現代社会では、社会の構造が複雑化しています。
しかし、もっと以前の日本の社会、たとえば昭和の頃はもっと単純だったように思い出します。
勧善懲悪がはっきりしていて、いいことはいい、悪いことは悪いと明快でした。
しかし今は、悪いことをしたとしても、その背景を考えると、無理もなかったかもしれないね。
それは善行だけれども、こちらの人びとにとっては不利益になるよ。
受け取り方や受ける印象は、人それぞれなのです。
そんなふうに、一概にいいとか悪いを即断できないこともあります。
その点で、昔の時代を振り返って述べることで、かえってはっきりしてきて、社会のあり方や人と人の関係を基本から見つめ直すことができるかもしれません。
そういう意味では、昭和懐古はあながち価値のないことではないと思います。
たとえば今なら、小説や物語の本を読んで、現代のあるできごとや関係を別の角度から照らし出し、現代では「人間にはこういう面もある」「この人にはこういう面もある」と受け手により判断は多様です。
画一的な見方から脱していくのが時代にあった考え方になると思われます。
現代の人と人の関係は、ゆるやかな関係であり.「いつもあのひとといっしょ」ではないけれど、この場合はともに活動する、でもあの場合は別の人と活動するといったつながりを人は求めているのです。