箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

感染症についての学校での学習

2020年11月15日 08時48分00秒 | 教育・子育てあれこれ

いま、学校では児童生徒に新型コロナウイルス感染症に正しい理解を促す学習が始まっています。

これは、日本で新型コロナウイルス感染症患者や医療従事者等への偏見・差別が広がり、深刻な状況になったという背景を踏まえています。



学校では以前は、人にうつる病気を「伝染病」と呼び、校内でもこの用語が使われていましたが、いまでは「感染症」という言葉を使います。

これは、1999年に伝染病予防法にかわって、感染症法が施行されたからです。

伝染病予防法の時代には、日本の医療体制はまだ不十分で、伝染病が大規模に起こる可能性がありました。

そのため、伝染病予防法は、「隔離」(患者をほかの人びとから切り離す)ことに重点が置かれていました。

ところが、医療が進歩し、衛生水準が大きく向上しました。また航空機で早く多人数の人が移動する状況が生まれ、海外から感染症が入ってくる可能性が高まったいま、感染症対策の必要性が高まったためです。

さらに、国内でハンセン病やエイズへの対応で差別が起きた歴史を顧みて、人権尊重を感染症法の前文に盛り込んだのでした。

しかし、今回、新型コロナウイルス患者や医療関係者などがバッシングされました。
それは、今回新型コロナウイルスに対する対応の中心が「隔離」であったからでしょう。

そもそも、感染症は、人と人の動きを完全に止めない限り、拡大を防ぐことはできないのです。

でも、現代社会ではそれは不可能なことで、だれもが感染する可能性があるということが前提となります。

それなのに、隔離という対応を中心とする限り、感染症にかかるのは悪いことだというイメージが広がり、今回の差別を生み出す原因の一つになりましあ。

したがって、学校で新型コロナウイルスに伴う差別を防止する教育を行うときには、だれもがかかる可能性があり、最新の状況では、適切な既存の薬を使うと重症化しにくい感染症であることを、正しく児童生徒が理解できるような学習が必要です。

恐れるべきこととそうでないことを、大人が正しく理解して、学校での児童生徒の学習を行うようにしなければなりません。


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