで引っ越し作業をしていた。バルコニーに出てみると、引っ越しのための車両は前もって警察への届け出がされているらしく、警察官が来て、その近くに無断駐車されていないかチェックしていた。市警察の人で、夫妻が言う非常に市民生活に密着したありがたい存在らしい。邪魔になる車に何か張り紙をしていた。間もなくその車は他へ移動した。通りかかった高齢のマダムの質問にも、丁寧に答えている様子が見えた。
若い引っ越し作業員と下でも数人受け取る作業員。感心してみていた。大変だろうなと上の作業員に「がんばって」のジェスチャーを送ると、「がんばるよ。ありがとう」のジェスチャーが返ってきた。こう言うちょっとした触れ合いにも「ああ、フランスらしいな」と感じるのだ。
彼はイタリアのサッカーユニフォームを着ていたので、それについてもちょっとしたジェスチャーを送ると、「うんうん」と、にっこりしてくれたのだった。
長い梯子を上げ、リフトに荷物を載せ自動的に下へ下げる仕掛けになっている。
さて、出発の時間が近づいてきた。
夫妻はもちろんニース駅まで同行してくれる。何度か今回夫妻とともに歩いたニース駅までの道。今回彼らと本当にゆっくり過ごし、Jクロードからも「いろいろな話ができていい時間を過ごしたことを忘れない」という言葉があった。
前回もそうだったが、高齢の夫妻との別れの瞬間は、やはりうるっときてしまう。
また会えることを信じて。(数日後、彼らは二人で休暇を過ごしたようで、「今度は一緒に行きましょう」というメッセージを受け取った)
いろいろな思いを胸に、彼らの見送りを受けて、改札口を抜けた。
追記:
彼らの家にあったトレイにかかれていたことを訳したところ、「だれでもそうだ」とすぐに言ったミッシェルさ。確かにフランス人なら皆そう言うだろう。↓
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