

今日は1年の福祉体験、2年生の職場体験でした。当日欠席せざるをえなかった生徒もいましたが、多くの生徒が、福祉、職場・職業を体験し、貴重で有意義な時間を過ごせたのではないでしょうか。
私自身の学級担任の経験から、子どもが体験学習を行ったあとは、「体験させっぱなし」にせず、おとな(=教職員)が体験の意味づけをしてやることが重要であると、いつも思っています。
子どもたちは体験学習を終えて、「よかった」という印象を持ち、のちの学校生活を送ります。体験の意味づけとは、体験がなぜ「よかった」と思うのか、2日間をふりかえり、自らの内面にその意味を落とし込んでいくことをいいます。
体験に意味づけがなされると、生徒が「自分もこのようにして、社会にかかわることができるんだ」という自信を高めることにつながります。この自信は、その後の学校生活での意欲の高まりに返っていくことがよくあります。
生徒は自分がおこなった体験を、自ら意味づけしたり、解釈したり、理由づけしたりすることを少しはできますが、その力は限られている場合が多いのです。
経験したことを子どもが十分に理解し、学んでいき、内面にまで落とし込んでいけるためには、まわりのおとなが体験に意味づけをして、他の経験と関連づけながら、その体験の重要性をわからせる必要があります。
子どもが自ら、自分自身の成長のプロセスに気がつき、納得すること。これが内面に落とし込んでいくという状態です。
体験の意味づけは、ふつう生徒との会話で行います。全部の生徒と話すのは無理でも、課題のある子どもには是非とも「どうやった?」と聞いてみることから始めたいものです。
あるとき、みのお観光ホテルで職場体験をした生徒が返ってきました。
T「職場体験どうやった?」
S「よかった」
T「何がよかったの?」
S「最終日に80人分の宴会の席を、生徒二人に用意させてくれた」
T「へ~、すごいね。で、どう思った」
S「けっこう、ぼくらにまかせてくれるんや」
T「なんでまかせてくれたのかな?」
S「宴会の席までに、けっこうマジで掃除とかもやったし」
T「1年生の時のこと覚えている? 掃除をさぼって先生から、呼び出され叱られたこと?」
S「あ~、あった。そういうこと」
T「あのとき、みんなが気持ちよく過ごせるために掃除をするという話をした。それからきみはかわってきた。よく掃除をするようになったね。そして、職場体験でそうじをていねいにする君がいた。」
S「あっ・・・」
これが職場体験での体験を過去の他の体験とつなげ、意味づけをするということです。
これは、学校の教師だけでなく、ご家庭で親御さんもできることです。お子さんの過去と現在をつなぎ、おとながいまのお子さんの行動を評価することで、子どもは自らをふりかえり、豊かに成長していきます。
ちなみにみのお観光ホテルで職場体験をしたその生徒はいま、就職してから元気に働いています。
(8月12日のブログにも同様のことを書いています。)