中央教育審議会(中教審)は8月27日に公立学校の教員確保に向けた総合的な方策を文科省に答申しました。
答申は、時間外勤務手当をを支払うかわりに給与に上乗せ支給する「教職調整額」を従来の一律4%から13%に引き上げることを求めています。
長時間労働を是正する働き方改革が答申の柱になっています。
それを受け文科省は、教職調整額の増額や小学校の教科担任を広げることの案をまとめ、そのための財源を2025年度予算の概算要求に計上します。
そもそも、公立学校の教員の給与は、その3分の1を国が出します。残りの3分の2は地方自治体が出します。
教職増額分だけでも、国の支払い分は1年につき、1270億円となります。
財務省としては、全国の教員の給与増が関係するので、そう簡単に予算要求を受け入れるかどうか。
折衝は難航することが予想されます。
もともと、教員が忙しすぎるという問題点から教職志願者が減っているので、教員の仕事量全体を減らしていくのが本来取るべき方策です。
それなのに、給料を上げることで問題が解決するのかという疑問もあります。
もちろん、教職調整額を上げるだけでなく、小学校での教科担任制を増やす施策なども含んでの予算要求になっています。
教科担任制は、小学校の学級担任にとってみれば自分の担当する教科が減るので、負担軽減にはなります。
しかし、「この教科は担当したことがないので、教えることができない」という教員が小学校で増えてくることはどうなのでしょうか。
たとえば理科専科を導入すると、理科の実験や観察はできないままの教員が増え、それが小学校教員の専門職制としていいのかどうかという問題が出てきます。
給特法の改正案は2025年の通常国会に出されます。
教員の仕事量全体を減らすには、教員を増やすことだと思うのですが。