銀の砂時計

Elegant~美しい旋律に調和する良質な風景・生活空間を求めて

モノレールねこ

2006-01-30 11:09:08 | 映像空間
昨夜(1/29)、NHK第一放送の短編小説を朗読する番組で取り上げられた短編小説が面白かった。

元来、私はラジオが好き。同世代と言えば、テレビ育ちが圧倒的主流を占める中、私の生活の中心にはラジオが鎮座していた。どれだけラジオが好きなのかと言うのは別の機会に述べるとして、数あるラジオ番組の中でも、朗読の時間は至極の時間を与えてくれる。面白い作品だと、それはもうラジオに集中して聞き耳を立ててしまうほど。まるでラジオの前に正座をして聞いているかのような心境に陥ることさえある。

昨夜の番組では番組の冒頭に簡単な紹介が流れたものの、その時は特に気にしない感じで聞き流していた。しかし、本編が始まってすぐ、私は久々に猛烈な引き込まれ方をしてしまった。それだけ面白かった。

加納朋子著「モノレールねこ」
とても素晴らしい作品だと思う。ごく普通の少年と「ねこ」の触れ合い、「ねこ」を通しての触れありが、何ともユーモラスかつ微笑ましく描かれている。途中、悲しい出来事もあるが、最後にほんのりと温かい余韻をもたらしてくれるのも印象が良い。しかし、やはり一番いいのはある出来事の部分までだろう。

この作品の朗読を通して感じたこと、それはどことなく少女マンガのようなテイストと、「音」を感じたことだった。特に強く感じたのは「音」。イメージが谷山浩子さんに繋がってしまうようなところがある。最後の方の展開も「時空」を越えた「何か」と解釈すると、なおさら印象が重なってしまった。

加納朋子さんという作家は知らなかったが、少し興味を感じている。そして「加納朋子&谷山浩子」のキーワードでインターネットを検索すると、こちらでも面白い結果が見えてくる。

素敵な小説に触れることができた楽しみと同時に、小説から「音」を感じた瞬間でもあった。