箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

 なんでもかんでも学校に求めるのは

2022年10月21日 07時18分00秒 | 教育・子育てあれこれ

2016年に,文科省により行われた教員勤務実態調査では、「過労死ライン」(月80時間)を越えてはたらく教員が、小学校の場合でおよそ3割、中学校でおよそ6割いることが明らかになりました。

また、1週間の勤務時間の長さでは、10年前よりも小学校で4時間、中学校で5時間増えていました。

これは由々しき自体ということで、文科省は「働き方改革」を進めてきて、現在にいたっています。

その途中で2019年に国は教職員給与特別措置法を改正し、教員の時間外勤務の上限を定めました。

月に45時間で年間で360時間と定めました。

法が変われば、教育行政や学校の教頭・校長・副校長らは、それを遵守することが求められるようになりました。

「学校の教育推進のために仕事をしてくれている」とはわかりながらも、時間外勤務が長くなる教員には「早く帰りなさい」といわざるを得なくなります。

しかし、その一方で、教育課題は2016年以降も増え続けます。GIGAスクール構想、新型コロナウイルス感染防止対応、小学校での英語教育の拡大、プログラミング教育、SDGs学習、子ども間で起きるもめごとへの指導、地域の行事への生徒・教職員の参加・・・などです。

そこで、管理職の「指導」と肥大化する仕事の間に挟まり、苦しむ教員が増えるのです。


そもそも、教員の働き方改革を掲げる国が、その片方で経済的発展と社会的課題の解決を両立させる社会(Society 5.0)に向けたあらたな取り組みや対応を学校に求めているのです。

また、日本では何か課題が出てくると、何でもすぐに学校教育に求める傾向があります。

「これも対応しなければ」「あれも子どもができるようにならなければ」・・・。

授業に終わりはありません。たとえば「私の授業は40才で完成しました」などとなることはなく、つねに研究と研修が求められるのが教職という仕事です。

そこに学校の教員は、人にもよりますが、自分の仕事と報酬を結びつけて考えないという傾向があります。

「子どものためなら」「子どもの喜ぶ様子をみるためには」と思い、時間をいとわないという古くからの習慣があります。

もちろん、国も「教員でしかできない学校の仕事」、「教員でなくてもできる学校の仕事」に分け、スクールサポーターや学習支援ボランティアなどの予算措置はしてきています。

しかし、もう何でもかんでも学校教育に「おんぶにだっこ」をするのはやめないと、良心的で善良な教師は時間外勤務を減らして働き方を変えることは難しいのです。


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